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国会審議›第28回国会›閣法第76号
閣法第28回国会 第76号成立修正あり

地すべり等防止法案

昭和33年法律第30号 地すべり等防止法
提出昭和33年2月20日 内閣
付託衆議院 建設委員会
参議院 建設委員会
成立
昭和33年法律第30号
審議会議 13回・発言 1,018(政府答弁等 398)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院建設委員会・建設委員会農林水産委員会連合審査会

  1. S33.2.21趣旨説明建設委員会 759
  2. S33.3.5質疑建設委員会農林水産委員会連合審査会 1136
  3. S33.3.11質疑建設委員会 1269
  4. S33.3.18質疑建設委員会 1576
  5. S33.3.20質疑建設委員会 1630
  6. S33.3.27委員長報告・採決本会議 2133
  7. S33.3.27質疑・修正案・修正案趣旨説明・討論・採決・附帯決議建設委員会 1847
  8. S33.4.25附帯決議本会議 1

参議院建設委員会

  1. S33.2.27趣旨説明建設委員会 799
  2. S33.3.4質疑建設委員会 9147
  3. S33.3.6質疑建設委員会 10125
  4. S33.3.18参考人招致・質疑建設委員会 13126
  5. S33.3.28質疑・討論・附帯決議・採決建設委員会 17161
  6. S33.3.31委員長報告・採決本会議 1886
  7. S33.4.25附帯決議本会議 1

提案理由

根本龍太郎 建設大臣・首都圏整備委員会委員長 昭和33年2月21日

地すべり等防止法案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。

 わが国における地すべりの現況は全国で約五千五百カ所、総面積は約十四万五千町歩に及び、年々多大の被害が発生しておりますが、特に昨年七月とおける西九州地方の豪雨に際しては地すべりによる被害がきわめて顕著であったのであります。わが国は国土がきわめて狭隘であるため、地すべりが発生し、または発生するおそれのある地域も宅地、農地等に利用されているような実情でありますので、このような地域について地すべりの防止をはかることは民生の安定のためにも、また国土の保全上もきわめて緊要なことであります。

 地すべりの防止につきましては、従来からも砂防法による砂防指定地の指定もしくは砂防工事、森林法による保安森の指定もしくは保安施設事業または農地保全事業を行うことによりまして相当の成果を上げて参り、また砂防法、森林法等の適用されない区域につきましても、国の予算措置によりまして地すべり防止に努めて来たところであります。しかしながら、地すべり防止工事をより効果的に行うため、ただいま申し上げました各種の地すべり防止事業に関する計画と実施を統一して、事業執行の能率化、適正化を期するとともに、地すべり防止に有害な行為を規制し、さらに地すべり防止工事に関連しまして、住宅の移転、農業用施設の整備等についても有効適切な対策を講ずる等、地すべり防止の抜本的対策を急速に確立する必要があるのであります。

 なお、炭鉱のいわゆるボタ山で保安の責めに任ずる鉱業権者が存在しないものについてはその管理が放置される結果、往々にして崩壊して災害を発生している事例があり、ボタ山崩壊防止対策をあわせ樹立する必要がありますので、この際、本法律案の対象といたしまして、必要な範囲内において、地すべりと同様の措置を講ずる必要があるのであります。

 以上がこの法律案を提出した理由でありますが、次に地すべり等防止法案の要旨について、御説明申し上げます。

 まず第一に、地すべり防止区域の制度を設け、これを指定することにいたしたことであります。主務大臣は地すべり区域及びこれに隣接する地域のうち、地すべり区域の地すべりを助長し誘発し、または助長し誘発するおそれのきわめて大きいもので公共の利害に密接な関連を有するものにつきまして、必要に応じ、現地調査を行なった上、地すべり防止区域を指定することとして、この法律案が適用される範囲を明らかにしたのであります。

 第二は、地すべり防止区域の管理は都道府県知事が行うこととしまして、管理の責任を明らかにしたことであります。地すべり防止区域の管理は国の事務として取り上げ、都道府県知事に国の機関として事務を処理させることとし、地すべり防止に関する国の責任を明らかにいたしております。

 第三は、地すべり防止行政における主務大臣を明定したことであります。現在地すべり防止については建設、農林両省がそれぞれの立場から所掌しているのでありますが、この際、その所管を明確にすることによって地すべり防止事業の統一的かつ円滑な執行を確保し、その推進に寄与しようとするものであります。

 第四に、地すべり防止施設の築造等の基準を定め、地すべり防止施設の築造等の統一をはかるとともに、都道府県知事以外の者の行う地すべり防止工事につき、この基準に準拠して承認の制度をとることといたしたのであります。現在地すべり防止施設の新設または改良その他の地すべり防止工事については、統一的な基準がないため、地すべり防止施設の総合的な効果が十分に発揮されていないおそれなしとしませんが、これにより地すべり防止施設の新設、改良等の地すべり防止工事の統一的整備が確保され、災害防除の効果が一層上げられることと信ずるものであります。

 第五に、地すべりの防止を著しく阻害し、または地すべりを著しく助長するおそれのある行為を規制して地すべり防止の工事と並行して地すべり防止の効果を上げることといたしたことであります。現在砂防法、森林法におきましては、砂防上あるいは森林保全上一定の行為制限を行うことができるようになっておりますが、地すべり防止の効果をよりよく発揮させるため、地すべりの特質に即応した行為制限を行うことができるようにしたのであります。地すべりの防止は、地すべり防止施設の整備と相待って地すべり防止上支障のある行為を規制することによって、初めてその目的が達せられるものであり、この点からも今後地すべりによる被害の除却または軽減の効果が上ることを期待するものであります。

 第六は、関連事業計画の作成に関し定めたことであります。都道府県知事は、地すべり防止工事を行うとともに、地すべりによる被害を除却し、または軽減するため必要があると認めるときは、その作成した地すべり防止工事基本計画を勘案して、家屋の移転、農業用施設の整備等に関する関連事業計画の概要を作成し、市町村長に提示して関連事業計画を作成するよう勧告するとともに、関連事業計画に基いて事業を実施した事業主体に対して事業費の補助を行い、また地すべりにより被害をこうむる家屋の移転等に対し住宅金融公庫が融資をする等、地すべりの防止と並行して区域内の住民の生活の安定に資することといたしました。

 第七は、地すべり防止区域の管理に要する費用の負担について定めたことであります。すなわち、地すべり防止施設の新設、改良その他地すべり防止区域の管理に要する費用につき国の負担責任を明らかにし、地すべり防止施設の整備の促進をはかることといたしました。

 最後に、ボタ山の崩壊の防止について定めたことであります。この法律案の対象としておりますボタ山とは、石炭または亜炭にかかわる捨石が集積されてできた山でこの法律の施行の際現に存するものであって、保安の責に任ずる鉱業権者が存在しないものをいうのであります。ボタ山の崩壊の防止につきましては、地すべりの防止と大体同様でありまして、ボタ山を含む区域であって公共の利害に密接な関連を有するものをぼた山崩壊防止区域として主務大臣が指定し、ボタ山崩壊防止区域内における崩壊防止工事その他の管理は都道府県知事が行い、有害行為を規制し、区域の管理に要する費用は都道府県が負担することとし、必要な範囲内において地すべりに関する規定の一部を準用することとして、ボタ山の崩壊防止についても必要な対策を講ずることとしたのでございます。

 以上が地すべり等防止法案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第でございます。

第28回国会衆議院建設委員会議録第7号20頁(昭和33年2月21日)〔根本龍太郎建設大臣発言・発言番号53〕 会議録 国会会議録検索システム

附帯決議

衆議院 建設委員会昭和33年3月27日

政府は、本法の施行に当り、左記各項の実現につき特に配慮すべきである。記

一緊急を要する地すべり等防止工事は、おおむね五箇年間に完成すること。

二住宅金融公庫の貸付の手続きを簡素化すると共に、貸付金額の最高限度をつとめて引きであげること。

三農林漁業金融公庫の貸付の条件は、住宅金融公庫の貸付の条件との均衡を充分に考慮してこれを定めること。

四本法の対象とならないぼた山については、鉱山保安法による監督指導を厳重にし、鉱業権者等をしてその崩壊防止対策につき遺憾なからしめること。

参議院 建設委員会昭和33年3月28日

政府は本法の施行にあたり、左記各項の実現につき特に配慮すべきである。

一緊急を要する地すべり等防止工事は、おおむね五カ年間に完成すること。

二本法の対象とならないぼた山については、本法制定の主旨にかんがみ鉱山保安法による監督指導を厳重にし、鉱業権者等をしてその崩壊防止対策につき遺憾なからしめること。わが国を端的に表現いたしますと、災害国という言葉で尽きると思います。これを昭和三十二年の国土建設の現況から検討してみますと、昭和二十一年から三十年までの十年間における災害被害の年平均は、はんらん面積約七十万町歩、家屋五十四万戸、農地は約五十一万町歩に当る被害をこうむつておると指摘しております。また本法律案の提案の理由において、地すべり崩壊が五千五百カ所、面積にして十四万五千町歩、さらにぼた山崩壊が六百二十三カ所、そのうち本法案の対象となるものが二百三十六カ所もあると言われております。まさに災害国日本であると考えます。元来地すべり現象は古くから発生し、一般に知悉されておつたものでありますが、発生する地域が大部分は山間僻地の場所にあるため、等閑視されてきた傾向があります。従って地すべりが発生しておる地域、あるいは発生するおそれのある地域においても、現に居住し、農地等に利用され、危険に瀕しながら営農されているのが実情であります。これは限られた狭い土地の利用の実態であるのみならず、地すべり崩壊を発生する地域は、きわめて水にも恵まれ豊沃な土地であり、土地と居住家屋の移転は密接不可分のものであるからにほかなりません。従って砂防法または森林法の拡大解釈により、防止施設を施行したとはいえ、きわめて微々たるもので、もちろんこの地すべり地域の住民のため安全な措置は数少いのであり、移転するにも融資措置も講ぜられていなかったのであります。従って本法案の提出されたのは、おそきに失する感があると言わねばなりません。また山くずれを含めた崩災の一貫した措置が、立案されるのが好ましく、本旨であつて、法律的にもすつきりとしたものであったと考えるものであります。しかしながらかような法案の提出されたことは、一歩前進した措置と認め、抜本的な施設が実施され、国土を保全する目的から賛成するものであります。特に本法案の実施に当つて、強く政府に要望しておきたい点は、先に提出いたしました付帯決議案を、法律実施に当つて十分に活用し、国土保全及び住民の不安除去、災害防止、災害復旧措置の万全を期せられ、また有害な行為制限については、私権に関する場合、特に政令による措置については、慎重に措置するとともに、立ちのきの指示等は、地すべり関連事業計画において市町村は責任をもって処置すること、その他この法案による施設が、公共土木施設災害復旧国庫負担法の適用外になっておることは、きわめて不合理でありまするから、地すべり等防止施設も当然対象とすべきであり、今後実施した上で措置されることを強く要望して、賛成する次第であります。ただま提出をいたしておりまする付帯決議案は社会、自民、緑風三派の合同提案であることを最後に付言いたしまして、私の賛成の意を表するものであります。

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102801076)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。