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国会審議›第22回国会›閣法第27号
閣法第22回国会 第27号成立

商法の一部を改正する法律案

昭和30年法律第28号 商法の一部を改正する法律
提出昭和30年5月9日 内閣
付託衆議院 法務委員会
参議院 法務委員会
参議院 法務委員会公聴会
成立
昭和30年法律第28号
審議会議 12回・発言 488(政府答弁等 150)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院法務委員会

  1. S30.5.11趣旨説明法務委員会 783
  2. S30.5.18逐条説明法務委員会 931
  3. S30.6.7参考人招致法務委員会 1561
  4. S30.6.10質疑法務委員会 1766
  5. S30.6.13質疑法務委員会 1853
  6. S30.6.14質疑法務委員会 19125
  7. S30.6.17委員長報告・採決本会議 3022
  8. S30.6.17採決法務委員会 2225

参議院法務委員会・法務委員会公聴会

  1. S30.5.19趣旨説明・逐条説明法務委員会 314
  2. S30.6.24公聴会法務委員会公聴会 158
  3. S30.6.25質疑・採決法務委員会 815
  4. S30.6.27委員長報告・採決本会議 2812

提案理由

小泉純也 政府委員(法務政務次官) 昭和30年5月11日

大臣が予算委員会に出ておられますので私から御説明申し上げます。

 商法の一部を改正する法律案について提案の理由を説明いたします。

 商法につきましては、昭和二十五年法律第百六十七号をもって会社編を中心とする改正が行われたのでありますが、この改正は占領下において早急に行われた関係上、わが国の経済界の実情に対する考慮が十分でなかったうらみがあり、実施後間もなく経済界の各方面から再改正を要望する声が出て参ったのであります。そこで、政府は、商法の改正について検討する必要があると認めまして、昨年七月六日法制審議会に対し商法に改正を加える必要があるとすれば、その要綱を示されたいという諮問を発するとともに、商法の改正について調査研究に努力して参ったのであります。同審議会においては、現在なお審議を継続しているのでありますが、会社編の一部につきましては、緊急に改正を要するものと認めまして、その部分について、本年三月二十五日同審議会の答申を見たのであります。

 この法律案は、右に申し述べました法制審議会の答申を基礎として立案したものであります。

 この法律案の中心をなすものは、新株引受権に関する規定の改正でありますが、まず株主の新株引受権について申し上げますと、現行商法においては、株主の新株引受権に関する事項は、定款の絶対的記載事項となっており、また、会社が発行する株式の総数の増加についても、その効力発生要件となっております。その結果、株主の新株引受権に関する定款の定めに不備がありますと、その原始定款または定款変更全部が無効となり、ひいては会社の設立または新株発行の効力にも影響することとなるのであります。しかしながら株主の新株引受権に関する事項をかように厳格なものとすることは、必ずしもその必要がないばかりでなく、現行法の規定には、解釈上疑義が多く、定款作成について実務上幾多の混乱を招いたことは、御承知の通りでありまして、経済界においてもこぞってこの改正を強く要望しており、新株引受権に関する事項を定款の絶対的記載事項から削除することには学界においても全く異論のないところでありますので、この法律案におきましては、これを定款の絶対的記載事項でないことにいたしました。

 しかし株主が新株引受権を自己の手に保留することを欲するならば、定款にその定めをすることができるのでありまして、いわゆる定款の相対的記載事項ということになり、たといその定めに不備がありましても、定款の他の規定や、会社の設立、新株発行の効力には影響がないことになるのであります。そのほかこの法律案におきましては、株主の新株引受権に関し定款に定めがない場合には、新株発行に関する取締役会の決議によってこれを定めることができるものといたしました。これによって、授権資本制度の本旨とする新株発行による資本調達の機動性を最もよく発揮し得ることになると考えるのであります。

 株主に新株引受権を与える場合には、取締役会の決議によるものといたしましても、少しも弊害はないのでありますが、株主以外の者に新株引受権を与える場合には、これを取締役会の決議によるものといたしますと、取締役会がその権限を乱用して不当に新株引受権を縁故者等に付与し、その結果株主の利益を害するおそれがあります。さりとて、株主以外の者に新株引受権を与えることを全く許さないことといたしますと、資金調達上不便な場合も生じますので、この法律案におきましては、株主以外の者に新株引受権を与えるについては、取締役会の決議のみによらず、株主総会の特別決議をもって、その新株引受権の目的となる株式の額面、無額面の別、種類、数及び最低発行価額を定めなければならないものとしたのであります。更に、その決議の効力が長く存続してもよいということにしますと、再び現行商法のもとにおけるような弊害を生ずるおそれがありますので、その決議は、決議後最初に発行する新株で、その日から六カ月内に払い込みをしなければならない新株についてだけ効力を有するものといたしました。

 次に、株主に新株引受権を与えるにつきましては、その割当株式につき一株に満たない端数、いわゆる端株を生ずる場合がありますが、この端株の処置については従来説が分れておりますので、これを立法的に解決することとし、新株発行事務処理の迅速をはかることを考慮しまして、端株は切り捨ててよいことにいたしました。また、株主に新株を割り当てる場合には、通常いわゆる割当日を定めていますが、現行商法には、これに関する明確な規定がありませんので、規定を新設し、名義書換を終っていない株主を保護するため、株主が新株引受権を有すべき場合には、必ず割当日を定め、これをその日の二週間前に公告しなければならないものとし、もしその日が株主名簿の閉鎖期間中であるときには、その期間の初日の二週間前に公告しなければならないものといたしました。さらに、新株引受権を有する者に対する失権予告付の通知または公告は、現行商法においては、申込期日の三十日前にしなければならないことになっておりますが、これを二週間前にすればよいことに改めました。これも新株発行の事務の風速をはかることを考慮したものであります。

 新株引受権以外の点につきましては、現行商法の下において生ずる会社の事務処理の不便を除いてその便宜をはかり、その他現行商法の若干の規定の不便な点を改めてあります。これらを列挙いたしますと、株式申込証、社債申込証または転換株式もしくは転換社債の転換請求書は、現行商法においては二通作成することになっているのを一通で足りるものとしたこと、株主名簿の閉鎖または基準日の設定は、現行商法によれば、定款にその旨の定めのあることを必要としているのを、定款に規定がなくてもなし得るものとし、株主名簿の閉鎖期間及び基準日と株主等の権利を行使すべき日との間がそれぞれ六十日となっているのを二カ月に改め、これらを臨時に定める場合の公告を三十日前にしなければならないのを二週間前にすればよいこととしたこと、少数株主の株主総会の招集は、現行商法においては、その請求があった後二週間内に総会招集の通知が発せられないときには、裁判所の許可を得てみずからなし得ることになっているのを、その請求があった後遅滞なく総会招集の手続がなされないとき、または、その請求があった後おそくとも六週間内に総会が開かれるような手続がなされないときに、裁判所の許可を得て少数株主みずからなし得るものとしたこと等であります。

 以上がこの法律案における商法の改正の主要点でありまして、この法律案は、なおそのほかに、この法律施行によって生ずる経過措置を定めましたが、特に新株引受権に関しては、混乱を生じないように若干の規定を設けたのであります。

 さきに述べましたように、現行商法においては、株主の新株引受権に関する定款の定めに不備がありますと会社の設立、新株の発行、定款の他の規定等はすべて無効となるのでありまして、一部の極端な説に従えば、現存する株式会社の大半がこれに該当することになりますが、この法律案は、まさにこのような現行商法の欠陥を是正しようとするものでありますから、この法律の趣旨を、この改正法律施行後において実施するのみならず、この改正法律施行前に定めた新株引受権に関する定款の規定の不備がある場合にも及ぼすのでなければ、徹底を欠くこととなります。そこで、このような定款の規定の不備は、会社の設立、合併、組織変更、新株発行、定款の他の規定の効力には影響を及ぼさないものとしたのであります。

 もっとも、株主の新株引受権に関する定款の規定そのものの効力は、現行商法の認める範囲において、そのまま維持させることととし、ただ、この規定を廃止しまたは変更することができるかについて疑義の生ずるおそれもあるかと考えまして、この点を立法上明らかにいたしました。しかし、株主以外の者の新株引受権については、前述のように、株主総会の特別決議を必要とすることにいたしましたので、現行商法の下において定めた定款の定めは、ほとんど意味がなくなるのみならず、疑義の生ずるおそれもありますので、この改正法律施行後は、すでに申し込みのあったものを除き、すべて効力を失わしめることにしたのであります。

 さらに、この法律案では、非訟事件手続法及び会社更生法の一部を改正しているのでありますが、これらは、以上述べました商法の改正に伴い関係規定に所要の整理を加えたものであります。

 以上がこの法律案の提案理由の大要であります。なにとぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。

第22回国会衆議院法務委員会議録第7号2頁(昭和30年5月11日)〔小泉純也政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102201027)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。