勤労婦人福祉法案
衆議院 社会労働委員会
昭和47年法律第113号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院社会労働委員会
- S47.5.9趣旨説明・質疑社会労働委員会 23225
- S47.5.16質疑社会労働委員会 26146
- S47.5.25質疑社会労働委員会 3092
- S47.5.30質疑社会労働委員会 31111
- S47.6.6質疑・修正案趣旨説明・修正案・附帯決議・採決(修正)社会労働委員会 34156
- S47.6.6委員長報告・修正案・採決(修正)・附帯決議本会議 3632
参議院社会労働委員会
- S47.6.8趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明・質疑・議案(衆議院修正部分)社会労働委員会 21270
- S47.6.16質疑・採決・附帯決議社会労働委員会 2534
- S47.6.16採決・委員長報告本会議 21156
- S47.6.16附帯決議本会議 1
提案理由
塚原俊郎 労働大臣 昭和47年5月9日ただいま議題となりました勤労婦人福祉法案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
御承知のとおり、近年、婦人の職場進出は著しく、雇用者総数の三分の一、約一千百万人に達し、特に、既婚婦人がその過半数を占めるに至っており、今後とも勤労婦人の経済及び社会に果たす役割は大きくなるとともに、婦人の生涯における職業生活の意義もますます高まるものと思われます。
これら勤労婦人が職業生活と家庭生活との調和をはかるとともに、その能力を有効に発揮して充実した職業生活を営むことができるようにすることは、勤労婦人自身のためばかりでなく、国家・社会にとりましてもたいへん重要であると存じます。
政府といたしましては、これに対処するためには、勤労婦人の福祉に関する立法措置を講じ、勤労婦人の福祉の増進と地位の向上をはかるための諸施策を推進する必要があると考え、婦人少年問題審議会にはかり、その答申に基づいて、この法律案を作成し、提案した次第であります。
次に、法律案の内容について、その概略を御説明申し上げます。
第一に、この法律の目的は、勤労婦人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、勤労婦人について、所要の措置を推進することにより、勤労婦人の福祉の増進と地位の向上をはかるものであることを明らかにいたしました。
第二に、勤労婦人の福祉に関する原理を明らかにするために、勤労婦人の福祉の基本的理念及び関係者の責務について規定いたしました。
すなわち、勤労婦人の福祉の基本的理念といたしまして、勤労婦人は、次代をになら者の生育について重要な役割りを有するとともに、経済及び社会の発展に寄与する者であることにかんがみ、勤労婦人が職業生活と家庭生活との調和をはかることができるように、また、職場において、母性を尊重されつつその能力を有効に発揮して、充実した職業生活を営むことができるように配慮されるべきであることを明らかにいたしました。
他方、勤労婦人は、勤労に従事する者としての自覚を持ち、みずから進んで、その能力を開発し、これを職業生活において発揮するようにつとめなければならないことといたしました。
さらに、事業主、国及び地方公共団体がそれぞれ勤労婦人の福祉を増進する責務を有することを明らかにしております。
第三に、国及び地方公共団体は、勤労婦人の福祉について国民の理解と関心を深め、かつ、勤労婦人の勤労に従事する者としての意識を高めるとともに、特に、勤労婦人の能力の有効な発揮を妨げている諸要因の解消をはかるため、必要な啓発活動を行なうことといたしました。
第四に、勤労婦人の福祉に関する施策を総合的に推進するため、労働大臣は、勤労婦人福祉対策基本方針を定めることといたしました。
第五に、勤労婦人の福祉に関して、国、地方公共団体及び事業主が講ずる措置について規定いたしました。
その一は、国、地方公共団体は、勤労婦人について、職業指導の充実、職業訓練に関する啓蒙宣伝及び職業訓練の受講を容易にするための措置の実施、職業生活と家庭生活との調和を促進するための指導、相談、講習の実施等福祉増進の措置を講ずるものとしたことであります。
その二は、事業主は、その雇用する勤労婦人が妊娠中及び出産後の保健指導等を受けることができるよう時間の配慮を行ならとともに、勤労婦人が当該保健指導等に基づく指導事項を守ることができるようにするため、必要な配慮をするようにつとめなければならないものとしたことであります。
その三は、事業主は、その雇用する勤労婦人について、必要に応じ、育児休業の実施その他の育児に関する便宜の供与を行なうようにつとめなければならないものとしたことであります。
第六に、勤労婦人のための福祉施設について規定いたしました。すなわち、地方公共団体は、地域の勤労婦人の福祉増進活動の拠点として働く婦人の家を設置するようにつとめなければならないことを明らかにしております。また、働く婦人の家には、勤労婦人に対する相談及び指導の業務を担当するにふさわしい指導員を置くようにつとめなければならないこととしております。
その他労働大臣が行なう調査研究等に関する規定を設け、また、船員及び船員になろうとする者に関しては、運輸大臣が所管することとするため所要の規定を置くことといたしております。
以上、この法律案の提案理由及び内容の概略につきまして御説明申し上げました。
何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
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第68回国会衆議院社会労働委員会議録第23号3頁(昭和47年5月9日)〔塚原俊郎労働大臣発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、特に次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。
一勤労婦人の福祉に関連する施策は、広範、多岐にわたるので、本法の施行に当たつては、男女平等の趣旨のもとに、労働基準法等関係法令の施行及び関係施策との連携を密にし、総合的な効果をあげるように努めること。
二本法の制定を契機として、勤労婦人の労働条件の改善・向上と雇用の安定を図るため、労働基準法その他の関係法令について、基準の引上げ等を再検討するとともに、婦人関係の国際労働条約の批准に努めること。
三育児休業については、その普及が勤労婦人の職業生活と家庭生活との調和を図るうえに重要な意議を有するので、その円滑な普及を図り実効をあげるため、休業中の生活安定等についての専門的な検討を含め必要な措置を講ずるよう努めること。
四本法の施行と相まつて、公立保育所等の設置を促進し、その運営の充実を図るよう整備計画の拡充に努めること。また、事業主が乳幼児の育児に関する施設の設置等を行なうに当たつては、その設備及び運営に関し児童福祉の理念が生かされるものとなるよう配慮すること。
五働く婦人の家については、勤労婦人の福祉を総合的に推進するたての拠点として実効あるものとするため、これを増設しその運営の充実に努めるとともに、児童館その他学童保育施設の設置を促進すること。
六職業訓練法に基づく公共職業訓練等を受講する求職者に支給される訓練手当については、訓練中の生活面を十分配慮したものとするよう努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106801081)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。