裁判所法の一部を改正する法律案
参議院 法務委員会
昭和45年法律第67号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院法務委員会
- S45.3.24趣旨説明法務委員会 94
- S45.4.7質疑法務委員会 15102
- S45.4.10質疑法務委員会 1779
- S45.4.14参考人招致・質疑法務委員会 18333
- S45.4.17質疑・討論・採決・附帯決議法務委員会 2089
- S45.4.17委員長報告・採決・附帯決議本会議 2078
提案理由
小林武治 法務大臣 昭和45年3月24日次に、裁判所法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、近年における経済事情の変動にかんがみ、簡易裁判所が取り扱う民事訴訟の範囲を改定しようとするものであります。
御承知のとおり、簡易裁判所の取り扱う民事訴訟の目的の価額については、昭和二十九年の改正により、十万円をこえないものとされ、今日に至っております。しかし、その間わが国の経済は著しい成長を遂げてきたのでありまして、統計によりますと、国民の所得や消費にも著しい増大があったほか、物価についてもかなりの程度の上昇を見たことが知られるのであります。かような経済事情の変動を考慮いたしますと、前回の改正以来すでに十数年を経過した今日におきましては、簡易裁判所が取り扱うことができる訴訟の範囲は狭きに失するに至っており、この際、これに右の経済事情の変動に応じた改正を加える必要があると認められるのであります。
そこで、今回、右の経済事情の変動の状況等を勘案して、簡易裁判所が取り扱う民事訴訟の目的の価額の上限を三十万円に改めることといたしました。
なお、この措置に伴いまして、訴訟の目的の価額を算定することができない請求につきましては、現在と同様に地方裁判所がこれを取り扱うことになるように、民事訴訟法に所要の改正を加えることといたしております。
以上が裁判所法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
次いで、訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、民事訴訟及び刑事訴訟の証人、鑑定人等の日当、宿泊料等の最高額をそれぞれ増額しようとするものであります。
第一点は、日当の増額であります。現在、民事訴訟における当事者及び証人並びに刑事訴訟における証人の各日当は、その最高額を千三百円と定められ、また、民事訴訟における鑑定人等及び刑事訴訟における鑑定人、国選弁護人等の各日当は、その最高額を千百円と定められているのでありますが、最近における経済変動等を考慮いたしまして、いずれもその最高額を引き上げることとし、当事者及び証人の日当につきましては千六百円に、また、鑑定人、国選弁護人等の日当につきましては千四百円に、それぞれ改めようとするものであります。
第二点は、宿泊料並びに鉄道及び汽船の通ずる水路を除く旅費すなわちいわゆる車賃の増額であります。現在、民事訴訟及び刑事訴訟における証人、鑑定人等の宿泊料及び車賃の最高額は、国家公務員が出張した場合に支給する宿泊料及び車賃の定額に準じて、宿泊料については特別区の存する地等においては二千円以内、その他の地においては千六百円以内と定められ、車賃については一キロメートルごとに八円以内と定められているのであります。政府におきましては、国家公務員の旅行の実情等にかんがみ、国家公務員について、内国旅行における宿泊料等の定額を引き上げる必要を認め、別途今国会に国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしましたが、証人等の宿泊料及び車賃につきましても、右の法律案における取り扱いに準じて、それぞれその最高額を引き上げる必要があると考えられますので、今回、宿泊料につきましては、特別区の存する地等においては二千七百円、その他の地においては二千三百円、車賃につきましては一キロメートルごとに十三円に改めようとするもであります。
以上がこの法律案の趣旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
以上であります。
第63回国会衆議院法務委員会議録第9号4頁(昭和45年3月24日)〔小林武治法務大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
一政府及び裁判所は、簡易裁判所判事の任用に関し、可及的に法曹有資格者をもつてこれに充てる等、簡易裁判所判事の充実強化に努めること。
二裁判所は、民事訴訟法第二編第四章「簡易裁判所の訴訟手続に関する特則」の活用に努め、簡易裁判所本来の機能を発揮しうるよう努めること。
三簡易裁判所の民事関係事物管轄の改正にかんがみ、裁判所は訴訟当事者の意向を尊重し、不動産に関する訴訟その他複雑な事件の取扱いについては、民事訴訟法第三十条第二項、第三十一条の二の活用により簡易裁判所の管轄に属する訴訟を地方裁判所において処理しうるよう努めるとともに、政府及び裁判所はこれに関する法改正についても検討すること。
四政府及び裁判所は、裁判所法の今次改正にかんがみ、速やかに第一審裁判所としての地方裁判所及び簡易裁判所の人的、物的設備の充実強化に努めること。
五政府及び裁判所は、即決和解に対する請求異議事件を地方裁判所の管轄とする法改正について検討すること。
附帯決議案文を朗読いたします。
一今後、司法制度の改正にあたっては、法曹三者(裁判所、法務省、弁護土会)の意見を一致させて実施するように努めなければならない。
一政府及び最高裁判所は、簡易裁判所設立の趣旨を尊重し、民事訴訟法第二編第四章「簡易裁判所の訴訟手続に関する特則」を活用すると共に、公害の多発等社会情勢の変化に対応した調停制度の刷新強化をはかるべきである。更に、簡易裁判所に於ては、犯罪捜査における強制処分のための令状の発付が適正に行なわれ、人権侵害がおこらないように努めなければならない。
一不動産に関する訴訟その他複雑な事件の第一審裁判については、地方裁判所が取扱うようにすべきである。そのため、民事訴訟法第三十条第二項、第三十一条の二を活用すると共に、必要ならば民事訴訟法文は民事訴訟規則を改正すべきである。
一地方裁判所に於ては、裁判の公平と迅速のために、刑事事件に於ては、検察官手持証拠を被告人側に事前一括開示するようにし、民事事件に於ては、公害事件の挙証責任について、被害者側の負担を軽減するようにすベきである。そのため必要ならば、法令の改正について検討すべきである。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106301090)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。