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国会審議›第19回国会›閣法第177号
閣法第19回国会 第177号成立

市町村職員共済組合法案

昭和29年法律第204号 市町村職員共済組合法
提出昭和29年5月7日 内閣
付託参議院 地方行政委員会
衆議院 地方行政委員会
成立
昭和29年法律第204号
審議会議 9回・発言 328(政府答弁等 105)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院地方行政委員会・地方行政委員会厚生委員会連合審査会

  1. S29.5.13趣旨説明地方行政委員会 6148
  2. S29.5.17質疑地方行政委員会 6484
  3. S29.5.18趣旨説明・質疑地方行政委員会厚生委員会連合審査会 178
  4. S29.5.18質疑地方行政委員会 6512
  5. S29.5.19採決・附帯決議地方行政委員会 6641
  6. S29.5.20委員長報告・採決本会議 5224
  7. S29.6.15附帯決議本会議 671

参議院地方行政委員会

  1. S29.5.15趣旨説明・補足説明地方行政委員会 3793
  2. S29.6.9質疑・採決・討論地方行政委員会 51263
  3. S29.6.15委員長報告・採決本会議 6290

提案理由

塚田十一郎 郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官 昭和29年5月13日

ただいま議題に供されました市町村職員共済組合法案につきまして、提案の趣旨及び内容の概略を御説明申し上げます。

 昭和二十六年二月から施行されました地方公務員法は、人事行政に関する根本基準の一として、地方公務員の福祉及び利益の保健を掲げているのでありますが、その第四十三条において、職員の公務によらない死亡、廃疾、負傷及び疾病並びに分娩及び災厄その他の事故並びにその被扶養者のこれらの事故に関する共済制度は、すみやかに実施されなければならないとし、第四十四条では、退職年金及び退職一時金の制度は、すみやかに実施されなければならないとし、さらに、これの制度は、国及び他の地方公共団体との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならないと規定してあります。その趣旨とするところは、地方公共団体の行政の民主的且つ能率的な運営を確保するためには、地方公務員の在職中の疾病、負傷等による出費に対する保障の措置を講ずるとともに、相当年限忠実に勤務した職員が、退職した場合における本人またはその遺族の生活を保障するための諸制度を確立することにより、地方公務員の職に人材を誘致するとともに、その職にある者をして安んじて職務に専念させることが必要であるというにあると存ぜられます。

 政府といたしましては、この地方公務員法の精神にのつとり、地方公務員全般について、すみやかに共済制度を確立するの要を痛感し、かねて研究を進めて参つたのでありますが、昨年十月の地方制度調査会の地方制度の改革に関する答申においても、とりあえず措置すべき事項の一として同趣旨の答申がなされている次第もあり、急速にこれが実現をはかることに相なつたのであります。現在、市町村の職員でも学校及び警察職員につきましては、国及び都道府県の職員と同様に、国家公務員共済組合法が適用され、雇用人に対しても疾病、負傷等に対するいわゆる短期給付のみならず、退職年金または退職一時金の給付も行われております。これに対し、一般職員につきましては、疾病、負傷等に対する給付としては、健康保険法が適用されておりますが、退職年金及び退職一時金の制度としては、そのうち吏員については、国の恩給法の準用または恩給条例による給付が行われているのに対し、雇用人については、清掃、交通等特定の事業に従事する若干のものについて厚生年金保険法が適用されるほか、十三万人に近い大多数の雇用人については、何らの措置がとられていないのであります。

 なお、疾病、負傷等に対するいわゆる短期給付についても健康保険法の適用はありますが、同法による給付は共済組合法による給付に比較いたしますと、財政力のゆたかな一部特定の市が組織している健康保険組合は格別として、一般的には低い水準にあり、殊に災害時における罹災給付は、健康保険によつては行うことができませんので、昨年のような災害に際しては、国及び都道府県の職員並びに同じ市町村でも学校職員及び警察職員と、市町村の一般職員との問にはなはだしく権衡を失した処遇をせざるを得なかつた実情にあるのであります。かくのごとく市町村の一般職員は、他の公務員に比して、はなはだ公平を欠く取扱いのもとにあり、地方公務員法の規定からも、その解決をいたずらに遅延することが許されないと存ぜられるのであります。

 しこうして市町村職員の共済制度につきましては、根本的には社会保障制度全般の問題の一環として総合的に考慮すべきものがあり、少くとも中央及び地方を通ずる公務員に関する年金制度全般に関する問題の一として考慮すべきものがあるのでありますが、これらの問題の根本的解決はきわめて重大でありまして、その理想と方向とはともかくとして、なお検討さるべきものが少くなく、今ただちに結論を見出しがたい状況にありますので、これらの根本的解決の日まで、ひとしく地方公務員でありながら、市町村の一般職員のみを現在の不合理な状態に放置しておくことができませんので、さしあたりの措置として、現行の国及び都道府県の職員並びに市町村の学校及び警察職員に関する共済制度を基礎として、これらの者との間における不公平を是正し、その処遇の公平を期することが緊急と考えているのであります。

 以上要するに、地方公務員法の定めるところに従い、また地方制度調査会の答申の趣旨にのつとり、市町村の一般職員特に雇用人について、国及び都道府県の職員並びに市町村職員中、学校及び警察職員並の共済制度を設けようとするものでありまして、これにより、第一に、何らの年金制度が実施されていない市町村の一般雇用人に対し、国、都道府県並びに市町村の学校及び警察の雇用人並の年金制度を確立し、第二に、市町村の一般職員について、同様に他の公務員並の短期給付を保障し、第三に、短期給付と長期給付との一体的運営により、給付業務の健全かつ合理的な運営を期するとともに、療養施設の整備その他の福祉事業の総合的推進をはかり、もつて地方自治の基幹をなします市町村の職員の福祉を増進し、地方自治の進展に寄与しようと念ずる次第であります。

 次に法案の要点を綱説明申し上げます。

 第一に、以上申し上げましたように、市町村職員共済制度は、市町村の一般職員について、他の公務員と同様の処遇を確保しようとするものでありますから、組合の給付の種類、額、支給条件等すべて国家公務員共済組合法のそれと同様といたしております。ただ、現に市町村か組織しております健康保険組合のうちには、健康保険法に規定する法定給付のほかに附加給付を行つているものがあり、これらの附加給付の大部分は、この法律案による共済組合の給付に吸収さえるのでありますが、これを越えるものも若干ありますので、かかる給付は経過的に共済組合の給付として行い得るものとし、ただちに給付の低下を来すことのないように措置いたしております。

 第二に、組合員の範囲につきましても、原則的には国家公務員共済組合法におけるものと同様といたし、なお、国家公務員共済組合の組合員と市町村職員共済組合の組合員との間に異動が行われます場合には、相互に在職期間を通産することができるようにいたしております。

 第三に、組合員の掛金及び市町村の負担金でありますが、この点につきましても国家公務員共済組合法と同様といたしております。但し、従来健康保険組合で、市町村と職員との負担の割合を職員に有利に定めておるものも少くありませんので、経過的に従来の負担関係をそのまま維持できるような措置を講じ得ることといたしております。

 第四に、共済組合の組織及び運営でありますが、市町村職員の共済組合については、地方自治の本旨にかんがみ、主として国家公務員を対象とする国家公務員共済組合法と同様の制度によることは適当と認められませんので、組合組織の自律性を運営の自主性ができるだけ確保できるように配慮いたしております。すなわち市町村職員共済組合は、都道府県の区域ごとにこれを設け、組合の議決機関として組合会を、執行機関として理事を置き、その構成は、使用主たる市町村長の代表者と被用者たる職員の代表者とがそれぞれ同数となるようにし、組合の重要事項の決定、業務の執行が一方の利益に偏することのないように配慮するとともに、組合に監事を置き、自主的に組合の業務を監査できるものとし、業務運営の公正を期することといたしております。また組合に対する監督規定等も必要最小限度にとどめることにいたし、国家公務員共済組合はもとより、私立学校職員共済組合または健康保険組合に比し著しく自主性が強化されております。

 第五は、市町村職員共済組合連合会についてでありますが、組合の適正かつ円滑な運営及びその事業の改善進歩をはかるため、市町村職員共済組合連合会を置き、組合に対する技術的及び専門的な知識資料等の提供、事務の指導、組合の長期給付及び羅災給付に要する費用に充てるための積立金の管理その他の事業を行うものとしております。連合会の機構としては、単位組合と何様に議決機関として総会を、執行機関として理事を、監査機関として監事を置くことにいたしております。

 第六は、この法律案の経過措置についてでありますが、すでに申し上げましたように、本法律案の根本の趣旨は、市町村の一般職員に対し、他の公務員並の処遇が確保されるように制度的に保障しようとするものにほかなりませんので、個々の団体において、みずから、この法律で保障しようとするのと同程度以上の給付を行おうとするものについては、これをしいて画一的に本法案による共済組合に加入させるまでの必要はないと考えられます。従いまして、健康保険組合を組織している市町村は、この法律に規定する給付以上の給付を行うにおいては、その職員の過半数の同意を得て、引続き健康保険組合を組織し、共済組合に加入しないかまたは長期給付についてのみ共済組合に加入することができるようにいたしております。

 なお、この法律施行以前の職員としての在職期間及び厚生年金保険の被保険新であつた期間については、通算の措置を講じ、職員の利益の保護に遺憾なきを期しております。

 以上が本法案の提案の趣旨並びに内容の概要であります。何とぞ慎重御審議をいただきますみやかに本法案の成立を見ますようお願いいたす次第であります。

第19回国会衆議院地方行政委員会議録第61号20頁(昭和29年5月13日)〔塚田十一郎郵政大臣発言・発言番号41〕 会議録 国会会議録検索システム

附帯決議

衆議院 地方行政委員会昭和29年5月19日

一社会保険に関する諸制度は、これを一元化し、統一した制度とすべきであることは当然であるから、できるだけ早い機会に健康保険及び厚生年金保険その他各種共済組合制度と統一すること。

二本制度の運営に当つては、医師等の事務的負担を軽減するため、診療報酬の請求及び支払については、その方法及び手続きを、健康保険と同様とすること。

三退職給付、廃疾給付及び遺族給付については、国は厚生年金保険と同様少くも、その給付費の一割五分に相当する額を負担するよう努めること。先ほどすでに討論の際において述べたのでありますが、今回共済組合法案が成立することになるのでありますが、しかし少数の人数においてかかる共済組合ができますことは、全体の社会保障制度から申しまして、はたしてよいかどうかということについては疑義があるのであります。しかし少くとも当該市町村職員の福利を考えまして、ここに全会一致をもちまして成立することになつたのでありますが、将来におきましてはすみやかに統一せられたところの制度に統合せられるべきであるということを強く主張いたし、政府にその努力を要望するものであります。なおただいまの趣旨に従いまして、その事務取扱い等に関しましては、でき得る限り他の制度と同一に取扱いまして、特殊な取扱いをしないことを原則といたしたいのでありまして、従つて事務手続等におきましても健康保険と同様にいたしまして、将来の統合に便ならしめると同時に、医師その他の関係者の負担軽減をはかり、その運用に全きを期したいと思うのであります。なお国からの補助等に関しましても、すでに委員会におきまして希望がありましたが、将来の統合を考えまして他の国の厚生年金保険等々と同様に取扱うべく将来の努力を要望するものであります。以上はなはだ簡単でありますが、提案の趣旨を説明いたし、皆さんの御賛成をお願いしたいと思います。

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101901177)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。