TaiLexi AI日本の判例・法令
国会審議›第34回国会›閣法第3号
閣法第34回国会 第3号成立修正あり

労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案

昭和35年法律第29号 労働災害補償保険法の一部を改正する法律
提出昭和34年12月29日 内閣
付託参議院 社会労働委員会
衆議院 社会労働委員会
成立
昭和35年法律第29号
審議会議 10回・発言 1,033(政府答弁等 447)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院社会労働委員会

  1. S35.3.2趣旨説明社会労働委員会 11157
  2. S35.3.22質疑社会労働委員会 20160
  3. S35.3.25質疑社会労働委員会 21144
  4. S35.3.29委員長報告・修正案・討論・採決(修正)本会議 1672
  5. S35.3.29質疑・修正案・修正案趣旨説明・討論・附帯決議・採決(修正)社会労働委員会 22203
  6. S35.7.15附帯決議本会議 1

参議院社会労働委員会

  1. S35.3.3趣旨説明社会労働委員会 10199
  2. S35.3.8補足説明社会労働委員会 1196
  3. S35.3.15質疑社会労働委員会 13149
  4. S35.3.30衆議院修正部分趣旨説明・質疑・討論・採決・附帯決議社会労働委員会 20390
  5. S35.3.31委員長報告・討論・附帯決議本会議 15129
  6. S35.4.20採決本会議 1852

提案理由

松野頼三 労働大臣 昭和35年3月2日

 次に、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 第一に、現行労働者災害補償保険法では、業務上の傷病が療養開始後三年を経過してもなおらない場合には、平均賃金の千二百日分に相当する額の打ち切り補償費を支払い、以後一切の補償を行なわなくてもよいことになっており、ただ、けい肺及び外傷性脊髄障害につきましては、けい肺等特別保護法及び同臨時措置法によりましてその後引き続き約四年間療養給付、休業給付等が行なわれることになっているのでありますか、この改正法律案におきましては、けい肺及び外傷性脊髄障害に限らず、潜水病、放射線障害、頭部外傷等、療養開始後三年経過してもなおらないすべての傷病について、必要の存する期間、打ち切り補償費にかえて長期傷病者補償を行なうこととしたのであります。

 第二に、以上のような長期傷病者との均衡をはかるとともに、外傷性脊髄障害等重度の身体障害者に対する対策といたしまして、療養開始後三年以内に症状が固定した場合でも、半身不随、両手、両足の切断、両眼失明等、労働能力を百パーセント喪失した障害等級第三級以上の重度の身体障害を残す者については、従来の一時金による障害補償費にかえて長期給付金である障害補償費を支給することとしたのであります。

 第三に、長期傷病者補償及び長期給付金である障害補償費に要する費用につきましては、傷病の特殊性、使用者負担の増加等を考慮し、長期傷病者補償については、労働基準法による打ち切り補償に相当する部分をこえる部分について、塵肺に関してはその四分の三、その他の傷病に関しては二分の一を国庫が負担し、障害等級第一級から第一二級までの身体障害者に対する長期給付金である障害補償費については、政令で定めるところにより、労働基準法による障害補償に相当する部分をこえる部分の一部を、国庫が負担することとしたのであります。

 第四に、今回の改正による長期給付については、現行の保険加入制度のままでは労災保険に加入していない事業場において業務上負傷しまたは傷病にかかった労働者で、三年間療養を行なっても傷病がなおらない者あるいはなおった後障害等級第一級から第三級までに該当する身体障害を残す者は、労働基準法による災害補償を受けることができるのみで、これらの長期給付を受けられないわけでありますので、このような場合に対する特別の措置といたしまして、その後かかる事業が労災保険に加入するに至って、その事業主あるいはその事業場の労働者の過半数が希望するときは、事業主から特別保険料を徴収して、労働者に長期傷病者補償または長期給付金である障害補償費を労災保険から支給することとしたのであります。

 第五に、今回の改正は、けい肺等に対する特別保護措置の根本的検討から出発したものである経過にかんがみまして、けい肺等臨時措置法が失効いたします昭和三十五年三月三十一日において、けい肺等特別保護法または同臨時措置法による療養給付の支給を受けるべきである者であって、同年四月一日以降なお引き続き療養を必要とする者につきましては、経過措置として、この改正法律案による長期傷病者補償を行なうこととしたのであります。ただ、これらの者は、すでに労働基準法または労働者災害補償保険法による打ち切り補償を受けた者でありますから、これを、新たに三年の療養を経過して長期傷病者補償を受けることとなる者に比較いたしますと、少なくとも打ち切り補償分だけは余分に給付を受けていることになりますので、それに相当する額を減額することとしたのであります。

 第六に、長期傷病者補償または障害補償費のうちの長期給付金の支給を受ける者が、同時に厚生年金保険法等の障害年金または国家公務員共済組合法の廃疾年金を受けることができる場合には、その者に対する当該長期給付金の額は、これらの障害年金または廃疾年金のうち、国及び使用者の負担割合に相当する額を減じたものといたし、また長期傷病者補償及び障害補償費のうちの長期給付金につきましては、労働省で作成しております毎月勤労統計による全産業の労働者の平均給与額が百分の二十以上変動した場合には、その比率を基準としてその額を改訂することとしたのであります。

 以上申し述べましたこの改正法律案の内容につきましては、他の社会保障制度と関連する問題もあり、将来社会保障に関する制度全般の調整がなされる機会におきましては検討を加えなければならないと考えておりますが、そのような見地より国庫負担、厚生年金保険の障害年金等との調整及び賃金情勢の変動に伴う長期給付金の額の改訂につきましては、本法案に定める措置を当分の間のものとし、そのような機会に検討して必要な措置を講ずることとしたのであります。

 以上が、じん肺法案及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案を提案するに至った理由及びその概要でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

第34回国会衆議院社会労働委員会議録第11号10頁(昭和35年3月2日)〔松野頼三労働大臣発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム

立法資料のある条文

この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)

附帯決議

衆議院 社会労働委員会昭和35年3月29日

一長期傷病者補償を受ける者については、にわかに住居に困難を生ずるごときことのないよう、住宅等の福利施設の確保等につき関係機関において配慮せられたいこと。

二遺族補償及び遺族給付は一時金となつているが、遺族の生活の安定をはかるため、政府はすみやかに遺族年金制を採用するよう検討せられたいこと。

三けい肺患者、外傷性せき髄障害患者のうち、過去に打切補償のみによつて災害補償を打切られる等(労災保険法の適用を受けないものを含む)今回の長期傷病者補償を受けることができないものについては、療養生活を継続しうるよう政府関係機関において適切な措置を講ずるよう配慮せられたいこと。

四長期傷病者補償を受ける者のうち、生活困難なものについては、生活資金の融資につき有効適切な方策を考究すること。

五今後職業病についての総合的立法について検討すること。

参議院 社会労働委員会昭和35年3月30日

改正する法律案に対する附帯決議案政府は次の事項について努力すべきである。

一今後職業病について、その範囲を明確にし、綜合的立法を検討すること。

二長期療養者ならびに遺族の生活維持のため今後補償率及び補償条件に適切なる改善を図ること。

三長期傷病補償を受ける者については住宅その他の福利施設の確保等につき関係機関において配慮せられたいこと。

四けい肺患者、外傷性せき髄障害者のうち過去に打切り補償のみに依って災害補償を打切られ(労災保険法の適用をうけない者を含む)今回の長期傷病者補償を受けることのできない者については療養生活を継続しうるよう政府関係機関において適切なる措置を講ずるよう配慮すること。

参議院 本会議昭和35年3月31日

以上御報告申し上げます。

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=103401003)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。