証券取引法の一部を改正する法律案
参議院 大蔵委員会
昭和46年法律第4号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院大蔵委員会
参議院大蔵委員会
- S46.2.5趣旨説明・補足説明大蔵委員会 358
- S46.2.18質疑大蔵委員会 6153
- S46.2.23参考人招致・質疑・採決・附帯決議大蔵委員会 7114
- S46.2.24附帯決議・採決・委員長報告本会議 636
提案理由
中川一郎 政府委員(大蔵政務次官) 昭和46年2月3日まず、証券取引法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
証券取引法における有価証券の発行、流通に関する制度は、昭和二十八年以来今日に至るまで改正が行なわれておりませんが、この間、わが国証券市場及びこれを取り巻く諸情勢は大きく変化してまいりました。すなわち、近年における証券市場の拡大は著しく、その果たすべき役割りはますます重要なものとなってきております。さらに、最近におけるわが国経済の国際化、資本取引の自由化の進展は、証券市場の動向にきわめて大きい影響を及ぼしつつあります。
このような情勢の変化に即応いたしまして、投資者保護の一そうの徹底をはかり、また企業の長期資金調達の円滑化及び証券市場の秩序維持に資するため、この際、企業内容開示制度の改善合理化を行なうとともに、株式の公開買い付けの規制に関する制度を新たに設ける必要があると認められますので、ここに、この法律案を提出することとした次第であります。
以下、この法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
この法律案は、大別して二つの部分から成っております。
第一は、企業内容の開示制度に関するもので、現行証券取引法第二章を改正しようというものであります。企業内容開示制度は、有価証券届出書、有価証券報告書等により企業の財務、営業等の内容を広く投資者に公開するための制度でありますが、今回、これに全般的な再検討を加えまして、証券市場の今後の趨勢に適応し得るよう所要の改善合理化をはかることといたしました。
まず、企業が増資等に際して大蔵大臣に提出する有価証券届出書につきまして、その提出基準を引き上げ、開示の時期を早めるなど、最近における増資の実態に即応し得るように改めることとしております。
次に、企業が毎事業年度提出する有価証券報告書につきまして、提出会社の範囲の拡大、半期報告書及び臨時報告書制度の創設等により、流通性に富む有価証券の発行会社の企業内容が、投資者に適時適切に開示されるようにすることとしております。
また、企業の粉飾決算は依然としてあとを断ちませんが、粉飾についての民事上及び刑事上の責任に関する現行規定は、投資者保護の上からは十分でないと考えられます。したがいまして、最近の実例にもかんがみ、これを整備、強化いたしますとともに、粉飾決算を行なった企業に対しましては、相当の期間内は増資等ができないように、大蔵大臣が行政処分を行ない得ることとしております。
第二は、株式の公開買い付けの規制に関する制度の創設でありまして、証券取引法に第二章の二を追加しようとするものであります。
わが国経済の国際化に伴い、近年諸外国で企業の合併、経営権取得等の手段として広く用いられている公開買い付けによる株式の大量取得が、今後わが国においても行なわれるようになることが予想されます。現行法では、これに関して何らの規定もなく、全く当事者の自由にまかされた形になっておりますが、これでは、さような事例が実際に発生いたしました場合、投資者保護と証券市場の秩序維持という点から見て好ましくないと考えられますので、これに対処すべく一定のルールを設けようとするものであります。
すなわち、この法律案におきましては、ある会社の株式を一定割合以上取得するため、市場外において不特定多数の者に対して買い付けの申し込みをしようとするときは、あらかじめ買い付けの期間、価格等、公益または投資者保護上必要と認められる一定の事項を記載した届出書を大蔵大臣に提出し、かつ、その効力が発生した後、これを公告しなければならないこととしております。さらに、公開買い付け者に対し対象会社への通知を義務づけ、一方、対象会社には意見表明の機会を与える等、所要の規定を設けることといたしております。
第65回国会衆議院大蔵委員会議録第2号12頁(昭和46年2月3日)〔中川一郎政府委員発言・発言番号6〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
案文は印刷してお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただきます。御承知のとおり、最近におけるわが国経済の国際化の進展及び証券市場の規模拡大等の趨勢に顧み、投資者保護の徹底、企業の長期資金調達の円滑化及び証券市場の秩序維持に資するため、証券取引法の一部を改正する法律案が提出されたのであります。本法案は、最近の諸情勢に照らしつつ、今後の証券市場、さらには国民経済の発展に前向きに対応していこうとするものであり、これをもって有価証券の発行、流通に関する基本的な法的整備が一応仕上がることになると考えられます。したがいまして、当委員会といたしましては、政府に対し、今後このような法制整備を踏まえた上で、投資者保護の一そうの徹底をはかり、有価証券の発行、流通に関する制度につきまして、今回の改正の趣旨を徹底するため、今後、連結財務諸表制度の採用、監査基準の整備等をはかるよう所要の検討を行なうべきであります。また、公開買い付けに対する規制に関する制度についてでありますが、この制度は新しく創設されました制度でありますことにかんがみまして、投資家保護の見地に徹して、十分適正な配慮をいたし、その運営に当たられることであります。さらに、わが国企業の長期資金調達の円滑化と自己資本の充実に資するため、公社債市場の正常化その他資本市場の改善、合理化に一そうの配意を要請いたしたいと思うのであります。以上が提案の趣旨であります。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106501009)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。