砂糖の価格安定等に関する法律案
参議院 農林水産委員会
昭和40年法律第109号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
- S40.4.27趣旨説明農林水産委員会 3267
- S40.5.7補足説明農林水産委員会 3467
- S40.5.11質疑農林水産委員会 35130
- S40.5.15質疑農林水産委員会 37239
- S40.5.17委員長報告・修正案・採決(修正)本会議 4546
- S40.5.17修正案・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)・附帯決議農林水産委員会 38112
- S40.6.1附帯決議本会議 1
参議院農林水産委員会
- S40.5.12趣旨説明・質疑本会議 1853
- S40.5.18趣旨説明・補足説明・議案(衆議院修正部分)農林水産委員会 23170
- S40.6.1委員長報告・採決本会議 2492
- S40.6.1質疑・採決農林水産委員会 26278
提案理由
赤城宗徳 農林大臣 昭和40年4月27日次に、砂糖の価格安定等に関する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。
わが国の甘味資源対策につきましては、政府は昨年制定されました甘味資源特別措置法によりまして、適地における甘味資源作物の生産を振興し、農業経営の改善と農家所得の安定、砂糖類の自給度の向上及び甘味資源にかかる国際競争力の強化に資する方針で、甘味資源の保護育成のための施策を進めてまいったのであります。幸い寒地てん菜及びてん菜糖をはじめ、南西諸島におけるサトウキビ及び甘蔗糖やイモでん粉を原料とするブドウ糖等着実な生産の伸長を見せ、農業経営の改善と農家所得の安定に大きく貢献しつつあるところであり、また砂糖の著しい消費の増大にもかかわらず、砂糖類の自給度も逐年向上し、沖繩産糖も含め現在三割以上に及んでいるところであります。
しかしわが国の砂糖の需給の現状は、なおその大部分を輸入糖に依存しておりますため、世界砂糖市場の特異性による国際糖価の激しい騰落によりまして、国内糖価は大幅な変動を続けており、今後とも不安定なまま推移することを余儀なくされるものと考えられるのであります。
このような不安定な事態は、甘味資源の振興対策に対しても重大な悪影響を及ぼし、これら原料作物の生産農家の所得をもきわめて不安定ならしめるとともに、これを原料とする国内産糖及び国内産ブドウ糖にかかる関連産業の健全な発展を阻害することになり、国民生活の安定上も好ましくないことは明らかであります。
すなわち昨年来の国際糖価の暴落により、国内糖価は予想以上に下落するところとなり、政府は国内産糖及び国内産ブドウ糖の買い入れ措置を講じ、農業所得の安定と甘味資源作物の価格支持につとめてまいったのでありますが、現状においては政府の買い入れは砂糖の市価回復の効果を生ぜず、政府の買い入れ措置もかえってその政府在庫が糖価低迷の原因となり、いたずらに政府の損失を増大させる結果を招来し、甘味資源対策は現在きわめて困難な状況に直面しているところであります。
したがいましてかかる事態の解決のためには、すみやかに糖価の安定と甘味資源の価格支持の方式の改善につきまして、抜本的な対策を確立する必要があると考えられるのであります。
もとよりわが国が開放経済に向かっている今日、国際糖価の趨勢に照応し、自由化のメリットを生かしつつ、生産の合理化と糖業の健全な発展をはかるべきことは言うまでもないところであります。
政府は以上の諸般の事情を十分配慮いたし、甘味資源の生産の安定とあわせて国民の消費生活の安定とをはかるため、国際糖価の異常変動を除去して国内糖価の平準化、安定化をはかるとともに、さらに国内産糖については、甘味資源作物の生産の見通しや国際糖価の動向等を考慮して合理化目標価格を設定して、これが実現をはかることとし、このため輸入糖との価格調整を行なう一方、甘味資源作物の価格支持を強化する等の必要な措置を講ずるため、ここに砂糖の価格安定等に関する法律案を提出した次第であります。
以下この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。
その第一は、砂糖の価格安定に関する措置についてであります。わが国の砂糖の価格が輸入糖の価格によって支配されている現状にかんがみまして、次の措置により国内糖価の安定をはかることといたしております。
その一は、毎砂糖年度、砂糖の上限及び下限価格並びにその幅の中において国内産糖の合理化目標価格を設けることにいたし、これにより輸入糖の価格の調整をはかることといたしております。すなわち国内に輸入される砂糖の価格の上限価格をこえて騰貴し、または下限価格を下って低落することを防止し、その幅の中に安定するよう価格調整をはかるほか、国際糖価が国内産糖の合理化目標価格を下って低落するような場合には、国内産糖と輸入糖との価格関係の調整を行なうこととし、その価格調整の方式として糖価安定事業団による輸入糖の買い入れ及び売り戻しの措置によることといたしております。なお安定上下限価格につきましては、国際糖価の通常の変動の上限及び下限を基準として定めることとし、消費者に不当な負担と不利益を及ぼすことのないよう配慮するとともに、これにより国内産糖製造事業を含め、精製糖企業の秩序ある合理化が促進され得ることを期待しているところであります。
その二は、糖価安定に関する補完措置についてであります。糖価安定事業団の行なう輸入糖の価格調整によって一応国内糖価の安定が期待し得るわけでありますが、さらに国際糖価の高騰の際に糖価安定事業団の行なう輸入糖の価格調整措置によっては砂糖の価格を安定させることが困難な場合にあっては、国は砂糖についての関税率の引き下げその他の措置を講ずべきこととし、糖価安定に対する国の責任を明確にすることにしております。またこの法律案は、粗糖の輸入数量には規制を加えておりませんので、砂糖の需給が著しく不均衡となり、その結果安定下限価格に見合う価格を下って国内糖価が低落するおそれがある場合に備えまして、かかる際には農林大臣は精製糖の製造業者に対し、砂糖の製造、販売数量の制限に関する共同行為を実施すべきことを指示し得ることとし、その指示に従ってする共同行為については、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律を適用除外することとしております。
第二は、国内産糖及び国内産ブドウ糖の価格支持に関する措置についてであります。糖価安定事業団は、国内産糖製造業者が農林大臣が定める最低生産者価格を下らない価格で生産者から買い入れたてん菜またはサトウキビを原料として製造した国内産糖をその申し込みに応じて買い入れ、かつ売り戻すこととし、また農林大臣の指示に基づき、国内産ブドウ糖の製造事業者から、その申し込みに応じてイモでん粉を原料として製造されるブドウ糖を買い入れ、かつ売り戻すこととしております。このような措置により国内産糖及び国内産ブドウ糖の価格支持を行ない、糖価の安定措置と相まって、甘味資源作物の生産農家の所得の安定をはかることといたしておるのであります。
第三は、糖価安定事業団についてであります。以上に述べましたような事業の実施にあたるため、輸入にかかる砂糖の価格調整並びに国内産糖及び国内産ブドウ糖の価格支持のための砂糖及びブドウ糖の買い入れ及び売り戻しの業務を行なうことを目的として、糖価安定事業団を設けることといたしております。なお糖価安定事業団のする国内産糖及び国内産ブドウ糖の買い入れ及び売り戻しの対価の差額の補てんについては、国の責任部分と輸入糖との価格調整によって行なう部分とを明確にし、国の責任部分についてはそれに相当する金額を一般会計から糖価安定事業団に交付するものとしております。
最後に、この法律は公布の日から施行することとしておりますが、輸入糖の価格調整については昭和四十砂糖年度から行なうこととしております。
また甘味資源特別措置法の国内産糖及び国内産ブドウ糖の政府買い入れに関する規定は、この法律の制定に伴い改定することとし、これに伴い経過措置のほか、食糧管理特別会計法について砂糖類勘定を廃止する等の所要の改正規定を設けております。
以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くだいますようお願い申し上げます。
沖繩産糖の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。
沖繩における砂糖の生産は、近年飛躍的に増大し、そのほとんどが本邦に輸出され、わが国の砂糖の重要な供給源の一つとなっておりますとともに、サトウキビ及び砂糖の生産の沖繩における農業及び経済に占める地位はきわめて高く、したがって国際糖価の低落時には、沖繩におけるサトウキビ生産農家の受ける影響には著しいものがあると考えられるのであります。
そこで政府といたしましては、沖繩に対する援助措置の一部として、サトウキビの生産者の農業経営の改善と農家所得の安定に資するため、沖繩産糖の政府買入れに関する特別措置法によりまして、国内産糖に準じ沖繩産糖の政府買い入れを行なっている次第でありますが、今回砂糖の価格安定等に関する法律案において、国内産糖及び国内産ブドウ糖の価格支持の方法を改正することといたしましたことに伴い、沖繩産糖の価格支持の方法につきましても国内産糖に準じ改正することが適当であると考えられますので、ここに沖繩産糖の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案を提案する次第であります。
この法律案の要旨は、第一には、砂糖の価格安定等に関する法律案の規定により設立されることとなる糖価安定事業団の業務として沖繩産糖の買い入れ及び売り戻しの業務を行ない得ることとしたことであります。第二には、農林大臣は毎年、糖価安定事業団の沖繩産糖の買い入れの価格を定めることとし、これを下って砂糖の価格が低落している場合において農林大臣が指示したときは、糖価安定事業団は沖繩産糖を買い入れるものとし、買い入れの発動要件を明確化したことであります。
なおこの法律案は、昭和四十砂糖年度以降の沖縄産糖について適用し、昭和四十年九月三十日までに製造される沖繩産糖の同日までの政府買い入れば、従前の例によることといたしております。
以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重に御審議上の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
第48回国会衆議院農林水産委員会議録第32号16頁(昭和40年4月27日)〔赤城宗徳農林大臣発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
附帯決議(案)政府は、左記の諸点に留意して、本法の施行の円滑を期すべきである。記
一てん菜等の最低生産者価格については、生産費と適正な所得が確保されるよう配慮し、生産農民の生産意欲が昂揚されるよう決定すること。
二国内産糖合理化目標価格の基礎となる目標生産費の算定に当っては、甘味資源作物の生産振興に資することとなるよう十分に配慮すること。
三国内糖価の安定を図るため、精糖企業の過当競争を防止するよう指導するとともに、精糖企業の合理化を推進すること。
四適正な消費者価格形成と流通段階の合理化につき検討を行ない、本法の糖価安定の効果が末端消費者にまで均てんするよう努めること。なお、国際糖価の高騰時に際し、糖価の安定をはかることができるよう砂糖の関税に関する法令の改正等の措置をすみやかに行なうこと。
五国内産糖及び国内産ぶどう糖の事業団の買入れについては、特に国内甘味資源の生産の振興の見地より買入措置等につき万全の配慮を行なうこと。
六国内産糖製糖企業の健全な育成にあたっては、その前提となる原料作物の供給増大のため、土地改良等の諸条件の整備を行ないうるよう、国の責任において重厚な施策を講じその実現に努めること。
七でん紛の需要の確保と密接な関連をもつ水飴等につきその需要を維持するため、政府在庫でん紛の指名競争入札等による払下げ及び水飴企業の近代化、合理化等につき必要な措置を講ずるよう努めること。
八本法による国内産糖及び国内産ぶどう糖の価格支持とあいまって、甘味資源特別措置法による甘味資源生産振興施策の一層の充実に努め、農業所得の向上と国際競争力の強化を図ること。
九国内産糖合理化目標価格及び安定上下限価格てん菜等の最低生産者価格その他重要事項につき甘味資源審議会の意見を聴取するようすること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=104801131)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。