引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律案
衆議院 内閣委員会
昭和42年法律第114号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院内閣委員会
- S42.7.14趣旨説明・質疑内閣委員会 31181
- S42.7.17委員長報告・採決・附帯決議本会議 4062
- S42.7.17質疑・採決・附帯決議内閣委員会 32141
参議院大蔵委員会
- S42.7.18趣旨説明・補足説明・質疑大蔵委員会 29113
- S42.7.20質疑大蔵委員会 30233
- S42.7.21附帯決議本会議 1
- S42.7.21採決・委員長報告本会議 2894
- S42.7.21質疑・討論・採決・附帯決議大蔵委員会 3166
提案理由
塚原俊郎 総理府総務長官 昭和42年7月14日ただいま議題となりました引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
過般の大戦の終結に伴い、海外にあったきわめて多数の同胞が本邦への引き掲げを余儀なくされることとなり、政府はこれらの方々に対して種々の援護更生施策を講じてまいったのでありますが、これらの引き揚げ者は海外において有していた財産をそのまま放置し、ほとんど無一物となって引き揚げざるを得なかったことなどから、これらいわゆる在外財産に関する処理の問題は、多年論議の対象とされてきたところであります。この間政府は、昭和二十九年に設置された在外財産問題審議会の意見等を考慮し、昭和三十二年に引き揚げ者給付金支給等の措置を講じたのでありますが、この給付金支給等の措置は、引き揚げ者がその全生活の基盤を失ったという特殊事情に着目しつつ、主としてそれら引き揚げ者の国内における社会復帰に資するために講ぜられた措置であるということから、世上においては在外財産そのものについての論議が、いわゆる補償要求等の形においてその後もなお続けられてきたのであります。このような実情に顧み、政府は、この問題の最終的解決をはかるため、あらためて昭和三十九年に在外財産問題審議会を設置し、同年十二月内閣総理大臣から、在外財産問題に対しなお措置すべき方策の要否及びこれを要するとすればその処理方針はいかにあるべきかについて諮問がなされたのでありますが、その後同審議会においては、きわめて慎重かつ熱心に問題の究明を行なっていたところ、昨年十一月、ようやく答申の提出を見るに至ったのであります。
右の答申は、まず、在外財産に対し国に法律上の補償の義務はないとして、いわゆる補償問題に明確な結論を与える一方、引き揚げ者は、終戦に伴い、長年住みなれた社会の中で居住すること自体が許されなくなったことにより、通常の財産のほかに、それらの物の上に成り立ち、また、それらのものがそこから生まれ出る資本でもあつたところの人間関係、生活利益等、生活を営む上で、最も基本となるささえまでも一切失ったという点において他と異なる特異な実情にあることに顧み、このような単なる財産ではなく、特別な意味と価値とを持った財産の喪失に対し、国が特別の政策的措置として引き揚げ者に交付金を支給し、これに報いることこそは、在外財産問題の中に残された最後の課題を解決するゆえんであるといたしているのであります。政府といたしましては、この答申の趣旨にのっとり、在外財産問題の最終的解決をはかるため、引き揚げ者に対する特別の措置として交付金支給の措置を講ずることが適切であると考え、その具体的内容について種々検討をいたしました結果、ここにこの法律案を提案することとした次第であります。
以下、この法律案の概要について御説明いたします。
まず、第一に、特別交付金の支給を受けることができる者は、引き揚げ者、死亡した引き揚げ者の遺族及び引き揚げ前死亡者の遺族でありますが、ここで引き揚げ者と申しますのは、外地に終戦時まで一年以上引き続き生活の本拠を有しており、終戦に伴うやむを得ない理由により引き揚げた者等をいい、引き揚げ前死亡者とは、右と同様の事情において引き揚げる前に外地において死亡したものをいうことといたしております。
また、特別交付金の支給を受ける遺族の範囲は、死亡した引き揚げ者または引き揚げ前死亡者と物心両面において最も密接な関係にあったと考えられるこれらの者の配偶者、子、父母及び孫としており、これらの者の間の順位はそれぞれこの順序によることといたしております。
第二に、特別交付金の額についてでございますが、引き揚げ者に対するものにつきましては、終戦特等における年齢の区分により五十歳以上の者に十六万円、三十五歳以上五十歳末満の者に十万円、二十五歳以上三十五歳未満の者に五万円、二十歳以上二十五歳未満の者に三万円、二十歳未満の者に二万円とし、さらに、外地に終戦時等まで引き続き八年以上生活の本拠を有していた者については、これらの額に一万円を加算した額といたしております。また、遺族に対する特別交付金につきましては、同じく死亡した者の終戦時等における年齢区分によりそれぞれ引き揚げ者に対する特別交付金の額の七割の額とし、加算額は七千円といたしております。
第三に、特別交付金の支給は、これを受けようとする者の請求に基づいて行なうこととしておりますが、この請求は、昭和四十五年三月三十一日までにしていただき、この期間に請求のない場合には、特別交付金は支給しないこととしております。
第四に、特別交付金は、十年の間に償還する無利子の記名国債をもって支給することとしております。
以上のほか、特別交付金を受ける権利及び国債についての譲渡等の制限、特別交付金に関する処分についての不服申し立て期間の特例、特別交付金及びそれに関する書類についての非課税、不正手段により特別交付金を受給した者に対する措置、特別交付金支給の実施機関等、所要の事項を規定いたしております。
以上が、この法律案を提出いたしました理由と法律案の概要であります。
何とぞ慎重審議の上、すみやかに可決されますようお願いいたします。
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第55回国会衆議院内閣委員会議録第31号4頁(昭和42年7月14日)〔塚原俊郎総理府総務長官発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の実施にあたり次の事項について配慮するよう要望する。
一生活困窮者等に対して買上償還等の措置を講ずること。
二本法第七条第四項の規定による担保権設定についての政令を制定する場合には、特別交付金支給の趣旨にそうよう善処すること。なお、原爆被爆者等の援護措置については、其の緊急性にかんがみ、特段の配慮をするよう要望する。
附帯決議案を朗読いたします。政府は、本法の実施にあたっては、特に次の事項について配慮するよう要望する。
一生活保護を受けている者に支給する特別交付金は、実情に応じて収入として認定しないよう措置すること。
二生活困窮者に対しては、買上償還等の措置を講ずること。
三本法第七条第四項の規定による担保権設定についての政令を制定する場合には、特別交付金支給の趣旨にそうよう善処すること。なお、原爆被爆者等の医療手当については、特段の配慮をするよう要望する。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=105501148)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。