電気工事業の業務の適正化に関する法律案
参議院 商工委員会
昭和45年法律第96号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
海部俊樹 議員(発議者) 昭和45年3月3日電気工事業の業務の適正化に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
近年、国民生活の高度化によって各種の電気用品が広く普及し、家庭の電気の使用が著しく増大するとともに、家屋構造の変化、屋内配線技術の革新等と相まって、一般家庭等に設置される一般用電気工作物は、著しく複雑化、大型化してきております。これに伴いまして、一般用電気工作物の保安の確保の必要性は、ますます高まっているのであります。
現在、これらの一般用電気工作物に関する保安の確保をはかるための法律的措置としては、電気用品取締法によって配線材料等に関して必要な規制を行ない、電気工事士法によってその設置の作業に従事する者の資格及び義務を定めているほか、電気事業法においても保安上必要な規制を行なっております。
しかしながら、一般用電気工作物の設置者である一般国民は、通常、電気工事に関する専門的な知識に乏しく、その設置の工事を行なう電気工事士をみずから監督指導してその安全性の確保をはかることができないのが実情であり、また、電気工事士は通常電気工事業者の従業員としてその作業に従事しているため、電気工事業者の規制を行なっていない現行法の体系は、遺憾ながら一般用電気工作物の保安を確保するため十分であるとは言いがたい状態にあります。
したがって、一般用電気工作物による災害の発生の防止に万全を期するためには、一般国民から依頼を受けて電気工事士を使い電気工事を行なう電気工事業者の責務を法律上明らかにする必要があるのであります。
ここに提出しました電気工事業の業務の適正化に関する法律案は、このような最近の事態に対処して一般用電気工作物の保安の確保をはかることを目的としているものでありまして、このため電気工事業を営む者の登録及び主任電気工事士の設置その他の業務の規制を行ない、電気工事業を営む者の業務の適正な実施を確保しようとするものであります。
次に本法案の概要を御説明申し上げます。
第一は、電気工事業を営む者の登録に関する規定であります。
すなわち、電気工事業を営む者は、通商産業大臣または都道府県知事の登録を受けなければならないこととし、何人も登録を受けないで電気工事業を営むことを禁止したことであります。
第二は、電気工事業者の業務に関する規定であります。
電気工事業者は、その営業所ごとにその業務にかかる電気工事の作業を管理させるため、電気工事士免状の交付を受けた後、電気工事に関し三年以上の実務経験を有する等、その職務を遂行できる要件を備えた電気工事士を主任電気工事士として置かなければならないこととするほか、電気工事士以外の者を電気工事の作業に従事させることの禁止、電気工事業者でない者に電気工事を請け負わせることの禁止、電気用品取締法による所定の表示が付されていない電気用品の使用の禁止、必要な器具の備えつけ、標識の掲示、帳簿の備えつけ等の規定を設けて、業務の適正な実施を確保させることとしております。
第三は、苦情の処理のあっせん等の規定であります。
通商産業大臣または都道府県知事は、その登録を受けた電気工事業者と注文者との間の電気工事に関して生じた苦情の処理のあっせん等につとめなければならないことといたしております。
そのほか、危険等防止命令、登録の取り消し、報告の徴集、立ち入り検査等の監督、手数料、罰則等所要の規定を設けたことであります。
なお、建設業法の適用を受けている建設業者には、本法案の登録及び登録の取り消しにかかる部分の規定は適用しないこととするとともに、その者が電気工事を営むときは、本法案の登録を受けた電気工事業者とみなして、本法案の業務、監督等の規定を適用することとしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願いいたします。
第63回国会衆議院商工委員会議録第2号16頁(昭和45年3月3日)〔海部俊樹議員発言・発言番号8〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は本案の施行に当り次の諸事項の実現につき努力すべきである。
一電気保安協会による定期検査が的確に行なわれるよう十分に指導すること。
一電気工事士に対する研修、講習等を行なって資質の向上に努めるとともに、電気工事士法についても検討すること。
一本法の運用に当っては、中小電気工事店の経営に影響を与えないよう特に配慮するとともに、中小電気工事店の業務の近代化の指導にあたること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106302002)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。