農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案
参議院 農林水産委員会
昭和43年法律第42号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
- S43.3.21趣旨説明農林水産委員会 4175
- S43.3.26質疑農林水産委員会 5171
- S43.3.27質疑農林水産委員会 6262
- S43.4.2参考人招致農林水産委員会 894
- S43.4.3質疑農林水産委員会 9192
- S43.4.9質疑農林水産委員会 11130
- S43.4.10参考人招致・質疑農林水産委員会 12137
- S43.4.16質疑・附帯決議・採決農林水産委員会 13100
- S43.4.16採決・委員長報告・附帯決議本会議 2440
参議院農林水産委員会
- S43.4.18趣旨説明・補足説明農林水産委員会 10149
- S43.4.23質疑農林水産委員会 1186
- S43.4.25質疑・採決・附帯決議農林水産委員会 12169
- S43.4.26採決・委員長報告本会議 1663
- S43.6.3附帯決議本会議 1
提案理由
安倍晋太郎 政府委員(農林政務次官) 昭和43年3月21日農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案の提案理由を説明をいたします。
わが国の農業金融制度につきましては、逐年整備改善を行ない、融資額も農業者の資金需要に応じて年々増大しているところでありますが、最近における農業の動向に即応し、農産物等の流通改善を含めて農業近代化のための諸施策を推進するためには、一そう内容の整備充実をはかる必要があると考えられますので、新たに総合資金制度と卸売市場近代化資金制度を設けることとし、農林漁業金融公庫法等の改正を提案する次第であります。
まず、総合資金制度について申し上げます。近年におけるわが国の農業の動向を見ますと、経済全般が高度な成長を続ける中にあって、農業近代化を推進する必要がますます強まっているところでありますが、特に、農業生産の中核的なにない手となる生産性の高い農業経営を育成し、農業生産の維持増大をはかることが緊要であると考えられます。
総合資金制度は、このような観点から、農業者に対し必要な各種資金を総合的かつ円滑に融通するとともに、融資に伴う営農指導を充実することによって、金融の面からも自立経営の育成を促進しようとするものであります。
このため、農林漁業金融公庫に総合施設資金を新設し、自立経営たらんとする農業者に対し、経営規模の拡大、資本装備の高度化等農業経営の改善に必要な各種施設資金を、一つの資金として、包括的に融資することとしております。
また、この場合、農業経営を改善するのに必要な運転資金の融通を円滑にするため、農業信用基金協会が債務保証を行なうときは、これは農業信用保険制度の対象とするよう農業信用保証保険法の改正を行なおうとするものであります。
次に、農畜水産物の卸売市場近代化資金制度について申し上げます。生鮮食料品等農畜水産物の卸売市場が、生産物の販売の円滑化をはかるためにも、また国民消費生活の安定向上をはかるためにも、きわめて重要な役割りをになっていることは申すまでもないところであります。
特に、近年における生鮮食料品の流通をめぐる諸情勢の変化の中で、その施設の近代化と運営の改善は強く要請されるところであります。現在、生鮮食料品等の卸売市場としては、中央卸売市場が二十五都市に五十五市場開設されているほか、地方卸売市場が全国で一千九百余設置されております。しかし、その実態を見ますと、全国に分散する多数の地方卸売市場につきましては、施設の計画的整備と運営の改善をはかることが急務となっております。
また、中央卸売市場につきましても、市場運営の改善合理化を進めるため、卸売り人、仲買い人等関係事業者の施設の近代化が強く要請されております。
以上のような観点に立ち、政府といたしましては、生鮮食料品等の流通の近代化のための施策の重要な一環として、卸売市場の改善整備をはかるため長期低利の融資を行なうこととし、これについては、農畜水産物の生産と密接な関連を有する点に着目し、農林漁業金融公庫法を改正し、同公庫に卸売市場近代化資金制度の創設をはかることといたしました。本資金制度においては、民営地方卸売市場の開設者、卸売市場の卸売り人、中央卸売市場の仲買い人等に対し、卸売市場の施設及びそれらの者の業務の近代化のために必要な各種施設の整備のための資金を融資することといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及びおもな内容であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
次に、北海道寒冷地畑作賞農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法は、北海道における寒冷のはなはだしい特定の畑作地域を寒冷地畑作振興地域として指定し、この地域内の農業者で営農改善計画を立て、これに基づいてその営農の改善をはかろうとする者に対し、農林漁業金融公庫が必要な資金を貸し付けることにより、当該農業者の経営の安定をはかることを目的とするものでありまして、昭和三十四年に制定されたものであります。
この法律は、二回にわたる改正を経て今日に至っておりますが、この間における北海道畑作農業を取り巻く諸条件の変化等にかんがみ、かつ、昭和四十一年春におけるこの法律改正の際の本委員会における附帯決議の御趣旨に沿い、政府におきましては、昭和四十一年度以来鋭意対策調査を実施し、本制度につきまして種々の側面から検討を加えてまいったのであります。
この調査の結果によれば、寒冷な気象条件に加えて排水不良で、かつ、土壌の物理的、化学的性質等の劣悪な畑が広く分布している寒冷地畑作振興地域において、安定的な農業経営の育成を総合的かつ効率的に行なうためには、現行の融資措置及び一般の土地改良事業のみでは必ずしも十分とはいいがたい点があるのであります。そのため、北海道寒冷地畑作営農改善資金の貸し付けの種目を拡充し、かつ、貸し付け条件を改善することにより、本地域の寒冷な気象条件に積極的に適応した営農の確立をはかるとともに、新たに畑地における劣悪な条件を改善し、営農基盤を整備するための土地改良事業を総合的に実施するほか、家畜の飲用水等を確保するための営農用水事業を実施することとしたのであります。
本法律案は、これらの対策のうち立法措置を必要とする営農改善資金融通制度の改善について所要の措置を講じようとするものであります。
以下、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。
改正点の第一は、農林漁業金融公庫が貸し付ける営農改善資金として、新たに乳牛もしくは肉用牛の購入に必要な資金を加えることであります。
第二は、営農改善資金の貸し付け利率を据え置き期間中は年四分五厘以内、償還開始後は年五分以内とし、据え置き期間につきましても八年以内に改めることであります。
第三は、営農改善資金の貸し付け資格の認定申請期限を五カ年延長して、昭和四十八年三月三十一日とすることであります。
以上が、本法律案の提案理由及びその主要な内容でございます。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案について、その提案理由を御説明申し上げます。
南九州における畑作農業は、夏季の多雨及び特殊な火山噴出物の広範な分布等はなはだしく不良な自然条件のもとで行なわれているため、その農業生産力はきわめて低く、農業所得は恒常的に低位な状態にとどまっているのであります。
政府といたしましては、かねてから所要の対策を講じてまいりましたが、去る昭和四十一年春、本委員会における北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案の御採決の際に行なわれました附帯決議の御趣旨に沿い、昭和四十一年度以来対策調査を実施し、南九州畑作農業の振興についての基本的な方策のあり方について種々の側面から検討を加えてまいったわけでございます。
この調査結果によりますと、南九州の劣悪な気象条件、土壌条件等を克服して安定的かつ合理的な畑作営農の確立をはかるためには、地域の営農条件に適応しつつ、高収益作目の積極的導入によって作目転換をはかる必要のあることが指摘されるのであります。しかしながら、南九州の畑作農家は、その生産性及び農業所得の低さから資本蓄積はきわめて低い現状にありますので、営農改善を進めるためには、必要な資金を総合的かつ長期低利に貸し付ける資金融通制度の確立をはかる必要があります。また、劣悪な土壌条件に対処し、かつ、合理的な農業経営の確立をはかるためには、防災のための農地保全事業とともに営農近代化のための圃場整備事業、畑地かんがい事業等を行なうことも必要であります。
したがいまして、今回策定いたしました本地域に対する対策は、農林漁業金融公庫による畑作営農改善資金の融通と、農地保全事業を中心とする土地改良事業の総合的実施等をその根幹としているわけでございますが、このうち畑作営農改善資金の融通制度につきましては、特別の立法措置を必要といたしますので、ここに御提案申し上げたわけであります。
以下、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。
まず第一に、農林大臣は、関係県知事からの申請に基づき、南九州の地域のうち、政令で定める基準に適合する畑作地域を南九州畑作振興地域として指定することとしております。
第二は、農林漁業金融公庫は、南九州畑作振興地域内の農業者で、営農改善計画を立て、これに基づき営農の改善をはかろうとする者に、必要な資金を長期低利な条件が総合的に貸し付けることとしております。
第三に、営農改善資金の貸し付けを受けようとする者は、営農改善計画を作成して、一定の期限までに関係県知事に提出して、その認定を受けなければならないこととしております。
第四に、関係県知事の指導等に関することを規定しております。
以上が、この法律案の提案理由及びその主要な内容でございます。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
第58回国会衆議院農林水産委員会議録第4号3頁(昭和43年3月21日)〔安倍晋太郎政府委員発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、農業金融の将来あるべき方向につき、系統金融と制度金融が有機的な関連をもつべきものであることを認識し、両金融制度の本来あるべき分担を明確にして、農業金融制度の充実に力をいたすとともに、制度金融についても確固たる農林漁業の諸政策を樹て、これと調和のとれた金融体系を整備すべきである。当面、左記事項につき、すみやかに検討を加え、その実現を図るべきである。記
一総合資金制度が包括融資制度であることにかんがみ、農業近代化資金及び運転資金についても公庫施設資金と一本化して貸付けられるようにするとともに、貸付条件の改善を図ること。
二総合資金制度は、強い選別融資の性格をもつ制度であり、且つ、特殊な貸付決定の方式を採用していることにかんがみ、担保保証については、大巾な緩和を図ること。なお、農業財団担保制度の研究を進めるとともに、農業動産抵当制度の改善等農業金融担保制度の整備を図ること。
三総合資金の貸付に当たっては、単協育成を図る意味から単協の機能を充実し、都道府県信連の直貸方式のみでなく単協の転貸または事務取扱いができるよう努めること。
四公庫は、資金貸付に当り、手続の簡素化、資金の弾力的運用及び事務の円滑化について適切な措置を講ずること。
五中央及び地方の農畜水産物卸売市場の一貫した行政を強化するため、卸売市場法の制定等総合的な法制の整備を図ること。
六中央卸売市場の卸売業者の転送については種種の弊害が生じている現状にかんがみ、これを除去するため、公正且つ、厳格なルールを確立し、これを遵守せしめること。
七中央卸売市場の卸売業者の手数料、出荷奨励金等の改善を図るとともに、明朗、公正な市場運営を確保するためいやしくも市場内において不明朗、不公正な事態の起ることのないよう特に監督及び指導に万全を期すること。
八中央卸売市場の仲買業者の整備資金に、仲買業者の統合に伴なう営業権取得資金を加えること。九、卸売市場整備資金の資金枠の確保及び貸付条件の緩和について改善を図ること。
十生鮮食料品の規格、包装の標準化を進め、取引の簡素化を図り、迅速、且つ、合理的な運営を実現できるよう積極的な施策を講ずること。
保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)政府は、農業金融の重要性にかんがみ、今後の農業者の資金需要の増大、農政諸施策の展開に即応して、左記事項の実現に努め、一段とその効果的運用を確保するよう万全を期すべきである。記
一総合資金制度の運用にあたっては、農業近代化資金および運転資金をも一体とした円滑な貸付けを行なうとともに、融資枠の拡大、融資条件の改善、手続の簡素化を図ること。
二総合資金の貸付けにあたっては、当然地域の農業経営に即した審査、選定と融資後の経営指導の万全を期するため、融資協議会に単位農協等農業団体の意見を十分反映せしめるよう配慮すること。また融資農業者の経営指導については、系統農協の営農指導を十分配慮し、農業改良普及事業、農業融資コンサルタント等の指導組織と関連して、その充実を期すること。
三農業金融の比重の増大、とくに総合資金制度の対象農業者の選別及び貸付け方式の特殊性にかんがみ、担保保証の大巾な緩和を図り、農業動産抵当制度の改善等農業金融担保制度の整備を講ずること。
四農業経営の発展を期待する多くの農業者の資金需要に対処するため、農業近代化資金の融資枠の拡大、貸付対象の拡充、償還期限の延長、セット融資の拡大等に努めること。
五中央卸売市場および地方市場の新たな長期的展望に立って、施設整備、合理化を計画的に推進するため、卸売市場法の制定等の総合的な法制の整備を図ること。
六都道府県が行なう卸売市場整備計画の策定を促進するとともに、卸売市場近代化資金の融資枠の拡大、融資条件の緩和、手続の簡素化等に努めること。なお、拠点的地方市場に対する、国、地方公共団体の助成、援助の充実を期すること。
七中央卸売市場については、卸売業者の手数料交付金等の改善を図り、指導監督を強化し、市場取引の公正化、能率化に資するよう配慮するとともに、国の助成援助の強化に努めること。
八中央卸売市場における仲買業者の近代化資金に業者の統合にともなう営業権取得資金を加える等その大型化、健全化を進めること。
九生鮮食料品の流通近代化、物価の安定に資するため、生産者団体が産地および消費地に設置する荷捌施設、集配センター施設等の流通施設に対し、農業近代化資金の積極的導入を図ること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=105801079)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。