中小企業者の範囲の改定等のための中小企業基本法等の一部を改正する法律案
衆議院 商工委員会
昭和48年法律第115号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院商工委員会
参議院商工委員会
- S48.9.6趣旨説明・補足説明・質疑商工委員会 2373
- S48.9.18質疑・採決商工委員会 26130
- S48.9.19委員長報告・採決本会議 3529
提案理由
中曽根康弘 通商産業大臣 昭和48年4月25日中小企業者の範囲の改定等のための中小企業基本法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
中小企業施策の対象としての中小企業者に関しましては、昭和三十八年に制定されました中小企業基本法をはじめとする関係諸法律により、その範囲が定められております。これらの法律により、現在、鉱工業その他の事業を営む企業につきましては、資本金規模で五千万円以下または従業員数規模で三百人以下のいずれかの条件に該当する企業が、また、商業、サービス業を営む企業につきましては、資本金規模一千万円以下または従業員数規模で五十人以下のいずれかの条件に該当する企業が、それぞれ中小企業者とされている次第であります。
しかしながら、中小企業基本法の制定後すでに十年近くが経過し、この間、経済規模の拡大等、中小企業をめぐる経済情勢の変化は著しく、このような変化に対応して、現行の諸法律における中小企業者の範囲の見直しを行なうよう、これまで関係各方面から強い要望が寄せられてまいりました。なかんずく、鉱工業その他の事業を営む中小企業者の範囲につきましては、近年における資本の充実の進展を勘案して資本金基準を引き上げるべきことが、また、商業、サービス業を営む中小企業者の範囲につきましては、特に業態面で他と異なる特性を有する卸売業を取り出して、資本金基準、従業員数基準の双方を引き上げるべきことが強く要請されてまいったわけでありす。
政府といたしましても、このような御要望に沿って中小企業者の範囲を見直すべく、一昨年以来、内閣総理大臣の諮問機関である中小企業政策審議会の場において慎重な御検討をお願いいたしました結果、昨年八月、「七十年代の中小企業のあり方と中小企業政策の方向について」と題する意見具申により、本問題に関する同審議会の御意見をいただきました。本改正法案は、この意見具申の内容に沿って中小企業者の範囲を改定しようとするものでありますが、その概要は次のとおりであります。
まず、中小企業者の範囲の改定の内容といたしましては、第一に、鉱工業その他の事業を営む企業につきまして、資本金基準を現行の五千万円から一億円に引き上げることとしております。この場合、従業員数基準は、現行どおり三百人に据え置くこととしております。
第二に、商業、サービス業を営む企業につきましては、卸売業を営む中小企業者の範囲を新たに定めることとし、その資本金及び従業員数の基準をそれぞれ三千万円及び百人としております。この場合、小売業及びサービス業を営む中小企業者の範囲につきましては、資本金基準の一千万円と従業員数基準の五十人を現行どおり適用することとしております。
このような改定のためには、中小企業者の範囲の原則的な基準を定めております中小企業基本法の規定を改正することはもとよりといたしまして、その他、個別施策の裏づけとなっております各法律中の関係規定を改める必要があります。これらの法律は、中小企業等協同組合法、中小企業近代化資金等助成法等であり、さきの中小企業基本法を含めて、合計十八法律となっております。
本改正法案は、これら十八の法律のそれぞれに本則の各一条を充てることにより、一括して改正を行ない、もって、中小企業諸施策の総合的、効率的な実施をはかろうとするものであります。
以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
中小小売商業振興法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
中小小売商業は、全国で店舗数百九十万を数え、わが国経済においてきわめて重要な役割りを果たしており、今後とも、国民生活水準の向上に伴い、その役割りはますます増大するものと思われます。
しかしながら、中小小売商業は、資金力の不足、経営体質の改善のおくれ等多くの問題をかかえており、さらにはわが国経済の発展に伴う人手不足の深刻化、消費者の欲求の多様化等新たな経済環境への対応を迫られております。
加えて、最近、百貨店、大型スーパーとの競争が激しくなっており、また、流通部門に対する外国企業の進出が相次いで伝えられるなど、中小小売商業を取り巻く環境は一段ときびしさを増しております。
このような情勢に対処して、中小小売商業者の自主的な近代化努力を促進し、その能力を効果的に発揮できるよう必要な援助を行なうことは、流通の近代化、ひいてはわが国経済の発展のためにもきわめて重要な課題であります。この点に関し、昨年八月に取りまとめられた産業構造審議会流通部会第十回中間答申におきまして、中小小売商業の振興をはかるため、立法措置の検討を含め中小小売商業施策の一そうの強化、拡充をはかるべきであるとの御意見をいただきました。
本法案は、この答申の内容に沿って、中小小売商業施策を抜本的に強化、拡充するとともに、これを総合的に推進することにより、中小小売商業の振興をはかることをねらいとするものであり、その方向は、昨年八月の中小企業政策審議会の意見具申「七十年代の中小企業のあり方と中小企業政策の方向について」の内容にも合致したものであります。法案の概要は次のとおりであります。
まず第一に、通商産業大臣は、中小小売商業の振興をはかるため、中小小売商業者に対する一般的な指針を定め、その要旨を公表することといたしております。
第二に、中小小売商業振興のため特に重要である商店街の整備の事業、中小小売商業者の店舗の共同化の事業及びボランタリーチェーン等の連鎖化事業について特別の助成制度を設けることといたしております。すなわち、それぞれの事業について中小小売商業者を中心としてつくられた組合、会社などが計画を作成して、政府の認定を受けることができることといたしております。国は、認定を受けたこれらの計画の実施を促進するための特別の助成策として、金融面では、中小企業振興事業団の融資を強化、拡充するとともに、中小企業信用保険法の一部を改正して近代化保険を適用するなどの措置をとることとし、また、税制面では、租税特別措置法の定めるところにより一定の資産について特別償却をすることを認めるとともに、一定の土地について地方税法の規定による特別土地保有税の課税対象から除外することといたしております。
第三に、中小小売商業者の経営の近代化のための諸施策について規定を設けることといたしております。すなわち、国は、中小小売商業者の経営の近代化のため必要な資金の確保等につとめること、地域における小売商業の実態等を調査し、その将来の展望を明らかにするようつとめること、中小小売商業の従事者の資質の向上をはかるため研修事業の実施その他の措置を講ずるようつとめること、中小小売商業者の経営の近代化のため必要な指導及び助言を行なうこと、また、これらの施策を講ずるにあたり、小規模企業者の経営の近代化のために特別の配慮をすること等を定めております。
第四に、いわゆるフランチャイズ事業の運営の適正化をはかるための措置について規定しております。すなわち、最近発達し始めたフランチャイズ事業において、本部企業と中小小売商業者である加盟店との間で契約の内容をめぐるトラブルが生ずることを防止する必要がありますので、本部企業は、加盟しようとする者に、契約に先立ち、あらかじめ、重要な契約事項を記載した書面を交付し、その内容について説明しなければならない旨の規定を設けるとともに、政府はこの規定に従わない本部企業に対して勧告を行なうことができるようにいたしております。
これがこの法律の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
第71回国会衆議院商工委員会議録第21号4頁(昭和48年4月25日)〔中曽根康弘通商産業大臣発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、中小企業基本法制定後十年の経過と最近の中小企業をとりまく内外情勢の変化にかんがみ、長期的視野に立脚した中小企業政策を積極的に推進するため、さらに一層の努力を傾注するとともに、特に本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一中小企業関係予算及び財政投融資の大幅な拡充強化を図るとともに、特に小規模企業に対する施策を格段に充実し、中小企業施策が上位規模中小企業に傾斜することのないよう措置すること。
二中小企業の近代化、知識集約化を図るため、新たな構造改善制度を拡充・推進するとともに、中小企業の事業分野の確保について適切な措置を講ずること。
三下請中小企業の振興を図るため、振興事業の推進、下請企業振興協会の拡充等を行なうとともに、下請代金支払遅延等防止法の運用を強化し、同法の規制対象から除外される下請関係については、独占禁止法による規制あるいは行政指導により十分対処すること。
四中小企業の従業員の福利を増進するため、中小企業退職金共済制度の普及改善、社会保険の完全実施、福利厚生施設の整備等、労働福祉対策の拡充に努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=107101084)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。