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参法第24回国会 第6号成立

公共企業体職員等共済組合法案

昭和31年法律第134号 公共企業体職員等共済組合法
提出昭和31年4月13日 田中啓一、外29名
付託参議院 内閣委員会
衆議院 大蔵委員会
成立
昭和31年法律第134号
審議会議 5回・発言 212(政府答弁等 80)

審議経過

右の数字は会議の発言数

参議院内閣委員会

  1. S31.4.19趣旨説明・補足説明・質疑内閣委員会 2975
  2. S31.4.20質疑・討論・採決内閣委員会 3091
  3. S31.4.25委員長報告・採決本会議 4019

衆議院大蔵委員会

  1. S31.4.27趣旨説明・採決大蔵委員会 3352
  2. S31.5.8委員長報告・採決本会議 4552

提案理由

田中啓一 議員(発議者) 昭和31年4月19日

(田中啓一君) ただいま議題となりました公共企業体職員等共済組合法案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。

 日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社が公共企業体へ移行した際、その職員となった者のうち、すでに恩給法上の公務員となっていた職員については、当分の間、恩給法の規定が準用されることとなり、その他の職員については、国家公務員共済組合法の規定が準用されることとなったのであります。従って、公共企業体となる以前であれば、任官して当然恩給法の適用を受けることができたはずの職員が、公共企業体になったために、恩給法の適用を受けることができなくなったのであります。

 しかるに、恩給制度と共済組合の年金制度とを比較いたしますと、支給条件、支給額等の給付内容が両者ほぼ同程度であるにかかわらず、恩給法に基く国庫納付金は、共済組合の長期給付の掛金に比べ著しく低いために、実質的には給与上の差別待遇となっており、職員間に不満を生ぜしめる原因となっているのであります。このような不均衡、かつ、不統一な退職年金制度に対する不平不満は、従来の制度のもとにあれば、当然任官し得たはずの職員が増加するに伴いまして、年とともに激化するばかりでありますから、労務管理の上から考えましても、早急にこのような不均衡と不統一とを是正して一本化した退職年金制度を確立する必要があるのであります。

 また、公共企業体におきましては、その職務内容も一般公務員とは異なりまして、現業的労務を主体としておりますので、それらの職員は自然他に転職させることも困難であり、老後の生活安定いかんが職員の勤労意欲に与える影響はきわめて大きく、従って永年勤続者の退職後の生活を十分保障できるような公共企業体にふさわしい退職年金制度の確立は、健全なる企業経営の面からも早急に必要となってくるのであります。

 以上の点につきましては、各公共企業体においてもかねてから研究が進められていたのでありますが、一昨年十一月の臨時公共企業体合理化審議会の答申においても、あるいはまた、第十九国会の衆参両院内閣委員会における恩給法の一部を改正する法律案の審議の際においても、早急に解決を要するものとして指摘せられた次第もあるのであります。

 次に、公共企業体の職員の共済組合制度につきましては、根本的には社会保障制度全般の問題も考慮しなければならず、また、国家公務員の年金制度をどうきめるかの問題との関連も考慮する必要がありますが、国家公務員の年金制度については、現に人事院勧告、公務員制度調査会の答申等相異なる意見が提出されているような状態でありまして、いずれにしてもこれらの問題の根本的解決のためにはきわめて広範な調査研究と、相当な時日を必要とし、今直ちに結論を見出しがたい状況にあるのであります。われわれといたしましては、公共企業体の職員の退職年金制度をこれらの根本的解決の日まで現状のまま放置しておくことは許されないと考えますので、現段階における諸般の事情を十分に考慮しつつ、恩給制度と共済組合の年金制度とを統合して職員間の不均衡と不統一とを是正する新しい退職年金制度の急速な実現をはかることといたし、昨年の第二十二回国会に同名の法案を提案いたしましたが、諸種の事情によりまして、一たん撤回し、あらためて、今、ここに公共企業体職員等共済組合法案を提案いたしました次第であります。以下この法律案の内容の大略を申し述べます。

 第一に、各公共企業体ごとに、それぞれ共済組合を設け、長期給付、短期給付及びその他の福祉事業を行うことといたしております。

 なお、念のため申し添えますが、業務上の災害による給付につきましては、従来から三公社は労働基準法の適用を受けており、公社が一方的に所要経費を負担する建前をとっておりますので、この点については、新制度におきましても従来通り除外することといたしました。従って、共済組合としては、これら業務上の災害による死亡、傷害に対する給付は行われないことになっております。

 第二に、恩給と共済組合の長期給付とを統合して、一本化した退職年金制度を全職員に適用することといたしておりますが、各年金及び一時金について簡単に述べますと、まず、退職年金は、二十年以上組合員であった者が退職したときに支給することとし、その年額は、俸給年額の百分の四十を基礎として、二十年をこえる年数により一定の金額を加算することとし、支給開始年令は、五十五才を原則といたしておりますが、重労務作業に一定年数従事し公共企業体の経営上やむを得ない事由により退職した者については、五十才から五十五才まで別に退職年金額の七〇%の支給を認めることといたし、また、組合員期間二十年以上の者が五十五才前に年金の支給を希望する場合には、退職年金のかわりに減額退職年金を支給できることとしましたが、その年額は、退職年金の年額から五十五才と支給開始年令との差年数に応じた一定額を減じたものとすることといたしております。

 次に、遺族年金は、退職年金受給資格者の遺族に支給することとし、その年額を退職年金額の半額といたしました。なお、それを受ける遺族の範囲は。国家公務員共済組合法による遺族と大体同様といたしました。

 次に、一時金については、国家公務員共済組合法によるそれとほぼ同様でありますが、退職年金の充実を重視した関係上早期退職者に支給されるものは掛金の払い戻し程度に抑えることといたしました。

 次に廃疾年金については、給付事由は、ほぼ国家公務員共済組合法のそれと同様でありますが、その年額を不具廃疾の程度に応じて俸給年額の百分の六十、百分の四十五及び百分の三十五の三段階とした点が異なっております。

 第三に、短期給付については、国家公務員共済組合法のそれと全く同様であります。

 第四に、長期給付に要する費用は、組合員の在職中の掛金と、これに見合う公社負担金とを基金として積み立て、その積立金と運用益によってまかなうことといたしておりますが、掛金と負担金との割合は、国家公務員共済組合法の負担割合と同じく、四十五対五十五といたしております。この結果、掛金率は約四・三%、負担金率は五・二%となり、俸給にこの率を掛けたもの、すなわち、年額にしますと、掛金では国鉄三十四億、電々十億、専売二億六千万円、計四十六億六千万円、負担金では国鉄四十一億、電々十三億、専売三億計五十七億の金額が月々組合に納付され、基金として積み立てられて将来の給付に要する費用に充当されることになるわけであります。なお、以上の掛金率は、国家公務員共済組合法とはほぼ同程度でありますが、恩給法の二%に比べますと二倍以上となっております。

 しかしながら、新制度におきましては、後ほど述べますように、恩給法及び国家公務員共済組合法の適用を受けた期間を、新制度の組合員期間に通算することにいたしておりますが、従来の恩給制度は、基金制度によっていないので、積立金は全く存在せず、また、共済年金制度においても、たび重なる年金改定及び給与改定のために、現実に積み立てられている金額は、本来必要であるべき積立金に比べまして巨額の不足を生じている状態であります。この不足額は、新制度のもとにおいても、そのまま引き継がなければならないのでありますが、これらの不足額は、従来の制度においては公社が負担することになっておりましたので、新制度においても、従来通り公社が負担することといたしました。しかして、その支払いの方法については、将来にわたる公社の財政経営状態を勘案しつつ、漸次補てんしていくことといたしております。従って、公社が年々実際に負担する金額は、上述の掛金に見合う本来の負担金のほかに、前述の補てん額を合算したものとなり、その金額は、初年度において三公社それぞれ、国鉄は六十四億、電力は十四億、専売は四億九千万程度となる見込みであります。

 この金額は、年金受給者の増加に伴い、逐年増加することとなりますが、新組合に引き継がれた過去の組合員は、一定年数の後には次第に減少いたしますので、将来においては、法施行後新たに加入した組合員のみが残ることとなり、従って、公社の負担額は、恩給制度が引き続き適用されておる場合に比べれば、相当軽減されることとなるのであります。

 次に、短期給付の掛金と負担金との割合は、国家公務員共済組合法と同様五十対五十といたしており、その率はいずれも約三%となっております。

 第五に、この法律による共済組合の業務執行につきましては、専売共済組合については大蔵大臣、国鉄共済組合については運輸大臣、日本電信電話公社共済組合については郵政大臣がそれぞれ監督することといたしております。

 第六に、以上申し述べました点以外の共済組合の組織、運営、福祉事業等は、国家公務員共済組合法による共済組合と大体同様であります。

 以上本則の主要点について御説明申し上げましたが、以下においては、新制度実施前の権利義務関係の取扱い方をきめるいわゆる経過措置について申し上げます。

 第一に、年金制度の経過措置は、新制度実施前の期間をどのように通算し、また、その期間に対し実際に支給する金額をどうきめるかが問題でありますが、本経過措置においては、過去の職員であった期間は原則としてすべて通算することといたしました。しかし、その期間に対し支給する金額は、従来の制度で支給されることとなっていた金額と全く同程度に押えることにいたしております。この結果、当然のことでありますが、すでに退職した人に関しては、恩給についても共済年金についてもすべて従来のままとし、この法律の制度によって何ら変更ざれることはないのであります。

 第二に、引き続き新制度のもとにおける組合員として期間を通算される者については、この法律が施行される日の前日に恩給法上の退職をしたものとみなし、同日以前の期間にかかる恩給は消滅させることとし、また、従前の国家公務員共済組合法による年金は在職中その支給を停止することとしたのであります。

 第三に、旧軍人軍属の恩給は、現在の恩給法においては、文官の在職年に算入されることになっておりますが、軍人であった期間は職員であった期間とは異質のものであり、かつ、その取扱いも国において別途に考慮されている問題であるので、その期間は新年金の組合員期間には通算しないこととし、従来通り恩給法の定めるところにより支給することとしたのであります。

 第四に、以上の期間通算だけでは既得権を侵害するおそれのあるものについては年金受給資格についてそれぞれ特例を設けることとし、さらに、この法律の施行の際在職する職員であって同法の施行の日前において恩給証書または年金証書を交付されているものについては、従来通りの年金を選択できることとしたのであります。

 第五に、組合員期間二十年以上の者の退職年金の年額の算定につきましては、当分の間、いわゆる不健康業務加算を認めることとしたのであります。

 第六に、未帰還職員については、従来の恩給法の給与と同様の給付を行うこととしたのであります。

 第七に、この法律の施行の日に在職する公共企業体の職員及び国家公務員とが相互に交流できるようにこの法律による給付と恩給または国家公務員共済組合法による長期給付との調整をはかることといたしております。

 以上公共企業体職員等共済組合法案の提案理由及びその内容の概略を御説明申し上げた次第でありますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに成立いたしますようお願いをする次第でございます。

第24回国会参議院内閣委員会会議録第29号3頁(昭和31年4月19日)〔田中啓一議員発言・発言番号20〕 会議録 国会会議録検索システム

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102403006)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。