後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律案
参議院 地方行政委員会
昭和36年法律第112号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院地方行政委員会
参議院地方行政委員会
- S36.3.9趣旨説明地方行政委員会 795
- S36.5.11質疑地方行政委員会 2056
- S36.5.16質疑地方行政委員会 2187
- S36.5.23質疑・附帯決議・討論・採決地方行政委員会 23120
- S36.5.26附帯決議・委員長報告・採決本会議 3047
提案理由
渡海元三郎 政府委員(自治政務次官) 昭和36年3月9日ただいま議題となりました後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律の提案理由とその要旨を御説明いたします。
わが国の経済の発展と住民福祉の向上をはかっていくために近時特に地方開発の必要性が強調されております。すなわち、開発のおくれている後進地域の産業立地条件を整備し、その体質を改善していくことが、いわゆる地域格差を是正し、わが国経済を全国的に均衡を保って一段と伸展させるためにきわめて緊要と考えられているのであります。
それがためには、今後これらの後進地域において公共事業の増大することが期待されるのでありますが、財政力が十分ではなく、その消化が容易でない地域の関発に関する公共事業については、国の負担割合を高め、当該地域の負担を軽減して公共事業の実施を円滑ならしめ、もってこれらの地域の経済基盤の強化と住民福祉の向上を促進する必要があります。
公共事業についての国庫負担率の特例制度としては、現に東北、九州及び四国地方の各開発法に基づく制度と、地方財政再建促進特別措置法に基づく制度とがありますが、これらの制度は、開発を必要とする後進地域を網羅していないのみではなく、過去に赤字を出した団体であるかどうかに主眼を置いておりますので、地方団体相互の間に均衡を欠いており、地方財政の現実にも即しないものとなっているのであります。このような事情にもかんがみ、これらの制度も統合して、新たに、全国的に後進地域の開発推進をはかる統一的な財政援助制度を設けることとしたのであります。
以上が、本法律案の提案の理由であります。
次に、本法律案の内容の要旨につきまして御説明いたします。
第一は適用団体であります。国庫負担率の特例は、地域的に見て後進性が強いことと、財政負担能力が乏しいことの両面を考えてその適用団体を選択すべきものでありますが、その基準は地方交付税制度上の基準財政収入額と基準財政需要額との比率に求めることがおおむね適確であり、しかもその算定が統一的客観的であると認められるのであります。都道府県における過去三カ年間の比率の平均は、基準財政需要に対する基準財政収入のおおむね〇・四六でありますので、これを財政力指数の平均値とし、それぞれの地方団体の財政力指数が〇・四六に満たない場合、その団体に本法の適用をいたすことにしました。
第二は、適用の対象となる事業であります。
事業の範囲は、河川、海岸、砂防設備、林地荒廃防止施設、地すべり防止施設、林道、道路、港湾、漁港、農業用施設の事業で真に後進地域の開発に寄与するものを、従前からの各地方開発促進法や地方財政再建促進特別措置法における対象事業の範囲を参考として選択することにいたしたいのでありますが、具体的には政令で定めることといたしております。
第三は、国の負担割合の引き上げの方法であります。その方法は、適用団体の財政負担能力の実態に即し、かつ簡明なものであることが望ましいと思われますので、各適用団体ごとにその財政力指数が〇・四六に満たない数値を引き上げ率の基礎とすることとし、財政力指数の最も低い団体の引き上げ率が二五%となるように一定の算式によって決定することといたしました。なお、事業ごとにこの引き上げの方法で国の負担割合を算定した場合において、適用団体の負担割合が一割未満となるときは、最低限度一割は県が負担することとなるように国の負担割合を定めることといたしております。
第四は、現行の公共事業に対する国庫負担特例制度との関係であります。この制度の実施に伴い、さきに申しました現行の特例制度は、廃止する建前とし、三十八年度までに漸進的に本法に吸収することとして、所要の経過措置を設けることにいたしたいのであります。
以上が後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
第38回国会衆議院地方行政委員会議録第10号4頁(昭和36年3月9日)〔渡海元三郎政府委員発言・発言番号6〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
まず附帯決議の案文について朗読をいたします。本法の施行にあたり、政府は、本法の意図する地域格差の是正を達成するため、それぞれの適用団体における開発が総合的効果をあげ得るよう配意するとともに、開発指定事業の決定に際しては、とくに左記事項の実現をはかるべきである。
一災害関連事業並びに海岸保全施設整備事業及び湖岸堤防整備事業については、事業費の額による制限を加える場合においても、その額は最小限度に止めること。
一河川事業については、小規模河川改修事業をも対象事業とすること。
一砂防事業、治山事業及び地すべり対策事業については、適用河川水系及び準用河川水系にかかるものをすべて対象事業とすること。
係る国の負担割合の特例に関する法律案に対する附帯決議(案)後進地域における産業立地条件の整備とその体質の改善は、現下の急務である経済発展の地域的均衡、いわゆる地域格差の是正の前提をなすものであり、その実現については公共事業の補助負担率の特例は最も重要と思われるから、本法の実施に当っては政令による事業指定の範囲等、次の諸点に留意し、遺憾なきを期すべきである。
一公共事業の配分の適正を期するとともにそれぞれの適用団体における開発は最も総合的効果をあげることとなるよう関係諸措置と併せ特段の配慮をすること。
一政令により適用事業の範囲を指定するについては左の事項の実現を図ること。(イ) 災害関連事業、海岸保全施設整備補助事業および湖岸堤防施設事業について事業費で最低限度額を定める場合においては、でき得るかぎり低い額とすること。(ロ) 砂防補助事業、林地荒廃防止補助事業、地すべり補助事業については適用河川水系、準用河川水系にかかるものはすべてこれをふくませること。(ハ) 河川事業については小規模河川改修事業をも対象事業の範囲に入れること。
附帯決議案後進地域における産業立地条件の整備とその体質の改善は、現下の急務である経済発展の地域的均衡、いわゆる地域格差の是正の前提をなすものであり、その実現については公共事業の補助負担率の特例は最も重要と思われるから、本法の実施に当っては、政令による事業指定の範囲等、次の諸点に留意し、遺憾なきを期すべきである。
一公共事業の配分の適正を期するとともに、それぞれの適用団体における開発は最も総合的効果をあげることとなるよう関係諸措置と併せ特段の配慮をするこ。
一政令により適用事業の範囲を指定するについては左の事項の実現を図ること。(イ) 災害関連事業、海岸保全施設整備補助事業および湖岸堤防施設事業について事業費で最低限度額を定める場合においては、でき得るかぎり低い額とすること。(ロ) 砂防補助事業、林地荒廃防止補助事業、地すべり補助事業については、適用河川水系、準用河川水系にかかるものはすべてこれをふくませること。(ハ) 河川事業については小規模河川改修事業をも対象事業の範囲に入れること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=103801137)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。