農林物資規格法の一部を改正する法律案
衆議院 農林水産委員会
昭和45年法律第92号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
- S45.5.7趣旨説明・補足説明・質疑農林水産委員会 2485
- S45.5.8質疑・採決・討論・附帯決議農林水産委員会 2594
- S45.5.8採決・委員長報告・附帯決議本会議 2562
参議院農林水産委員会
- S45.5.13趣旨説明・補足説明・質疑・討論・採決・附帯決議農林水産委員会 20214
- S45.5.13附帯決議本会議 1
- S45.5.13委員長報告・採決本会議 1799
提案理由
渡辺美智雄 政府委員(農林政務次官) 昭和45年5月7日農林物資規格法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
近年、食品工業等の発展と相まって、食料消費の高度化、多様化は著しいものがあり、特に加工食品等についてその品質の向上と表示の適正化に対する要請はますます強まっております。このような状況に対処し、加工食品等につきまして適正な規格を制定し、その普及につとめるとともに、その品質表示の適正化をはかることは、消費者保護基本法の趣旨に沿って消費者保護対策を強化するという見地から現下の急務であるばかりでなく、食品工業等の健全な発展を期するためにも重要な課題であります。政府といたしましては、このような見地から、農林物資規格制度に必要な改正を加えることとし、この法律案を提出する次第であります。
なお、この法律案は、第六十一回国会に提出し、審議未了となったものと同一のものでありまして、消費者保護対策の強化が急務となっていることにかんがみ、本国会に再度提出したものであります。
次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。
その第一は、今回の改正が単なる制度の手直しにとどまらず、消費者保護の強化という新たな観点からするものであることを明らかにするため、題名を農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律と改めるとともに、目的に農林物資の品質に関する適正な表示を行なわせることによって一般消費者の選択に資する旨を明定いたしたことであります。
その第二は、最近における加工食品等の輸入の増加の傾向に対処し、この法律の対象となる農林物資の範囲を拡大し、輸入品をも対象に含めることとしたことであります。
その第三は、日本農林規格の運用に関する諸制度を整備改善することであります。すなわち、日本農林規格の普及をはかるため、加工食品等の工場生産の実情に即した格づけ方式として、いわゆる認定工場制を法律に明記することといたしますほか、登録格づけ機関の公共的性格にかんがみ、登録格づけ機関の格付けの義務、登録の要件等についての所要の規定を整備することとしております。
その第四は、品質表示の適正化に関する措置を定めたことであります。
日本農林規格におきましては、品質の基準のほか表示の基準をも定めているのでありますが、これによる格づけを受けるかどうかは、あくまで事業者の自主的選択にまかせることとなっておりますので、日本農林規格の制定のみをもってしては、表示の完全を期することはできないのであります。他方、一般消費者が商品を選択する際、品質を識別するために必要な表示を事業者に行なわせることは、社会的な強い要請となっているのであります。
このような状況に対処するため、この法案におきましては、新たに、日本農林規格が制定されているか、または制定されると見込まれる農林物資のうち必要があるものについて、事業者が守るべき表示の基準を定めるものとし、また、これを順守させるため、農林大臣が、表示の基準を守らない事業者に対してこれを守るべき旨の指示をし、この指示に従わない者があるときはその旨を公表することができることとしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
続いて、卸売市場法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
生鮮食料品等を取り扱う卸売り市場は、多数の農林漁業者に対し安定的な販路を提供するとともに、都市の消費者にとっての日常食料品の配給機構の中核となるという重要な役割りを果たしておりますが、近年、卸売り市場をめぐる諸事情は、都市化の進展、消費の高度化、産地の大型化、小売り業の近代化等急激に変化しつつあります。このような動向に対応して生鮮食料品等の生産及び流通の円滑化をはかるため、中央卸売り市場に関する制度を改善するとともに、中央卸売り市場以外の卸売り市場についても統一的な法制を整備すべきであるとの要請が、生産者、消費者その他各方面から高まってきているのであります。
こうした情勢にかんがみ、卸売り市場制度改正の方向につき、中央卸売市場審議会において調査審議するなど広く各界の意見を求めつつ慎重な検討を重ねた結果、この際、中央卸売り市場法を廃止し、新たに、中央卸売り市場のみならず、その他の卸売り市場をも含めて、その整備を計画的に促進するための措置、その適正かつ健全な運営を確保するための措置等を定めることが必要であると考え、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
第一は、卸売り市場の整備改善を長期の見通しに立って計画的に推進するための措置であります。
すなわち、農林大臣は、卸売り市場整備基本方針及び中央卸売り市場整備計画を定めるものとし、また、都道府県知事は、これらに即して、都道府県卸売り市場整備計画を定めるものとしております。
第二は、中央卸売り市場に関する規定であります。
中央卸売り市場につきましては、基本的には現行の中央卸売り市場法に基づく制度を引き継ぐこととしておりますが、その開設及び運営のあり方等につき所要の改正を行なうこととしております。
まず、広域的な市場行政を展開する等の見地から、市場の開設資格、市場の開設認可の基準、中央卸売り市場開設運営協議会の設置等に関する諸規定を整備することとしております。
次に、卸売り業者について他の法人に対する支配関係の届け出その他業務運営の適正健全化をはかるための措置を定めるとともに、仲卸業者及び売買参加者に関する規定を整備することとしております。
また、中央卸売り市場における売買取引について、適正な価格形成と取引能率の向上をはかり、かつ、流通秩序を保持する等の見地から、せり売りまたは入札の原則及び委託販売の原則とその例外措置について所要の規定を設けるほか、卸売りの相手方の制限、せり人の登録、仲卸業者の業務の規制等について定めることとしております。
第三は、地方卸売り市場に関する規定であります。
まず、中央卸売り市場以外の卸売り市場でその施設が一定規模以上のものを地方卸売り市場として、その開設及び卸売りの業務は、条例で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならないものとしております。
また、地方卸売り市場における売買取引について、買い受け人等に対する不当な差別的取り扱いの禁止、せり売りまたは入札の原則等を定めるとともに、開設者及び卸売り業者に対する都道府県知事の監督処分等に関する規定を設けることとしております。
以上のほか、中央卸売り市場の施設整備についての国の補助等について定めることとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決いただきますようお願い申し上げます。
第63回国会衆議院農林水産委員会議録第24号14頁(昭和45年5月7日)〔渡辺美智雄政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、食料品に関する消費者保護が諸外国に比して立ち遅れている現状にかんがみ、左記各項のすみやかな実現を図るべきである。記
一食品の規格は、食品のもっている多面的な性格にかんがみ、その安全性、栄養性、嗜好性、経済性等を考慮して統一的観点から定めなければならない。従つて、すみやかに統一的食品規制の制度を検討し、そのさいは、食品の製造基準、表示方法等についてあらためて統一的に強化すること。
二食品の規格および表示に関する制度および行政機構が分立しており、種々の問題を惹起していることにかんがみ、食品に関する本制度の運用にあたつては、関係諸制度との連絡・調整を緊密に行ない、消費者の利益の保護に遺憾なきを期すること。
三食品の品質および表示に関する監視体制が不備であることにかんがみ、政府の機構および人員を十分活用して、その充実を図ること。
四本法により現在規格化されている食品のなかで、たとえば、果実飲料のJAS規格のように規格基準にあいまいなものが多く、原料生産者、消費者双方から苦情が寄せられているので、政府は、すみやかにすべての農林物資の規格基準について再検討し、その引上げなど適切な措置をとること。
五農林物資の生産の合理化、取引の単純公正化及び使用・消費の合理化のため、すみやかに生鮮食品及び加工食品の包装材料、包装単位、容器の大きさ、量目等の基準を整備し、その標準化に努めること。
六添加物問題の重要性にかんがみ、JAS規格の制定にあたっては、不必要な添加物の使用は、これを排除する方向で対処すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106301084)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。