熱供給事業法案
参議院 商工委員会
昭和47年法律第88号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院商工委員会
参議院商工委員会
- S47.6.12趣旨説明・補足説明商工委員会 19161
- S47.6.16質疑・附帯決議・採決商工委員会 20361
- S47.6.16委員長報告・採決本会議 21156
- S47.6.16附帯決議本会議 1
提案理由
田中角榮 通商産業大臣 昭和47年4月25日最後に、熱供給事業法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
今日、暖房、冷房、給湯は、より豊かな生活環境を形成する上で不可欠のものとなっておりますが、従来の暖房、冷房等の方式は、個々の部屋ごとまたは建物ごとに設備を置くものが通例でありました。しかし、近時、いわゆる地域冷暖房を主体とする熱利用方式が登場し、その社会的、経済的にすぐれた性格から、急速に普及の段階を迎えようとしておるのであります。本方式は、暖房、冷房等に使用される蒸気、温水または冷水を事業者が集中的に製造し、導管を用いてこれを多数の消費者に供給するものであります。
政府におきましては、このように集中的な熱サービスを行なう事業を熱供給事業として位置づけ、この種事業に歴史を有する欧米諸国の実情を調査する一方、総合エネルギー調査会の審議等を通じて、その経済的、社会的意義と必要な施策について検討を進めてまいりました。その結果、地域冷暖房事業等の熱供給事業については、第一に、これが地域全体の生活環境の改善に寄与するのはもとより、エネルギーの有効利用、都市災害の防止、大気汚染の防止等にも大きく貢献することから、国としてその健全な発達をはかる必要があること、第二に、その際特にこの事業は、一たび事業が開始された後は、その区域について独占的地位を保有するようになるため、消費者の保護が必要となること、第三に、現在法規制が行なわれていない導管等について早急に保安規制を導入することが必要であること、について結論を得た次第でございます。
本法案は、以上の実情にかんがみ、熱供給事業を新たな公益事業として位置づけ、必要な限度で国が監督を行なうことにより、消費者の保護と保安を確保し、あわせて事業の健全な発達をはかろうとするものであります。
次に、本法案の概要を御説明申し上げます。
その内容の第一は、熱供給事業の開始を、通商産業大臣の許可制とし、経理的基礎、技術的能力等を備え、かつ、確実、合理的な計画を有する事業者により事業が遂行されるよう措置したことであります。なお熱供給事業の範囲は、一般の需要に応じて熱供給を行なう事業であって、一定規模以上の供給能力を有するものとしております。
第二は、熱供給事業者に対して、供給区域内の需要に対する供給義務を課するとともに、熱供給の料金その他の供給条件については、これを供給規程に定め、通商産業大臣の認可を受けさせることとしたことでございます。
第三は、熱供給事業の用に供する設備の保安を確保するため、これらの設備は、通商産業大臣が定める基準に適合するように維持すべきものとし、さらに、導管については、工事計画の届け出、使用前検査等の義務を課することとしたことであります。なお、この導管の保安に関する措置については、熱供給事業に該当しない同種の事業に対しても、準用することとしております。
また、熱供給事業に対しては、その健全な発達をはかるため、既存の公益事業と同様の税制上の特例を認めることといたしましたが、このために必要な法人税法及び地方税法の一部改正は、本法の附則であわせて措置しております。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でございます。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛同賜わりますようお願い申し上げます。
第68回国会衆議院商工委員会議録第16号25頁(昭和47年4月25日)〔田中角榮通商産業大臣発言・発言番号64〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法施行にあたり、国民生活の向上、公害の防止等優れた利点を有する熱供給事業の健全な発達を図るとともに、次の諸点について特段の配慮を払うべきである。
一熱供給事業の許可及びその監督にあたつては、環境の保全に留意し、使用燃料の規制、排煙処理設備の整備等総合的な大気汚染防止対策を講じ、公害の発生を未然に防止するよう努めること。
二熱供給施設、特に導管についての監視体制を確立するとともに、他工事等による事故防止対策を樹立し、保安の確保に万全を期すること。
三人口稠密地域における熱供給事業用の燃料については、原則として、無公害燃料を使用するよう指導すること。
四熱供給事業に使用する熱源については、廃棄物の焼却熱、火力発電所の余熱の利用等計画的かつ積極的な活用を図ること。
五熱供給事業者間の熱料金格差を最小限に止めるよう指導するとともに、料金の低減等消費者保護を図るため、適切な指導、助成を行なうこと。以上のとおりであります。決議案の内容につきましては、質疑の過程において、また案文により、十分御了承願えるものと存じますので省略させていただきます。委員各位の御賛同をお願いいたします。
政府は、本法施行にあたり、熱供給事業の健全な発達をはかるとともに、保安確保、公害防止等の見地から、次の諸点についてとくに配慮すべきである。
一熱供給事業の許可およびその監書にあたつては、環境の保全の観点から、地方公共団体の長の意見を尊重するとともに、使用燃料の規制、排煙処理施設の整備等、総合的な大気汚染防止対策を講じ、いやしくも熱供給事業の開始が新たな公害をもたらすことのないよう努力すること。
一熱供給事業者の自主保安体制確立の基礎となる保安規程の届出を受理するにあたつては、保安確保の観点から、厳重な基準を設定してこれを審査することとし、認可制度と同様の行政効果をあげるよう、強力な指導を行なうこと。
一本法に基づく供給規程の認可にあたつては、現在熱供給を業として行なつている者を供給規程の内容にとらわれることなく、消費者保護の見地から十全の認可基準を設定するとともに、供給規程のモデル作成等の措置によつて熱供給事業者の指導を行なうこと。
一熱供給事業が、高熱の湯、蒸気等の導管等による供給を行なう点において、事故発生の場合危険性の多い性格をもつものであることにかんがみ、保安確保の見地から、通商産業省令で定める技術上の基準を完全かつ高度のものとするとともに、熱供給施設、とくに導管に対する監視体制および他工事等による事故防止対策を確立し、安全の確保に万全を期すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106801082)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。