地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案
参議院 地方行政委員会
昭和29年法律第101号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院地方行政委員会
- S29.3.10趣旨説明地方行政委員会 27200
- S29.4.5逐条説明・質疑地方行政委員会 3857
- S29.4.6質疑地方行政委員会 39130
- S29.4.9質疑地方行政委員会 4143
- S29.4.12質疑・修正案・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)地方行政委員会 4280
- S29.4.13修正案・委員長報告・討論・採決(修正)本会議 3620
- S29.5.13参議院回付案・参議院回付案同意本会議 4850
参議院地方行政委員会
- S29.3.17趣旨説明・質疑本会議 1965
- S29.3.22趣旨説明・補足説明地方行政委員会 1263
- S29.3.27公聴会地方行政委員会 1582
- S29.3.30参考人招致地方行政委員会 16112
- S29.4.5質疑地方行政委員会 189
- S29.4.16衆議院修正部分趣旨説明地方行政委員会 23135
- S29.4.24質疑地方行政委員会 2796
- S29.5.4逐条説明・衆議院修正部分趣旨説明・質疑地方行政委員会 32153
- S29.5.8修正案趣旨説明・討論・採決(修正)・修正案地方行政委員会 33162
- S29.5.10委員長報告・討論・採決(修正)本会議 4428
提案理由
塚田十一郎 郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官 昭和29年3月10日ただいま議題になりました地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
御承知のごとく、現行地方財政平衡交付金制度は、昭和二十五年、いわゆるシヤウプ勧告に基く地方税財政制度改革の一環として創設せられたものでありまして、爾来その機能を通じ、地方行財政の計画的な運営の保障に果して来た役割は、まことに大なるものがあるのではありますが、いまだ制度の安定が見られぬままに、毎年度その総額の決定をめぐつて国と地方団体との間に争いが絶えず、とかく政治的な解決を求めがちであつたこと、地方財源の窮乏とも相まつて、地方団体はその財政運営の結末を、すべて地方財政平衡交付金の交付に求める風潮を醸成し、結局において、地方財政平衡交付金本来の理念とは逆に、とかく地方財政の自主自律性をそこない、安定性を減じ、地方団体をして中央依存の風潮を招きがちであることは認めざるを得ないのであります。
このことは、もとより地方自治本来の姿ではなく、すみやかに矯正すべきものでもあり、またその原因も各般の分野にわたつているのではありますが、このような風潮を招来した原因の一として、理想はともあれ、現行地方財政平衡交付金制度の中にも、欠陥が存在していることを肯定せざるを得ないのであります。
このような観点から、政府は、さきになされた地方制度調査会及び税制調査会の答申の趣旨を尊重しつつ、現行地方財政平衡交付金制度に検討を加えた結果、地方財政平衡交付金を改めて地方交付税とし、その総額を国税である所得税法人税及び酒税の一定割合として、その地方独立財源である性格を明らかにし、地方財政の自律性を高め、安定性を確保する一方、その交付の基準は現行地方財政平衡交付金制度のそれによることとし、地方税収入と相まつて、地方団体がひとしくその行うべき行政を遂行することができるために必要な財源を補填することを目途とし、その交付基準の設定を通じ、地方行政の計画的な運営を保障することとし、本法律案を提案して各位の御審議を煩わすことといたしたのであります。換言すれば、地方交付税制度は、基本的には現行地方財政平衡交付金制度と同じく、地方団体に対しその必要な財源を保障することを目的とするものではありますが、地方財政平衡交付金とは異なり、その保障の仕方は、単年度ごとにではなく長期的であり、旧地方配付税と同じく地方団体の独立財源とす方ことによつて、地方財政平衡交付金制度に比し、より一層地方財政の自律性及び安定性を高めようとするものであり、いわば、地方財政の現況において、地方財政平衡交付金制度の長所に、旧地方配付税の長所を取入れ、両者の調和をはかろうとするものにほかならないのであります。
次に、本法案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一は、地方交者税の性格とその機能に関するものであります。地方交付税は、所得税、法人税及び酒税の一定割合の額で、地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように国が交付する税であります。すなわち、まず地方交付税は、所得税、法人税及び酒税の一定割合の額であり、旧地方配付税と同じく地方団体の独立財源と観念されるものであります。
次に、地方交付税は、その交付の基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障することを目的とし、財政需要額が財政収入額を越える地方団体に対し、その超過額を補填することを目途とするものであります。さらに地方交付税は、地方団体がひとしくその行う事務を遂行することができるように国が交付するものであり旧地方配付税及び地方財政平衡交付金と同じく地方団体の調整財源であります。換言すれば、地方交付税はいわば地方団体の共有財源でありますが、その交付基準の設定を通じ、地方団体が、ひとしくその行うべき事務を合理的かつ妥当な水準において遂行することができるように、地方団体に対し、地方税収入とあわせ必要な一般財源を保障することを本来の基本理念とし、地方団体間の財源調整を行う機能を持つものであります。
第二は、地方交付税の総額に関するものであります。その一は、毎年度分として交付すべき交付税の総額であります。地方交付税は所得税、法人税及び酒税の二〇%でありますが、毎年度分として交付すべき地方交付税の総額は、予算技術上、所得税、法人税及び酒税の収入見込額の二十%に、当該年度以前の年度において収入見込額によりすでに交付した額と決算額との過不足分を加減した額といたしたのであります。その二は、交付税の種類であります。交付税の種類は、地方財政平衡交付金におけると同様、普通交付税と特別交付税との二種類でありますが、交付税の総額が一応自動的に建つて参りますために、その額は従来と異なり、交付税の総額の百分の九十二を普通交付税と、百分の八を普通交付税と、百分の八を特別交付税とすることといたしたのであります。その三は、普通交付税の総額と各地方団体の基準財政需要額が基準財政収入額を越える額の合算額との調整であります。普通交付税の総額は、一応法律上、自動的に定まるのでありますが、その総額は、交付の性格上、本来各地方団体の基準財政需要額が基準財政収入額を越える額を補填することを究極の目標といたしております結果、各地方団体について現実に算定した基準財政需要額が基準財政収入額を越える額の合算額が、引続き普通交付税の総額と著しく乖離することとなつた場合においては、あるいは地方行財政制度等、制度の改正を行い、あるいはまた交付税の所得税、法人税及び酒税に対する割合を変更することによつて調整をいたすこととしたのであります。ただこの差額が計算上の誤差とも考えられるようなわずかなものである場合においては、地方財政自体において処置することとし、交付税の総額が基準財政需要額が基準財政収入額を超過する額の合算額を超過する場合は、その超過額は特別交付税に繰入れて配分し、不足する場合は交付税総額の二%の額までは特別交付税を減ずることによつて処置し、さらにそれを超過する額については、現行地方財政平衡交付金法の場合と同様、基準財政需要額を調整することによつて処置することといたしたのであります。なお財源不足額の合算額を越えて、地方交付税を交付いたしました場合においては、地方団体自体において財政調整の措置をとることを建前とし、別途御審議を願います地方財政法の一部改正法案において所要の改正を準備いたしております。
第三は、交付税の交付方法に関するものであります。交付税の交付方法は、交付税本来の性格上原則として、現行地方財政平衡交付金の交付方法によるものとしたのでありますが、先般行われました給与改訂の平年度化等、諸状況の変化にかんがみ、若干の変更を加えることといたしました。その一は、給与改訂の平年度化等に伴い、単位費用に所要の改訂を加えたことであります。その二は、測定単位の数値、補正係数及び基準財政収入額の算定方法を法定いたしたことであります。地方財政平衡交付金の場合と同様、地方交付税の算定にあたりましても、極力恣意の介入を排撃すべきことは言うまでもありません。この意味において、測定単位の数値、補正係数等の算定方法を法定いたしまして、その算定方法を明確にいたしたのであります。
以上が本法律案の内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに可決なられんことを希望するものであります。
第19回国会衆議院地方行政委員会議録第27号38頁(昭和29年3月10日)〔塚田十一郎郵政大臣発言・発言番号198〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101901092)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。