漁船損害補償法の一部を改正する法律案
衆議院 農林水産委員会
昭和35年法律第15号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
大野市郎 政府委員(農林政務次官) 昭和35年2月23日ただいま議題となりました漁船損害補償法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
昭和二十七年現行の漁船損害補償法が漁船保険法にかわって制定施行をみて以来、保険加入隻数は、義務付保制度による保険料の一部国庫負担を軸として逐年伸長し、現在約十万隻に達しており、漁船損害補償制度が漁業経営の安定をはかる上に果たす役割は、ますます重要性を加えて参っておるのであります。しかしながら翻って制度運営の現状をしさいに検討いたしますと、なお小型船の加入率が低いため、沿岸漁業者の経営の安定が十分には実現されていないほか、小型船関係と大型船関係との間に保険料率が不均衡を示している等、漁船保険事業の健全な発展を阻害している点が見受けられるのであります。従いまして、政府は、昨年五月、農林省に臨時に漁船損害補償制度調査会を設け、制度の改善策を諮問いたしましたところ、その調査審議の結果九月に至り、同調査会から制度の改善に関する答申が提出されたのであります。政府におきましては、この答申を基本として、この法律案を立案し、今回提出した次第であります。次に、この法律案の内容について、概略御説明申し上げます。
第一点は、料率体系の合理化をはかるため、普通損害保険及び満期保険の損害保険部分について、保険料率及び再保険料率の算定基準を法定したことであります。現行の元受純保険料率によれば、保険収支は、大型船関係では黒字、小型船関係では赤字となっておりますため、小型船の引き受け意慾が低調であり、また、小型船を主体とする保険組合においては、経営の困難、執行体制の脆弱化等の事態を招いている状況であります。従いまして、純保険料率は危険率を基礎とし、保険収支の長期均衡を目的として定めるべき百の規定を設け、この点の是正をはかり、小型船の積極的引き受けに対する保険組合の体制の整備を期することとした次第であります。また、現行制度におきましては、再保険率は純保険料中と同率とすると規定しているのでのりますが、本来再保険と元受保険とは、危険分散の範囲を異にしている点にかんがみ、両者を切り離して定めることとし、再保険料率の算定基準を、純保険料率とは別個に法定することにいたしました。すなわち、再保険料率は、台風その他の異状な天然現象にかかわる危険率を基礎として、各保険組合ごとに算定される異常危険部分の率と、再保険本来の全国分散の建前に立って全国の平均通常の危険率を基準として算定される通常危険部分の率とを合計した率といたしたのであります。
第二点は、保険料の国庫負担の方式を改善したことであります。現行制度においては、義務によって保険に付された漁船等について、そのトン数の大小を問わず、一律に、一定の保険金額に見合う純保険率の二分の一を国庫負担するこことしているのでありますか、経営規模による負担能力の較差を考慮すれば、このことは、必ずしも合理的ではないと存ずるのであります。従いまして、今回漁業経営の規模に応じて国庫負担の階層差を設けることといたしたのであります。すなわち、異常な台風その他の天然現象による危険率は、負担能力の劣弱な小型船階層に特に高く、また、それが不可抗力的な危険であることを考慮して、当該異常危険率に対応する部分の純保険料は、全額が国庫負担することとするとともに、通常危険率に対応する部分の純保険料については、一定の保険金額に見合う部分に対し、漁船の規模の大小に応じ、最高百分の六十から最低百分の四十までの割合を乗じた額を国庫が負担することとしこの部面においても、小型船階層に対する国庫負担を増額する措置を講じたのであります。この点の改善によりまして、義務付保等の場合について、右の料率体系の合理化に伴う、小型船階層の自己負担の増加を防止し、むしろ、その軽減をはかって、小型船階層の保険加入の促進に資することとしたしだいであります。
なお、以上のほか、義務付保が成立しがたい場合において、純保険料率の引き上げにより小型船階層の任意加入が阻害されることとなることを防止するため、義務付保以外の場合について、一定数の小型船の加入が実現した場合には、これに対し、義務付保の場合の二分の一に相当する国庫負担を行なう措置を新たに講ずることとし、小型船の保険加入の促進について万全を期することといたしております。
第三点は、義務付保の単位となる地区の範囲の明確化及び合理化をはかったことであります。現行法におきましては、義務付保の対象となる地区を漁業協同組合の地区としておりますため、漁業協同組合の地区の変更等により対象地区の範囲が不確定となるほか、漁業協同組合の地区が重複し、または広域である等のため、付保義務の発生が不円滑となる場合もなしとしないのであります。従いまして、義務付保の単位となる地区は、都道府県知事が原則として漁業協同組合の地区と一致するように、指定するものとして、対象地区の範囲の確定をはかるとともに、漁業協同組合の地区が重複し、または広域である等の場合には、都道府県知事は、漁業協同組合の地区の一部を対象地区として指定することができることとし、付保義務の発生が円滑に行なわれるよう配慮した次第であります。
なお、以上の三点のほか保険組合の役員に関する規定、保険関係の承継に関する規定等についても、あわせて所要の改正を加えることといたしております。
以上がこの法律案の提案の理由及びその内容の概略であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
農林漁業金融公庫は、その設立以来七年、その前身である農林漁業資金融通特別会計時代をも通算いたしますとすでに九年間にわたり、農林漁業の生産力を維持増進するために必要な長期かつ低利の資金を融通して参りましたことは、各位のよく御承知のところであります。この間公庫の貸し付けて参りました資金の総額は、昭和三十四年度末において約二千七百億円、その融資残高は、約千八百億円に達する見込みでありますが、昭和三十五年度におきましては、前年度に引き続き、重要農林漁業施策に即応して、農林漁業の生産基盤の強化と経営の安定に必要な資金の融通を行なうこととし、資本金の増額、業務運営の円滑化、融資条件の変更等の措置を講ずるため、本法律案を提案した次第であります。
以下農林漁業金融公庫法の改正の内容について御説明申し上げます。
第一点は、資本金の増額であります。昭和三十五年度における公庫の貸付予定計画額は五百十七億円でありまして、前年度に比較して八十五億円の増加となっておりますが、この五百十七億円の貸付を行なうための原資は、年度内の資金交付所要額等を勘案いたしまして、一般会計からの出資金七億円、産業投資特別会計からの出資金七十億円、借入金といたしまして資金運用部から百二十八億円と簡易生命保険及び郵便年金特別会計から百三十億円並びに回収金等百五十四億円、合計四百八十九億円となっております。以上の通り、政府が一般会計及び産業投資特別会計から七十七億円を出資することとなっておりますので、現行の資本金に関する規定を改正することといたしたのであります。
第二点は、貸付金の回収等業務の円滑な運営をはかりますため公庫が、その業務にかかわる現金を郵便振替貯金とし、または農林中央金庫もしくは銀行に預け入れることができることとすることであります。公庫の業務の拡大とともに、公庫の直接貸しの事業量は年々増大してきているのでありますが、このような資金の借入れを受けた者が返済いたします場合、現行公庫法の規定によりますと国庫代理店である日銀またはその代理店を通じて返済するほかなく著しく不便でありますことから、借入金の返済にあたりましては、郵便振替貯金による送金の道を開くとともに、同様の趣旨から農林中央金庫または銀行に預金できるごととし、これにより公庫の貸付金回収事務の簡素化をはかるごととし、現行第二十六条の規定を改正することといたしたのであります。
第三点は、土地改良に必要な資金の貸付にかかわる貸付条件の変更であります。御承知の通り、土地改良に必要な資金の据置期間は、現行公庫法上最長五年と定められておりますが、都道府県営の土地改良事業に対し貸し付けられる資金につきましては、据置期間は現行の五年ではなお短期にすぎることから、この期間を七年に延長し、もってこれら土地改良事業の一そうの円滑化を期することとし、土地改良に必要な資金の貸付条件中据置期間に関する規定を改めるものであります。
以上が、この法律案を提案いたす理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
次に果樹農業振興特別措置法案の提案の理由を御説明申し上げます。
今後の日本農業の発展に大きな役割を果たすことが期待される部門の一つとして果樹農業があげられていることは御承知の通りでありますが、最近における果樹農業の急速な成長は、この期待を十分に裏づけているものと思われるのであります。今その成長率についてみますと、昭和二十五年度を一〇〇・〇とした場合、昭和三十三年度には二四八・四とおよそ二倍半の伸びを示しており、またその粗生産額は昭和三十三年度において六百七十九億円に達し、その農業総生産額中に占める割合を見ますと四・三%という大きな比重を持っているのであります。しかしながら、今後の国民経済の発展と食糧消費構造の高度化に即応した農業構造の確立と農業経営の近代化に資するためには、このような趨勢にある果樹農業をさらに安定した発展の軌道に乗せることが必要であり、このため国及び都道府県による積極的かつ総合的な対策を講じなければならないと考えるのであります。従いまして、政府といたしましては、別途農林省設置法等関係法令の一部を改正いたし、果樹に関する行政を総合的に振興局の所掌とするとともに、振興局内に新たに園芸課を設置することにより、果樹行政の強化拡充をはかるほか、生産、流通、消費及び輸出の各分野にわたり一段と総合的な施策を推し進めて参りたい所存であります。特に将来の果樹農業の振興をはかるためには、流通、消費の改善と並んで、果実の長期的な需給の動向に即応しつつ果樹の適地において合理的な経営の確立をはかることが必要と考えられるのでありますが、今後の果樹園経営合理化の基本的方向は、適正な経営規模を維持しつつ生産から販売に至るまでの諸過程においてできるだけ共同化を促進することにあることにかんがみ、その基礎条件である樹園地の集団化と効率的な機械及び共同施設の導入を計画的かつ積極的に推進することが緊要と考えられるのであります。
この法律案は、右に申し述べました樹園地の集団化及び農作業等の共同化を推進することを目標として、果樹の計画的かつ集団的な栽培を促進するための資金融通の措置その他果樹園経営の基盤の確立をはかるための措置を法律制度として確立し、果樹農業の健全な発展に資そうとするものであります。
以上がこの法律案を提出する趣旨の大要でありますが、次にその主要な内容を御説明申し上げます。
まず第一に、果樹の計画的かつ集団的な栽培を行なうことによって合理的な果樹園経営の確立を図ろうとする農業者の集団またはその組織する法人であって、その樹立にかかわる果樹園経営計画につき都道府県知事の認定を受けたものに対し、果樹の植栽その他に要する資金を農林漁業金融公庫から長期かつ低利の条件で融通することしするとともに、その場合の貸付条件等を規定しております。
第二に、資金の貸付を受けようとする者は、果樹園経営計画を作成して都道府県知事の認定を受けることとし、その経営計画の内容及び都道府県知事の認定基準並びに認定申請の期間を規定しております。
第三に国及び都道府県による果樹園経営計画の作成またはその達成のために必要な助言及び指導その他果樹農業の振興のために必要な援助についての規定を設けております。
第四に、農林省に果樹農業振興審議会を設置して、果樹農業の振興に関する重要事項について調査審議させる一とといたしております。
第五に、以上と関連して、附則で輿林省設置法及び農林漁業金融公庫法に所要の改正を施しております。
以上がこの法律案のおもな内容でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いする次第であります。
次に、開拓融資保証法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明いたします。
戦後の開拓事業もすでに十余年を経過しその間、約十五万戸の開拓者は、不利な立地条件やたび重なる天災等にも屈せず、日夜営々と農業経営に精准し、一部には既存農家の水準をこえ、新しい畑作営農方式の先駆者となっているものも少なくありませんが、他面、大部分の開拓者は、重なる悪条件のため、その努力にもかかわらず、いまだに営農の基礎も確立せず、経営不振に悩んでいる実情であります。この現状に対処いたしまして、政府は昭和三十二年制定を見ました開拓営農振興臨時措置法を中心といたしまして、開墾建設工事の促進、営農資金の融資額の大幅な増額、経営の重圧となっている負債の借りかえ等、これら開拓者の経営の安定に必要な各般の総合施策を逐次実施いたし、その成果を上げつつある次第であります。昭和三十五年度は、前年に引き続き一段とこれらの施策の拡充強化をはかりますとともに、別に提出を予定いたしております法律案による災害対策資金の融通、既貸付の政府資金の償還条件の緩和等の措置や、あるいは過剰入植地区の移転対策等を新たに行なうこととし、これらの開拓営農振興対策の一環として、中央開拓融資保証協会に対する政府出資の増額を行なうこととしたのであります。すなわち、開拓者の必要とする営農資金のうち、大家畜、農用施設、農機具等の基本的生産手段を調達するための長期資金につきましては、昭和二十二年設置いたしました開拓者資金融通特別会計から政府資金を低利で融資する措置をとって参りましたが、肥料、飼料、種苗あるいは中小家畜等を購入するための短期営農資金につきましては、開拓者の実情からその調達がはなはだ困難でありましたので、昭和二十五年、農林中央金庫の協力を得て開拓信用基金制度を創設し、その後昭和二十八年に至り、開拓融資保証法を制定いたしまして、開拓融資の円滑化をはかる制度を確立したのであります。
この制度は、中央及び各都道府県に開拓融資保証協会を設立し、開拓者が金融機関から短期営農資金を借り入れる場合にその債務をこの協会が保証することによって、資金の調達を容易ならしめるものでありまして、自来、政府は、毎年中央開拓融資保証協会に対し出資を行ない、本年度までに、すでに、同協会の基金四億九千五百六十二万円のうち三億九千万円を出資して、開拓者の営農の進展に資して参ったのであります。しかしながら、開拓者の現状は営農振興の根幹である肥料の適期投入にも、なお、その資金の調達に事欠く状態であり、また、乳牛等家畜の増加に伴う飼料購入量の増大、中小家畜の導入促進の必要等から資金需要が増加いたしていることにも対処いたしまして、政府は、昭和三十五年度において、一般会計からさらに一億円を追加出資いたしまして、融資ワクの拡大をはかり、営農資金の融通を一段と拡充し、もって開拓者の農業生産力の発展と農業経営の安定をはかろうとするものであります。
以上が開拓融資保証法の一部を改正する法律案の提案の理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
次に、漁業協同組合整備促進法案の提案理由を御説明申し上げます。
昭和二十四年二月現行の水産業協同組合法が施行されまして以来、漁業協同組合の組織化は着実に進み、沿海の地区出資組合の数は、三千百余組合に達しており、これらの組合が沿岸漁民の唯一の協同組織としてその経済的、社会的地位の向上と生産力の発展をはかる上に果たしている役割は、ますます重要性を加えて参っておるのであります。しかしながら、これらの漁業協同組合の中には、なお多くの経営の不振な組合が存在しているのでありまして、これら不振組合の整備を早急にはかり、もって漁業協同組合の本来の伸命の遂行に遺憾なからしむる必要が為るのであります。このことにつきましては、第二十四国会における衆参両院の農林水産委員会及び第三十一国会における衆議院農林水産委員会におきまして、漁業協同組合の整備を促進するようにとの御決議があり、また、昨年十月の漁業制度調査会の農林大臣に対する中間報告におきましても、沿岸漁業振興のにない手としての漁業協同組合の整備強化をはかる必要性が強調されておりまして、政府といたしましても、これらの御決議等の趣旨を体しまして、鋭意その対策を検討いたした結果、今般この法律案を立案し、提出いたしました次第であります。
次に、この法律案の内容について、概略御説明申し上げます。
まず第一点といたしましては、事業の継続に著しい支障を来たすことなしにはその債務を弁済することができないいわゆる赤字不振組合についての整備の目標、その手続、都道府県知事の援助及び弱小組合の合併についての勧告等につき法定したことであります。すなわち、これらの組合がこの法律案の規定によって整備を行なおうとする場合には、都道府県知事が指定する日現在により組合の資産の適正な評価を行なって貸借対照表を作成し、これに基づいて整備計画を立て、これにつき、都道府県知事の認定を受けなければならないこと、整備計画の内容には組合員及び関係連合会との利用及び協力を強化するための措置、執行体制の改善、増資等組合の整備を進めるために必要な事項を定めなければならないこと、整備の目標としては、五年間に固定化債務の整理と欠損金の補てんを行なうべきこと等につき法定いたしまして、組合整備の実効を期することとした次第であります。また、これらの組合が、その整備を進めるにあたりまして、都道府県知事が必要な助言またはあっせんができることとし、さらに組合が有する過去の欠損金の補てんを容易にするため法人税法人の特例を設けることといたしております。さらに、漁業協同組合の整備の一環といたしましていわゆる弱小組合の合併につき都道府県知事が勧告をすることができるようにするとともに、合併を内部的に促進するため、漁業協同組合の漁業権行使に関する定款の設定及び変更についての特例を設ける等の措置を講ずることにいたしました。なお、信用事業を営む漁業協同組合連合会が整備を行なう組合の組合員に対して直接貸しを行ない得ることとして、組合の整備を側面から援助するための規定も設けることといたしております。
次に第二点といたしましては、漁業協同組合の整備を助成するための組織として漁業協同組合整備基金につき定めたことであります。組合の整備を促進するためには、前述の諸措置のほか信用漁業協同組合連合会及び農林中央金庫がこれらの組合に対して有する債権の利息の減免を行ない得るようにすることが必要であるわけであります。従いまして、漁業協同組合の整備につき密接な関係を有しております漁業協同組合連合会、漁業信用基金協会及び農林中央金庫をもって組織する漁業協同組合整備基金という団体を設け、整備基金は、これらの者が出資する出資金及び国から無利息で貸し付けられる資金の運用益をもって、整備を行なう組合に対し利息の減免をした信用漁業協同組合連合会または農林中央金庫に対しまして、その減免利息の一部を助成する業務を行なうこととし、もってこれら金融機関の整備組合の整備に対する協力体制を強化しようとするものであります。また、整備基金はこの利子補給の業務のほか、合併奨励金の交付及び漁業協同組合の整備に関する指導業務も行ない得ることとなっております。
次に、整備基金の内容についてでありますが、前述のように整備基金に出資し得る者は漁業協同組合連合会、漁業信用基金協会及び農林中央金庫でありまして、これらの出資者は、出資者総会において役員の選任及び定款の変更、業務方法書の設定、変更等についての議決をすることができることとなっております。また、国は、整備基金に対して、その業務の運営に必要な経費の財源の一部をその運用によって得るための資金を無利息で貸し付ける旨を定め、整備基金の業務の財政的基礎を強固にするための措置を行なうことにいたしております。その他整備基金の財務に関しまして出資者配当の禁止等の規定を設けましたほか所要の監督及び罰則規定を設けまして整備基金の運営が健全かつ円滑に行ない得るよう配慮いたしました次第であります。
以上がこの法律案の提案の理由及びその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
次に、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
昭和二十七年十二月中小漁業融資保証法が公布施行されて以来、現在三十九の漁業信用基金協会が設立されて、中小漁業者のためにその債務の保証事業を行なっており、その保証累計額は、昭和三十四年十二月末現在で三百六十億円を上回り、漁業金融の円滑化のために大きな役割を果たしております。しかしながら、翻って、本制度の運営の現状をしさいに検討いたしますと、債務の保証額が増加するに連れて、債務者に対する求償権も次第に累増するに至り、これが回収の円滑化をはかることは、中小漁業融資保証事業の健全な発展のためにきわめて必要なことになっているのであります。ここにおきまして、政府といたしまして、この法律案を立案し、提出した次第であります。
次にこの法律案について概略御説明申し上げます。
現行制度によりますと、政府は、漁業信用基金協会とその保証につき保険する契約を締結し、この契約に基づき保険金を支払った場合には、協会が有する被保証人に対する求償権について、支払った保険金の限度で協会に代位して求償権の一部を収得し、さらにこの権利の管理及び行使を協会に委託することにいたしております。今回は、これを改めまして、政府が保険金を支払った場合においても、協会の被保証人に対する求償権に代位しないこととし、協会は、求償権の管理及びその行使にあたり、これにより回収した金額があるときは、その金額のうち支払いを受けた保険金とそれに対する利息との合計額に相当する金額を政府に納付しなければならないものとしたことが第一点であります。
第二点は、漁業信用基金協会は、保証債務を被保証人にかわって弁済をした後、三月を経過しなければ、政府に対して保険金の支払いの請求ができないのが現行制度でありますが、これを一月に短縮した点であります。
第三点は、さきに申し上げました第一点の改正に伴う経過的措置であります。すなわち、政府は、現在、すでに代位により取得した約四億円の求償権を所有しておりますが、この権利は、その管理及び行使を協会に委託しております結果、改正後生ずる求償権と異なった取り扱いを受けるごとになりますので、これを避けるため、政府の所有している求償権を協会に譲り渡しまして、求償権の管理及びその行使の一元化をはかることにしたのであります。
なお、以上の三点のほか、第一点及び第三点の改正に伴い中小漁業融資保証保険特別会計法に所要の改正を加えることといたしております。
以上がこの法律案の提案の理由及びその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願いする次第であります。
第34回国会参議院農林水産委員会会議録第8号1頁(昭和35年2月23日)〔大野市郎政府委員発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は改正法による漁船損害補償制度の円滑な運営を図るため左記の各項目について遺憾のない措置を講ずべきである。記
一漁業経営の実態等にかんがみ、保険料の分納を必要とする漁船に対しては、一定の条件の下に再保険料の分割払制度を実施することができるよう所要の法的措置を講ずることについて、速かに調査に着手すること。
二前項の趣旨に沿い再保険料の分割払制度が実現するまでの間、再保険料の延滞金については、現行の遅延利息の割合と系統金融機関における現行最高預金金利との平均利率を勘案して、適切にこれを定めること。
三漁船損害の発生を未然に防止し、漁業経営の安定に資するため、漁船保険振興基金の如き一連の積極対策を確立し、政府が強力な援助を行なうことができるよう所要の法的措置を講ずるよう検討すること。
まず、案文を朗読いたします。漁船損害補償法の一部を改正する法律案附帯決議(案)政府は、次の事項について、遺憾なく措置すべきである。
一漁業経営の実態にかんがみ、保険料の分納を必要とする漁船に対しては、一定の条件の下に、再保険料の分割払の制度化について検討すること。しかして、再保険料の分割払の制度化が実現するまでの間、再保険料の延滞金の割合は、現行の遅延利息の割合と系統金融機関における現行最高預金利息の割合との平均を上廻らないものとすること。
二特殊保険について、現在行われている低保険料率制は、昭和三十五年度以降においてもこれを継続実施すること。しかして、国の再保険の割合を引き上げる等の措置によって保険加入を促進するよう検討すること。
三漁船保険事業の健全な発達を図るため、漁船再保険特別会計における利益金の活用その他によって政府が強力な助成援助を行い得るよう所要の法的措置を考究すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=103401043)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。