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国会審議›第19回国会›閣法第154号
閣法第19回国会 第154号成立修正あり

酪農振興法案

昭和29年法律第182号 酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律
提出昭和29年4月17日 内閣
付託衆議院 農林委員会
参議院 農林委員会
成立昭和29年5月28日
昭和29年法律第182号
審議会議 17回・発言 1,153(政府答弁等 480)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院農林委員会

  1. S29.4.17趣旨説明農林委員会 3264
  2. S29.4.26質疑農林委員会 35114
  3. S29.4.27質疑農林委員会 36100
  4. S29.5.11質疑農林委員会 4044
  5. S29.5.12質疑農林委員会 41112
  6. S29.5.15修正案・修正案趣旨説明・採決(修正)・附帯決議農林委員会 4417
  7. S29.5.18修正案・委員長報告・採決(修正)本会議 5143
  8. S29.5.29参議院回付案・参議院回付案同意本会議 5751
  9. S29.6.15附帯決議本会議 671

参議院農林委員会

  1. S29.4.19趣旨説明農林委員会 26220
  2. S29.4.30補足説明・質疑農林委員会 3029
  3. S29.5.13質疑農林委員会 34136
  4. S29.5.17質疑農林委員会 3661
  5. S29.5.18質疑・衆議院修正部分趣旨説明農林委員会 3799
  6. S29.5.24質疑農林委員会 41176
  7. S29.5.25質疑農林委員会 42199
  8. S29.5.26質疑・討論・修正案趣旨説明・附帯決議・採決(修正)農林委員会 43208
  9. S29.5.28附帯決議・委員長報告・採決(修正)本会議 5231

提案理由

平野三郎 政府委員(農林政務次官) 昭和29年4月17日

ただいま委員長から御報告になりました酪農振興法案の提案理由を御説明申し上げます。

 食糧の増産をはかり、その自給度の向上をはかることがわが国経済自立のための基本的な要件でありますが、このため、食生活を合理化して米食偏重から脱却するとともに現在の農業経営方式を養畜特に乳牛を取り入れたいわゆる有畜農業経営に改善することが、きわめて有効適切な方策でありますことはいまさら多言を要しないところであります。

 幸いここ数年間における酪農の発達は顕著なものがあり、乳牛頭数において三十数万頭、牛乳生産高において三百五十万石を越えるに至つているのでありまして、牛乳、乳製品に対する需要も旺盛をきわめ、昨年度におきましては、増産にもかかわらず品不足という現象すら随所に生じたのであります。このような傾向は、酪農発展のためかつは日本農業発展のため大いに慶賀すべきことと存ずるのでありますが、わが国の酪農の現状は、その内容に立ち入つて考察いたしますると、必ずしも楽観し得ない多くの悪条件を備えているのであります。わが国の酪農の持つ基本的な弱点といたしまして、乳牛飼養農家の飼料基盤が弱く、購入飼料により多く依存いたしているため牛乳生産費が高いこと、乳牛の飼養密度が非常に稀薄でありますため集乳費がたいへん高いものにつくこと、従つてまたこれを処理加工いたしまする工場も小規模な非能率なものになり、しかもこういつた工場が濫立しているために中間経費がよけいにかかること等があげられるのでありますが、こういつた傾向は、最近の高乳価によりましてかえつて強まりつつあるように見受けられるのであります。このような悪条件が積み重なつておりますため、わが国の現在の乳製品の価格は諸外国と比較いたしまして著しく割高にならざるを得ないのでありますが、このことは、国民に高価な牛乳、乳製品を供給することになり、ようやく普及して参りました牛乳、乳製品に対する消費を抑制し、食生活の合理化に支障をすら与えることになろうと思うのであります。しかもこのような悪条件のもとにおいて営まれる酪農経営は、一般的に乳価、飼料価格その他の経済事情の変動に影響されるところが大きく、きわめて安定性のない経営になつているのであります。従いまして今後の酪農振興の目標は、これら酪農を取巻く悪条件を急速に除去し、国際競争に耐え得、しかも少々の経済事情の変動にも動じない酪農を建設することであろうと考えるのでありますが、幸い酪農に対する認識の高まつておりまする現在、酪農振興の方向を明示し、豊富低廉なる牛乳、乳製品を供給し得る基盤を整備いたしますることは、日本農業発展のための大計であろうと信ずるものであります。以上が本法案提案の趣旨でありますが、以下簡単にその内容を御説明申し上げます。

 第一に集約酪農地域の建設であります。自然的経済的条件等が酪農に適する地域を選定し、飲用牛乳又は乳製品原料乳の供給地域といたしまして、乳牛の飼養密度が濃厚であり、合理的な酪農経営が得られる地域に育成しようとすることであります。御承知のように昨年以来、政府におきましてはジヤージー種の乳牛を輸入いたし、乳製品原料乳地帯としての集約酪農地域の建設を行つて参つたのでありますが、今後はさらにホルスタイン種の乳牛につきましても、乳製品原料乳地帯としてのみならず飲用牛乳地帯として本法により集約酪農地域に選定して、有畜農家創設特別措置法に基いて集団的に導入しようとするものであります。さらにまた集約酪農地域におきましては、従来開発が十分行われていなかつた草地につきまして地方公共団体がみずから積極的に改良を行い、合理的な乳牛飼養の基盤たらしめるとともに、牛乳の集荷処理加工施設につきましても、その設立または変更につき都道府県知事の承認を要するものとし、非能率的な施設の濫立を防止し、牛乳の生産と均衡を保持させようといたしているのであります。

 第二に牛乳の取引につきましてその公正化をはかつたことであります。今後酪農の発展に伴い、牛乳、乳製品の豊富低廉な供給が期待されるわけでありますが、その結果ややもすれば、価格変動に伴う負担が農家側により多く、しわ寄せされる可能性もありますので、これを防止し、公正な牛乳の取引が行われて酪農経営の安定に資するよう契約の文書化を促進するとともに、取引についての紛争について簡易かつ公正なあつせんの制度を設けたのであります。

 以上が本法の主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願いする次第であります。

    —————————————

第19回国会衆議院農林委員会議録第32号11頁(昭和29年4月17日)〔平野三郎政府委員発言・発言番号61〕 会議録 国会会議録検索システム

附帯決議

衆議院 農林委員会昭和29年5月15日
参議院 農林委員会昭和29年5月26日

酪農振農法案に関する附帯決議案

一本法の目的の拡大修正に即応して、所期する「酪農の急速なる普及発達及び農業経営の安定」の真の成果が達成し得られるよう、政府において、予算の確保及び乳製品の輸入の調整その他各般の事項に亘つて遺憾なく措置すること

一政府において、集約酪農地域の育成に急にして一般有畜営農の育成発達を苟しくも疎かにすることのなきよう万善を期すること

一生乳等の取引契約に当つて生乳生産者の自主性(生産者団体による共同販売の徹底、生産者による自己検査の確立、生乳の集団飲用の促進)を確保し、更に進んでは生乳生産者の資本による乳業施設を育成するよう、政府において適切な措置を講ずること

一国内における草(特に野草及び飼料木)資源の改良涵養及び利用増進について、政府において速かに飛躍的且つ根本的な施策を実施すること

一政府において速かに公正なる生乳検査の徹底について適切な措置を講ずること

一政府において優良廉価なる飼料の豊富円滑なる供給を図ること。なお、この際、飼料需給安定法第七条の発動について考慮すること

一政府において、牛乳の生産費を償う乳価の維持に万全を期すること。なお、牛乳の生産費調査の完璧を図ること

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101901154)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。