日本国とアメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税の防止のための条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案
参議院 大蔵委員会
昭和29年法律第194号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院大蔵委員会
参議院大蔵委員会
- S29.5.6趣旨説明大蔵委員会 39165
- S29.5.20補足説明・質疑・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)大蔵委員会 46148
- S29.5.21委員長報告・採決(修正)本会議 4952
提案理由
植木庚子郎 政府委員(大蔵政務次官) 昭和29年4月22日次に、日本国とアメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税の防止のための条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案につきまして御説明をいたします。
政府は、今回アメリカ合衆国との間に所得税及び法人税並びに相続税及び贈与税に関して二重課税の回避及び脱税の防止のための租税条約を締結することとし、その批准について承認を求めるため、別途にその御審議を願つているのでありますが、この条約に規定されている事項のうち、特に法律の規定を要すると認められるものについて所要の立法措置を講ずるため、ここに本法律案を提出した次第であります。
以下本法案の大要について申し上げます。
まず第一に、利子所得等に対する所得税率の特例を定めることとしております。
すなわち、日米両国の国内法における非居住者に対する利子または工業所有権等の使用料に対する税率は、わが国の所得税法では二〇%、米国では三〇%になつておりますが、今回の日米所得税条約によりますと、その税率は相互に十五%を越えてはならないこととなつておりますので、これに基き、わが国におきましては、本法律案において、アメリカ合衆国の居住者または法人がわが国の源泉から取得する利子または工業所有権等の使用料に対する税率は、その者がわが国に恒久的施設を有しない場合には、これを一五%と定めることとしているのであります。しかして、これらの所得に対する現行の国内法による税率は、租税特別措置法により、特定の場合には一〇%または五%に軽減することとしておりますので、その軽減税率は引続きそのまま適用があることとしております。
第一に、相続税に関して未成年者控除の特例を定めることとしております。
すなわち、日米両国の国内法における非居住者に対する相続税の課税につきましては、わが国ではいわゆる未成年者控除を適用せず、米国では基礎控除が居住者の場合の十万ドルまたは六万ドルに対して二千ドルの控除にとどめられる等居住者の場合に認められる諸控除の一部が適用されるにすぎないこととされているのでありますが、今回の日米相続税条約によりますと、相互に自国の居住者の場合と同様な控除を一定の割合により認めることとなつておりますので、これに基き、わが国におきましては、本法律案において、アメリカ合衆国の国籍を有し、または同国に住所を有していた被相続人から相続により財産を取得した相続人に対する相続税については、その相続人がわが国に住所を有しない場合においても、これに未成年者控除を適用することとし、その控除の金額は、条約の規定の趣旨に従い、わが国に住所を有する場合に認められる控除額に、わが国における課税財産のその者が相続により取得した総財産に対する割合を乗じて計算した金額によることとしているのであります。
第三には、アメリカ合衆国の租税の徴収につき必要な事項を定めることとしております。
今回の日米租税条約によりますと、租税条約によつて認められる軽減その他の特典がこれを受ける権利のない者によつて享有されることがないようにするために、日米両国は相互に相手国の所得税または相続税を徴収することができることとなつておりますので、これに基き、本法律案におきまして、わが国における米国税額の徴収は、アメリカ合衆国政府からの嘱託に基き、国税徴収の例によつてこれを行うこととする等所要の規定を設けることとしているのであります。
最後に、今回の日米租税条約の実施に関して必要な手続その他の事項は、条約の規定の趣旨に従い、大蔵省令でこれを定めることとしているのであります。
第19回国会衆議院大蔵委員会議録第45号7頁(昭和29年4月22日)〔植木庚子郎政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101901161)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。