地方税法の一部を改正する法律案
衆議院 地方行政委員会地方税法の一部を改正する法律案審査小委員会
参議院 地方行政委員会
昭和38年法律第80号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院地方行政委員会・地方行政委員会地方税法の一部を改正する法律案審査小委員会
提案理由
篠田弘作 自治大臣・国家公安委員会委員長 昭和38年2月21日ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と要旨を御説明申し上げます。
地方税につきましては、従来、累次にわたる改正により、住民負担の軽減合理化をはかって参ったのでありますが、引き続きできる限り、住民負担の軽減合理化に努める必要があると存じます。ただ、地方財政の現状は逐次好転して参っておりますものの、地方行政の水準はなお低く、その向上をはかることは国家的見地からも緊要とされておるのでありますが、明年度の税収入には大幅な伸びを期待することが困難な状況にあります。従いまして、明年度の地方税制の改正につきましては、このような地方財政の実情を考慮して、国で必要な財源措置を講ずることとし、電気ガス税及び国民健康保険税の軽減をはかりますとともに、その他税負担の均衡化、合理化のため所要の改正を行なうことといたしたのであります。
また地方税の徴収制度につきましても、社会の進展と従来の運営の実情とにかんがみ、国税の改正に準じて、納税義務の円滑な履行と税務行政の合理的運営に資するため、所要の改善合理化を行なうことといたしました。
まず、地方税負担の軽減合理化に関する改正につきまして、その概略を御説明申し上げます。
第一は、電気ガス税及び市町村たばこ消費税についてであります。
電気ガス税につきましては、住民負担の軽減をはかる趣旨から、昨年に引き続きその税率を一%引き下げて八%とすることとし、これに伴う減収を補てんするため、国からたばこ専売納付金の一部の移譲を受けて、市町村たばこ消費税の税率を一・四%引き上げ一三・四%にいたしました。
第二は、国民健康保険税についてであります。
低所得者層の国民健康保険税の負担を軽減するために、国の財政措置と相待って、本税の納税義勝者及びその世帯貝の所得の合算額が一定額以下の場合には、被保険者均等割額または世帯川平等割額を減額することといたしました。
なお、国民健康保険税の標準課税総額につきましても、療養の給付及び療養費の総額から一部負担金の額を控除した額の百分の七十五に引き下げることといたしております。
第三は、固定資産税についてであります。国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会の保健施設及び農林漁業団体職員共済組合の病院、診療所、保健施設について固定資産税を課さないこととしました。
また、鉄軌道用地及び鉱業用坑道につきましては、これらの固定資産の特殊性にかんがみ、評価基準の合理化を図って固定資産税の負担の軽減を行なうことといたしております。
第四は、不動産取得税についてであります。農林漁業団体職員共済組合病院、診療所の用に供する不動産については不動産取得税を課さないこととし、また、中小企業工場集団化のため事業協同組合等が不動産を取得して組合員に譲渡した場合における事業協同組合等に対する納税義務免除の期間について合理化をはかることといたしております。
第五は、狩猟免許税及び入猟税の創設についてであります。
最近における野生鳥獣減少の傾向にかんがみ、野生鳥獣の保護を強化し、狩猟の適正化をはかるため、別途狩猟法の改正が行なわれることとなっておりますが、この改正に関連して、地方税制におきましても一現行の狩猟者税を廃止し、新たに狩猟免許税及び入猟税を設けることといたしました。
狩猟免許税は、狩猟免許を受ける者に対し、免許を受ける都道府県において課することとし、その税率は、甲種または乙種狩猟免許については十五百円とし、そのうち、道府県民税所得割の納税義務を有しない者には七百円とし、また、丙種狩猟免許については四百五十円としております。
入猟税は、鳥獣の保護及び狩猟に関する行政を積極的に推進するための目的税として設けるものであります。狩猟免許税と同様、狩猟免許を受ける者に対し、免許を受ける都道府県において課するものでありますが、その税率は、甲種または乙種狩猟免許については千円、丙種狩猟免許については三百五十円とし、狩猟免許税とあわせて徴収することといたしております。
以上のほか、他の法律の改正等に関連して、税負担の合理化を推進するため所要の規定を整価することといたしております。
今回の地方税負担の軽減合理化に関する改正による減税額は、電気ガス税五十二億円、国民健康保険税四十二億円及び固定資産税三億円並びに国税改正に伴う減税十六億円で合計百十二億円でありますが、さらに昨年改正が行なわれました市町村民税の準拠税率の引下げが昭和三十八年度から実施されます結果、これによって百三十億円の減税が行なわれますので、昭和三十八年度の地方税の減税規模は二百四十二億円となる次第であります。しかしながら前に申し上げましたように、国からの税源移譲による市町村たばこ消費税の税率の引上げ、国民健康保険税の減額にかかる国庫負担金の増加並びに狩猟者税の改正に伴う増収がありますので、差引百四十七億円の減収となります。
次に、地方税徴収制度の改善合理化に関する改正につきまして、その概略を御説明申し上げます。
第一は、延滞金及び各種加算金の軽減合理化についてであります。
延滞金及び延滞加算金につきましては、この両者を統合して延滞金とするとともに、現行の日歩三銭または六銭を日歩二銭または四銭に引き下げることとしました。
次に、不申告加算金につきましては、現行では申告遅延の期間に応じて一〇%ないし二五%となっているのを一律一〇%に改め、また重加算金は現行五〇%を三〇%に引き下げることといたしました。
第二は、地方税の賦課権の期間制限についてであります。
地方税の賦課権を行使することができる期間につきましては、従来特別な規定がなく、地方税の徴収権の時効期間である五年間と同様であると考えられていたのでありますが、これを徴収権の時効と区別し、原則として法定納期限から三年間としたものであります。なお、住民税及び事業税は国税の所得税または法人税と関連を有しますので、これらの税が確定したときから二年間賦課権を行使することができることとする等、必要な特例を設けております。
第三は、納税手続の改善合理化その他規定の整備についてであります。
納税者の納税の便宜を主眼とし、また徴収事務の合理化をはかるために、災害の場合の申告期限等の延長、申告書等の提出についての到達主義の緩和、地方税に関する端数計算方法の合理化等、制度の整備改善を行なうことといたしております。
なお、この法律案の施行につきましては、地方税負担の軽減合理化に関する改正は公布の日から施行することとし、地方税徴収制度の改善合理化に関する改正は地方団体の事務の実情を考え、その円滑な実施をはかるために、原則として、本年十月一日から施行することといたしております。
以上が、地方税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお順い申し上げます。
第43回国会衆議院地方行政委員会議録第9号17頁(昭和38年2月21日)〔篠田弘作自治大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=104301101)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。