消防法の一部を改正する法律案
衆議院 地方行政委員会
昭和46年法律第97号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
秋田大助 法務大臣・自治大臣 昭和46年2月16日ただいま議題となりました消防法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
最近における産業経済の発展及び科学技術の進歩に伴い、火災の原因及び態様は、ますます複雑多様化してまいっております。特に、近年の石油産業の目ざましい発達は、新たな危険物の出現等危険物の種類の多様化、危険物の貯蔵取り扱い量及び危険物施設数の増加、危険物移送の大量化等をもたらしております。また、最近において、旅館、病院、中高層建築物等の火災による人命事故が頻発していることも御承知のとおりであります。
こうした事態に対処するため、今回消防法を改正し、危険物の保安の確保をはかるため、危険物の品名の整理及び指定数量の合理化、危険物取扱者制度の整備、タンク・ローリによる危険物の移送の監視等の措置を講ずるとともに、旅館、病院、中高層建築物等における防火管理の徹底をはかるため、防火管理者の選任命令等所要の措置を講じようとするものであります。
次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一は、危険物の保安を確保するため、次の三点について所要の措置を講じようとするものであります。
第一点は、危険物の品名の整理及び指定数量の合理化についてであります。現在、危険物の範囲は、その大半が個別の物品名をあげることにより定められているため、新たに危険物として規制すべき物品が出現しても、そのつど法改正を行なわない限り危険物として取り扱うことができないという不都合な結果が生ずることとなっていますので、今回これを改め、危険物として規制すべき危険性のある物品を、その性状に応じて一定の基準により分類し、その基準に該当する物品は、個別に品名をあげることなく危険物の範囲に含まれることとなるよう措置することとしました。これにより、現在危険物とされていない固体のアルキルアルミニウム等も危険物として取り扱われることになります。また、危険物として規制されることとなる最低数量、いわゆる指定数量についても、それぞれ危険物の危険性に応じ、その合理化をはかることとしております。
第二点は、危険物取扱者制度の整備についてであります。現在、危険物取扱主任者免状の交付を受けた者であっても、事業主によって危険物取扱主任者に選任されない限り、危険物の取り扱い作業ができないこととされていますが、このことは必ずしも合理的でないものと考えられますので、今回、免状の交付を受けた者はすべて危険物の取り扱い作業ができることとし、あわせて危険物取扱主任者の名称を危険物取扱者に改めることとしました。また、危険物取扱者制度には、現行の甲種及び乙種のほかに、たとえば灯油を販売する薪炭業者のように、特に限定された危険物のみを取り扱う者に対する簡易な資格として、新たに丙種の危険物取扱者制度を設けることとしております。
第三点は、タンク・ローリによる危険物の移送の監視についてであります。最近におけるタンク・ローリの増加、交通事情のふくそう等にかんがみ、危険物の移送の保安を確保するため、タンク・ローリにより危険物を移送する場合には、危険物取扱者をこれに乗車させることとする等、タンク・ローリによる危険物の移送の保安体制を確立することとしております。
第二は旅館、病院、中高層建築物等における防火管理の徹底についてであります。旅館、病院、中高層建築物等多数の者を収容する建築物においては、防火管理者を選任して防火管理上必要な業務を行なわせなければならないことになっています。しかしながら、現実には、防火管理者を選任していなかったため、火災予防上重大な支障が生じた事例の多いことにかんがみ、消防機関が防火管理者の選任を命ずることができることとする等、防火管理の一そうの徹底を期することとしております。
第三は、救急業務を行なう市町村の指定方式の改善についてであります。現在、救急業務は、政令で定める基準に該当する市町村に実施義務が課されておりますが、この義務づけを個々の市町村を政令で指定することにより行なうこととし、市町村の救急需要の実態に即した義務づけが行なわれるよう、その合理化をはかろうとするものであります。
以上が消防法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
第65回国会参議院地方行政委員会会議録第4号1頁(昭和46年2月16日)〔秋田大助法務大臣発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106501048)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。