国民健康保険法等の一部を改正する法律案
参議院 社会労働委員会
昭和38年法律第62号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
西村英一 厚生大臣 昭和38年2月27日ただいま議題となりました国民健康保険法等の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。
わが国の医療保険制度は、今後その内容を充実するとともに、各制度間において、なお給付内容及び被保険者負担等の面における総合調整を要するところが多い現状であります。ことに、国民健康保険につきましては、その給付内容を改善し、被保険者負担の軽減をはかることが、同制度の対象とする被保険者の実状から考えて、当面の急務とされるところでありますので、早急にその給付率を引き上げ、給付期間の制限を撤廃する等、給付内容改善の措置を講ずるとともに、低所得被保険者の保険料負担の軽減をあわせて行なうようにするため、この際国民健康保険財政に対する国の援助を一段と強化することが必要であると考えるのであります。
また、国民健康保険制度についての改善と並行して、健康保険、船員保険、各種共済組合の被用者保険各制度につきましても、この際給付期間の制限の撤廃、継続給付の期間の延長等の措置を講ずることにより、その給付内容の向上をはかるとともに、国民健康保険財政の負担の軽減に資することが適当であると考えるのであります。
以上のような理由により、この法律案を提案した次第でありますが、次にこの法律案の内容について御説明いたします。
まず、国民健康保険関係につきましては、第一に、世帯主またはこれに準ずる被保険者が療養の給付を受ける場合の一部負担金の割合を、十分の五から十分の三に引き下げことといたしております。
第二に、療養の給付に関して、給付開始後原則として三年と定められていた給付期間の制限を撤廃することといたしております。
第三に、国民健康保険の被保険者が生活保護法による保護を受けるに至ったときは、その日から所要の医療給付は生活保護の医療扶助によって一元的に行なうこととし、国民健康保険の被保険者資格を喪失させるように改めることといたしております。
第四に、国民健康保険の被保険者のうち、保険料の負担能力の乏しい低所得者に対して、保険料を一般の者より大幅に減額して賦課するため、これに必要な規定を設けております。
第五に、以上に申し上げました給付率の引き上げ、保険料の軽減措置等の施策を実施するための費用について、国が所要の財政措置を講ずることとし、調整交付金の総額を、市町村の療養給付費見込み額の百分の五から昭和三十八年度においては百分の八・八、平年度においては百分の十に増額することといたしております。
第六に、現行国民健康保険法の施行の際の経過措置として認められていたいわゆる給付制限を、昭和四十年三月末日までにことごとく廃止させることといたしております。
次に健康保険等の被用者保険関係につきましては、第一に、健康保険の任意継続被保険者の被保険者資格期間を、現行の六カ月から一年に延長することといたしております。
第二に、健康保険、船員保険、公共企業体職員等共済組合、国家公務員共済組合及び地方公務員共済組合の療養の給付の支給期間につきまして、現行の三年の制限を、被保険者資格存続中の者についてはこれを撤廃し、被保険者資格喪失後の者については五年に延長することといたしております。
なお、本改正は、国民健康保険の療養給付率の引き上げに関する部分は十月一日から、その他の部分は四月一日から実施するものでありますが、国民健康保険の療養給付率の引き上げについては、特別の事情がある保険者で都道府県知事の承認または認可を受けたものに限り、昭和四十年三月末日まで猶予を認め、また、国民健康保険の療養給付期間の制限の撤廃についても同日まで猶予を認めることといたしております。
以上がこの法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
第43回国会衆議院社会労働委員会議録第14号18頁(昭和38年2月27日)〔西村英一厚生大臣発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
まず、すでに皆さんのお手元にこの案文は配付してありますけれども、これを朗読させていただきます。国民健康保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
一政府は、今回の改正法律の実施状況を勘案し、必要ある場合にはさらに財政調整交付金の増額をすること。
二政府は、世帯主の七割給付の完全実施を急ぐとともに、その家族についても可及的すみやかに七割給付を実施すること。
案文を読み上げます。
一政府は、今回の改正法律の地方自治体における実施状況を勘案し、必要ある場合にはさらに財政調整交付金の増額をすること。
二政府は、世帯主の七割給付の完全実施を急ぐとともに、その家族についても可及的すみやかに七割給付を実施すること。
三政府は、国民皆保険の実情にかんがみ、無医地域解消のため、一段と努力すること。もう今、大臣との間に質疑をいたしまして、私が特段に説明することがありません。ただ、一の問題にいたしましても、二の問題にいたしましても、何としても早急に、一の問題は実情にかんがみて何とかこの正常な皆保険が実施されるように、二の問題につきましては、この七割給付というものが家族を含めて早急のうちに実現するように、また三の無医地区解消の問題も、これは大臣以下厚生省の努力によって国民の期待、われわれ社会労働委員会の期待に沿って、これが進展するように特段の御配慮をわずらわしたい、これが本日の附帯決議でございますので、厚生省といたしましても、この趣旨をどうぞ一日も早く実現していただきますようにお願いをするわけでございます。終わります。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=104301087)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。