炭鉱離職者臨時措置法案
参議院 社会労働委員会
昭和34年法律第199号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院社会労働委員会・社会労働委員会商工委員会連合審査会
提案理由
松野頼三 労働大臣 昭和34年11月18日ただいま議題となりました炭鉱離職者臨時措置法案につきまして、その提案理由及び内容の大綱を御説明申し上げます。
石炭鉱業におきましては御承知の通り深刻な不況に悩まされており、そのために多数の炭鉱労働者が離職している実情にあります。このような事態にかんがみ、政府といたしましては、従来から職業紹介、職業訓練、失業対策諸事業等の対策を推進して参りましたが、さらに総合的かつ有効な離職者対策を確立すべく検討を進めて参りましたところ、このたび成案を得るに至りましたので、ここに、炭鉱離職者臨時措置法案を提出いたし、御審議を仰ぐことといたした次第でございます。
次に、その内容について概略御説明申し上げます。本法案は、炭鉱離職者が一定の地域において多数発生している現状にかんがみ、これらの者に特別の措置を講ずることにより、その職業と生活の安定に資することを目的としておりますが、その内容といたしまして、第一に、炭鉱離職者が多数発生している地域においては炭鉱離職者が職業につくことが困難であるという実情にかんがみ、労働大臣がその地域以外の地域においてそれらの者が職業につくことを促進するための職業紹介に関する計画を作成し、かつ、その計画に基づき必要な措置を講ずることといたしました、
第二に、離職者の多数発生している地域において、炭鉱離職者緊急就労対策事業を計画実施し、炭鉱離職者に就労の機会を与え、生活の安定をはかることといたしました。また、この事業につきましては、高率の国庫補助を行ない、もって地方財政負担の軽減をはかることといたしました。
第三に、職業訓練につきましては、炭鉱離職者の実情に即した特別の措置を講じ、これに対しては、一般の場合よりも高率の国庫補助を行ない、離職者が他の職業に再就労することを円滑ならしめることといたしました。
第四に、石炭を目的とする鉱業権者が新規に労働者を雇用するにあたりましては、できるだけ炭鉱離職者を雇い入れるようにしなければならないこととし、公共職業安定所の積極的な職業紹介活動と相待って、これら離職者の就職促進をはかることといたしました。
次に、炭鉱離職者が職業につくことに対して特別の援護措置を行なうことを目的といたしまして、炭鉱離職者援護会を設立し、移住資金の支給、職業訓練受講者に対する手当の支給、寄宿舎の設置等の援助、炭鉱離職者を雇用する雇用主に対する労働者用宿舎の貸与、就職を容易にするための職業講習の実施、公共職業安定所との連絡その他炭鉱離職者の求職活動に関する協力、生業資金の借り入れのあっせん、生活指導その他の業務を行ない、政府の施策に協力して離職者対策に万全を期することといたしました。
また、この援護会の財源は、政府の補助金及び石炭鉱業整備事業団からの交付金のほか寄附金をもって充てることとしております。
なお、本法は、その目的にかんがみ、施行後五年以内に廃止することといたしております。
以上簡単でございましたが、この法案提案の理由並びにその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。何とぞ、御審議の上すみやかに御可決あらんことを切に希望してやまない次第であります。
第33回国会衆議院社会労働委員会議録第4号5頁(昭和34年11月18日)〔松野頼三労働大臣発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、炭鉱離職者臨時措置法の実施に当り、左の諸点に留意すべきものとする。
一一般職業訓練所の運営費については、その負担割合を引き上げるよう努力すること。
二炭鉱離職者援護会に労使その他関係各方面の代表者よりなる運営協議会を設けること。
三生業資金の借入に係る債務の保証については、できるだけすみやかに成案を得るよう努力すること。
四炭鉱離職者緊急就労対策事業については、その効果的実施を行い得るようこれが改善を図ること。あらためて多く御説明申し上げる必要はないと存じますが、本法の実施にあたりましては、当面、ただいま議決されました法律案によって目的は達成し得るものと思いますけれども、この法律の立法目的を真に所期のごとく達成せしめるため、これが円満、適切なる運営を今後において行なうことについて、いささか補足をした方が適当でないかと思われるような事柄がなきにしもあらずと存ずるのでございます。たとえば一に申しましたその負担割合の引き上げの問題でございますが、日本の石炭産業の今後の見通しというようなものからいたしまして、産炭地において失業者がさらに続いて発生するおそれが多くあるわけでございますから、そういう場合においては、その地方公共団体が緊急就労対策事業を行なう上において地方団体の負担を非常に増大していく、地方団体の負担に耐えなくなるということもおそれられるのでありますから、その割合を引き上げることは将来においてさらに考究する必要があるではないか。また炭鉱離職者の援護会設置の当初の目的を円満に遂行し得るようにするためには、これが民主的にかつその地方の実情に即応して運営がなされなければならぬのであります。そういうことのために、将来労使その他関係方面からなる運営協議会というようなものを設けるということも必要になってくるのではないか。そういうことをやはり考慮する必要がある。また、ただいま滝井委員の質問にもございましたように、離職者が生業資金の借り入れをしようという場合に、ただいまのところ各方面のあっせん等において十全は期し得ると思うのでございますけれども、あるいは将来そのあっせん程度では十全を期し得ないということになるおそれもあろうかと思われます。そういう場合にはある程度債務の保証をどこかでしてくれるということも必要になってくるのではなかろうか。そういうことも一つ検討する必要がありますから、その点についてはすみやかに成案を得るようにいたしたい。また事業費等も、これもただいま論議がございましたが、現状はこれでいいと思うのでありますが、将来は再検討をしなければならぬ時期もあるであろうというようなこと等からいたしまして、この法案を審議するに際して、三派の委員諸君の炭鉱離職者に対する深い老婆心から、こういう附帯決議を付して政府に要望しておくことが適切でないか、こういう考え方に基づいたものでございます。どうか各委員の御賛成を得まして、満場一致で御決定下さることをお願い申し上げる次第であります。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=103301031)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。