公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案
衆議院 社会労働委員会
昭和31年法律第108号
審議経過
右の数字は会議の発言数参議院社会労働委員会
- S31.3.7趣旨説明・質疑本会議 1864
- S31.3.9補足説明社会労働委員会 1457
- S31.3.29質疑社会労働委員会 19168
- S31.3.30質疑社会労働委員会 20216
- S31.4.6質疑社会労働委員会 2149
- S31.4.12質疑社会労働委員会 22167
- S31.4.13質疑・修正案趣旨説明・討論・採決・修正案社会労働委員会 23140
- S31.4.16委員長報告・討論・採決本会議 3648
提案理由
倉石忠雄 労働大臣 昭和31年3月7日ただいま議題となりました公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
公共企業体等労働関係法は、公共企業体等の職員の労働関係を規律するために昭和二十三年に制定されました法律でありますが、周知のごとく占領下早急の間に立法されたものであり、その内容は、いわゆる翻訳立法の最たるものでありまして、その後若干の改正はありましたが、なおわが国の実情に適しない点が多く、また、技術的な不備欠陥が随所に見られまして、このため公共企業体等の労働関係に無用の摩擦、紛争を招いているきらいすらありまして、従来とも本法改正を要望する声が少くなかったのであります。
政府におきましても、右のごとき事態に対処いたしますため、各方面の意見をも参酌して、本法改正の要否等につき、慎重検討を進めて参ったのでありますが、特に問題の重要性にかんがみ、本年一月十四日、労使公益の各側を代表する臨時の委員を委嘱いたし、本法改正の要否等に対する意見を求めましたところ、右委員の構成する臨時公労法審議会は、発足以来約一カ月間に会議を重ねること九回、慎重審議をいたしました結果、去る二月八日本法の改正に関し、かなり具体的な意見を答申するに至ったのであります。政府におきましては、自来この答申を慎重検討いたして参ったのでありますが、労使公益各側を代表する委員によって構成されました審議会の民主的な審議の結果は、できる限り尊重すべきであることは申すまでもないところであり、労使公益各側の意見の一致をみました点はほとんどこれを入れまして、その意見に沿って改正法案を立案することにいたしたのであります。
そもそも公共企業体等労働関係法に関連する問題の根本的解決には、一面において三公社五現業のあり方そのものの検討が必要であり、他面労働法体系全般との関連において考えられなければならない点のあることは、もちろんであります。政府としては、これらの問題については常時真剣な検討を重ねているのでありますが、しかし、今日これらの基本的問題を直ちに解決するわけには参らぬことは申すまでもありません。さればといって、また今日公労法の不備をそのまま放置することも適当でありませんので、従って、今回の改正案は、現行公労法の基本的建前は一応これを維持することとし、その前提で現行法上わが国の実情に適しない諸点を改め、関係当事者間における無用な紛争の原因をできる限り除去し、健全な労使慣行の確立を促進するとともに、委員会の機構を整備し、その簡素能率化をはかろうといたすものであります。以下本法案の大綱について御説明を申し上げます。
今回の改正案の主要点の第一は、団体交渉の手続を改めた点であります。現行公労法におきましては、団体交渉は、労働組合が行うのではなく、米国からの直輸入制度である単位制度を採用して、団体交渉は、この単位を代表する交渉委員によって行うこととされておりますが、これはいわゆる直訳的制度の最たるものであるとともに、きわめて複雑かつ難解で、とうていわが国の実情に適せず、現在はほとんど有名無実化しつつあるのみでなく、またかえって関係者間の紛議の種となる場合さえあるきらいがありまするので、改正案におきましては、この単位制度を廃止し、わが国の労使関係における一般的慣行に従い、労働組合が団体交渉の当事者となり、その指名する交渉委員が団体交渉を行うことといたしております。なお、これにあわせて、従来本法の適用外でありました公社の臨時的職員につきましても、純粋の日雇労働者以外の者は、これを本法上の職員の中に含めることにいたし、もって労働関係の統一的処理をはかることにいたしておるのであります。
次に、改正案の第二点は、仲裁制度を整備し、仲裁裁定に関する問題の処理を合理的かつ円滑ならしめる措置を講じている点であります。現行法におきましては、公共企業体等と職員との間の紛争は、最終的には仲裁裁定によって定まることとなっておりますが、当該裁定が公共企業体等の予算上資金上不可能な資金の支出を内容とするものである場合は、国会の承認を待って初めてその効力を発生することとなっております。この建前は、現行法制上当然のことではありますが、この制度の運用面におきまして、従来種々紛議のありましたことは、周知の通りであります。改正案はこの点につきまして、後述のごとく仲裁に関する機構、手続を合理的なものに整備するとともに、政府として仲裁裁定をできる限り尊重する精神を明らかにし、あわせて給与準則、給与総額の制度にも若干の改正を行い、もって仲裁裁定を真に公正妥当にして権威あるものたらしめることにより、裁定実施に関する紛議をできるだけ避け、円滑合理的な労働問題処理の慣行を確立せんとするものであります。
改正案の第三点は、委員会の機構を整備し、その簡素能率化をはかった点であります。現行法におきましては、公共企業体等の労働関係を取り扱う委員会としましては、公共企業体等仲裁委員会及び中央、地方の公共企業体等調停委員会の合計十一の委員会が並立しておりますが、今回の改正案におきましては、これらの各委員会を統合して、一つの公共企業体等労働委員会を設けることとし、この委員会の下に各種の機関を統合して、簡素にしてしかも能率的な機構を整え、公共企業体等の労働関係の実情に即して、機動的に強力な活動をなす態勢を整えるように措置いたしておるのであります。この公共企業体等労働委員会は、公益委員五人及び労使委員各三人ずつ計十一人の委員をもって組織されることとなっておりますが、特に公益委員の任命につきましては、その任務の重要性及び特殊性にかんがみ、労使委員の意見をも聞いた上で、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命することといたし、もって公益委員の人選を真に公正かつ権威あるものたらしめんといたしておるのであります。
以上の三点が、今回の改正案の主要点でありますが、その他の点につきましても、答申に盛られた意見をできる限り尊重いたしまして、所要の事務的、技術的改正をいたし、公共企業体等の職員の労働関係の処理の円滑化をはかっておるのであります。
以上、本法案の提案理由を御説明申し上げたのでございますが、本法案が成立、施行されますならば、公共企業体等における健全にして合理的な労働慣行の確立と、公共企業体等の正常な運営の確保に資するところ少くないものと確信いたしている次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願い申し上げます。(拍手)
第24回国会参議院会議録第18号10頁(昭和31年3月7日)〔倉石忠雄労働大臣発言・発言番号43〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102401094)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。