法人税法案
参議院 大蔵委員会
昭和40年法律第34号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院大蔵委員会
提案理由
田中角榮 大蔵大臣 昭和40年2月26日所得税法案、法人税法案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
政府は、昭和四十年度の税制改正の一環として、国民負担の現状に顧み、中小所得者を中心とする所得税の負担の軽減及び企業課税の軽減を行なうとともに、納税者の理解を容易にする見地から、現行の所得税法及び法人税法の体系的な整備と平明化をはかるため、この両法について全面的な改正を行なうこととし、また、最近の経済情勢に応じ、当面要請される諸施策に対応する税制上の特別措置を講ずるため、ここに所得税法案、法人税法案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
まず、所得税法案の内容について、その大要を申し上げます。
第一は、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかることであります。
すなわち、基礎控除を現在の十二万円から十三万円に、配偶者控除を現在の十一万円から十二万円に引き上げることとするほか、扶養控除につきましても、十三歳以上の者の控除額を現在の五万円から六万円に、十三歳未満の者の控除額を現在の四万円から五万円に、それぞれ引き上げることとしておるのであります。
また、最近における給与所得者の負担の現状に顧み、給与所得控除について、定額控除を現在の二万円から三万円に、控除率二〇%の適用範囲の限度を現在の四十万円から五十万円に、最高限度額を現在の十四万円から十五万円に、それぞれ引き上げることとしておるのであります。
さらに、最近における一般的給与水準の上昇等を考慮しまして、青色申告者及び白色申告者の専従者控除について、それぞれ三万円ずつ引き上げることといたしておるのであります。
以上申し述べました諸控除の引き上げにより、所得税が課税されない所得の限度は、夫婦子三人の計五人家族の標準世帯を例にとりますと、給与所得者では現在の約四十八万円から約五十六万円に、事業所得者のうち、青色申告者につきましては現在の約四十三万円から約五十万円に、白色申告者につきましては現在の約三十七万円から約四十二万円に、それぞれ引き上げられることになるのであります。
このほか、医療費控除について、現在十五万円とされております控除限度額を三十万円に引き上げることとし、また、少額貯蓄非課税制度につきましても、非課税元本の限度額を現在の五十万円から百万円に引き上げることといたしておるのであります。
第二は、納税者の理解を容易にする見地から、規定の体系的な整備と表現の平明化を中心とする税法の整備をはかるため、現行所得税法の全面的な改正を行なうこととしたのであります。
この全面的な改正にあたっては、租税法律主義をたてまえとしつつ、同時に、一般の納税者にわかりやすい法令体系にするため、現在政令または省令で規定されている事項で重要なものは法律において規定することとするとともに、規定の配列、表現の平明化等についても理解しやすいものにするよう配意しております。
また、このほか、課税標準及び税額の計算並びに申告、納付及び還付の手続に関しましても、所要の整備、合理化をはかることといたしております。
次に、法人税法案の内容について、その大要を申し上げます。
まず第一は、中小法人を中心とする法人税負担の軽減をはかることであります。
すなわち、各事業年度の所得に対する留保分の法人税率を、普通法人にあっては、年三百万円以下の所得金額について現在の三三%から三一%に、年三百万円をこえる所得金額につきましては現在の三八%から三七%に、公益法人、協同組合等にあっては、現在の二八%から二六%に、それぞれ引き下げることといたしますほか、同族会社の課税留保所得を計算する場合の控除額を、現在の所得金額の二〇%と百万円とのうち、いずれか大きい金額から、所得金額の二五%と百万円とのうち、いずれか大きい金額に引き上げることといたしておるのであります。
第二は、所得税法の場合と同様、納税者の理解を容易にする等の見地から、法人税法の全面的な改正を行なうこととしたことであります。
次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案の内容について、その大要を申し上げます。
第一は、利子所得及び配当所得の源泉徴収税率の軽減措置につき、現在の五%の税率を一〇%に引き上げて、なお二年間存続することとする一方、資本市場の育成等に資するため、利子所得の分離課税の特例の適用期限を二年間延長することとなし、また、新たに、配当所得について次のような措置を講ずることにいたしておるのであります。
その一は、昭和四十年一月一日から二年間に支払いを受ける株式配当金のうち、一銘柄につき年五万円以下のものは確定申告を要しないこととすることであります。
その二は、昭和四十年五月一日から二年間に支払いを受ける株式配当金については、一銘柄の所有株式数が発行済み株式総数の五%以上の株式の配当と、一銘柄につき年五十万円以上の配当とを一除き、一五%の税率による源泉選択制度を創設することであります。
第二は、鉱産物資源の開発の促進等に資するため、探鉱準備金制度及び探鉱費の特別控除制度を創設し、昭和四十年四月一日から三カ年間に限り、これを認めることにいたしておるのであります。
第三は、国際競争力の強化等に資するため、技術等海外取引の特別控除制度の適用対象に、新たに対外支払い手段を対価とする建設請負、修理加工及び映画上映権の譲渡等を加えることとしております。
第四は、中小企業の近代化等に資するため、中小企業近代化資金助成法に基づく一定の共同店舗について、初年度十分の一の特別償却制度を創設することといたしておるのであります。
第五は、最近における交際費の支出の状況に顧み、法人の交際費の課税の特例について、その損金不算入割合を、現在の三〇%から五〇%に引き上げることといたしておるのであります。
第六は、農業協同組合等の留保所得の一部非課税措置の特例を、生産事業を行なわない森林組合及び同連合会についても適用することとしておるのであります。
第七は、山林所得に対する所得税の課税について、昭和四十年一月一日から三年間、再植林費特別控除を行なうこととするほか、山林所得の概算経費率の算定方式の合理化をはかることとしておるのであります。
なお、以上申し述べましたもののほか、外貨債の円滑な発行及び消化に資するため、特定の利付外貨債の償還差益を非課税とし、また、ブドウ糖の消費促進をはかるため、一定の規格のブドウ糖混和砂糖について、砂糖消費税の税率を軽減し、さらに、中小企業近代化資金助成法の工場等集団化計画の実施にかかる土地の所有権取得登記の登録税及び遠洋区域に出漁する漁船の所有権の保存登記等の登録税について、税率を軽減することといたしておるのであります。また、このほか、昭和三十九年度末に期限の到来する特別措置のうち、特定公共事業の用地の買収等の場合の課税の特例、事業用資産の買いかえの場合の課税の特例、農業生産法人に現物出資した場合の納期限の延長の特例、鉱業用坑道及び造林費の特別償却の特例並びに特殊の外貨借り入れ金等の利子の税率の軽減等について、なお二年間その適用期限を延長する等の措置を講ずることとしておるのであります。
以上、三法律案の趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)
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法人税法案(内閣提出)、租税特別措置法の一
部を改正する法律案(内閣提出)及び所得税
法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
第48回国会衆議院会議録第11号3頁(昭和40年2月26日)〔田中角榮大蔵大臣発言・発言番号15〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=104801049)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。