高圧ガス取締法の一部を改正する法律案
衆議院 商工委員会
昭和50年法律第30号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院商工委員会
- S50.2.19趣旨説明商工委員会 485
- S50.2.28質疑商工委員会 6185
- S50.3.14質疑商工委員会 8153
- S50.3.18質疑・採決・附帯決議商工委員会 9275
- S50.3.25採決・委員長報告・附帯決議本会議 1337
参議院商工委員会
- S50.3.27趣旨説明・補足説明商工委員会 11289
- S50.4.15質疑商工委員会 12204
- S50.4.22質疑・採決・附帯決議商工委員会 13128
- S50.4.25附帯決議・採決・委員長報告本会議 1119
提案理由
河本敏夫 通商産業大臣 昭和50年2月19日高圧ガス取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
現行の高圧ガス取締法は、昭和二十六年に高圧ガスの保安に関する基本的な法律として制定され、その後昭和三十八年の高圧ガス保安協会の設立に伴う改正等を経て今日に至っております。
その間に、高圧ガス製造事業所の大規模化、複雑化等が進行し、一昨年の一連の大規模な爆発火災事故に見られますように、これらの事業所が一たん事故を起こすと、公共の安全の観点からもきわめて問題であり、高圧ガス製造事業所における保安体制の抜本的な強化を図ることが急務となっております。また、一般消費者等における液化石油ガスの急速な普及とともに、その災害の防止のための施策を一層充実することが要請されております。
このような事態に対処するため、政府といたしましては、高圧ガス取締法に基づく保安基準に関する規制の強化等により保安の確保に万全の努力を傾注してまいりましたが、保安問題について抜本的な見直しを行うため、高圧ガス及び火薬類保安審議会に今後の高圧ガス保安体制のあり方について審議をお願いし、昨年七月に答申をいただいた次第であります。
今回の改正は、この答申の趣旨に沿って、高圧ガスの保安体制について緊急に必要とされる改正を行うものであり、高圧ガスの利用の量的、質的変化に即応した保安体制の整備を図ろうとするものでございます。
次にこの法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一は、高圧ガス製造事業所における保安管理組織を強化することであります。高圧ガスによる事故を防止するためには、事業所における保安管理について責任体制を明確化するとともに、高圧ガスに関する十分な知識経験を有する者がこれに当たることが不可欠な要請であります。かかる観点から、事業所の規模に広じ、保安統括者のもとに、工場の主要な分野、機能ごとにピラミッド型に保安管理組織を整備するとともに、これら保安の責任者の資格についても法定することとしております。
第二に、保安の確保のためには高圧ガス製造事業所における自主保安の一層の推進を図ることが必要であることにかんがみ、危害予防規程の充実と従業員の保安教育の強化を図ることとしました。すなわち、危害予防規程については、その認可申請に際して、保安に関し高度の専門的能力を有する高圧ガス保安協会の意見書を添付させることとし、都道府県知事の認可に当たっての判断材料に供することとしたこと、また、事業所の保安教育計画に対して都道府県知事の変更命令権を新たに設け、従業員教育の内容を不断に改善、向上するための措置を講じ得る道を開くこととしたことであります。
さらに、保安担当者の再教育についても法定し、事業者は、保安の担当者に対して高圧ガス保安協会の行う講習を一定期間ごとに受けさせなければならないことといたしました。
政府といたしましては、これらの規定を厳格に運用し、もって保安の確保に万全を期する所存であります。
第三に、高圧ガスの製造のための設備のうち特に爆発等の災害の発生のおそれがあるものについて、製造段階から公的機関による検査を義務づけ、設備の欠陥に基づく災害の発生を未然に防止することといたしております。現行のユーザー段階での完成検査に加えて、メーカー段階からの製造検査を導入することにより保安の確保に万全を期する所存であります。
第四に、高圧ガスの容器及びバルブ類の容器の付属品に対する規制の改善強化であります。バルブ等の高圧ガスの容器の付属品につきましては、新たに容器本体と同様の検査制度をとることにより、これらの欠陥による事故を根絶することを目指しております。また、液化石油ガスの急速な普及に伴って、現在膨大な数の液化石油ガス容器が流通いたしておりますが、現行法の容器証明書制度は、このような容器が普及する前に作られたものであるため、実態にそぐわない面が出ていることにかんがみこれを改善することといたします。
第五に、高圧ガス保安協会に対し、新たに政府出資を行って、同協会の高圧ガス保安の中心的役割りを強化しようとするものであります。高圧ガス保安協会は、昭和三十八年に設立されて以来、高圧ガスに関する保安対策を推進する中核的機関としての役割りを果たしてまいりましたが、液化石油ガス消費者保安対策等に関する業務を抜本的に強化することとするほか、保安情報の収集及び提供等を行う等業務の一層の充実を図ることといたしております。
このほか、小規模な高圧ガス製造事業所に対しては、事後届け出制を事前届け出制に改めることとするほか、手数料、罰則についても所要の改正を行うことといたしております。
以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
第75回国会衆議院商工委員会議録第4号1頁(昭和50年2月19日)〔河本敏夫通商産業大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法施行にあたり、公共の安全確保に万全を期するため、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。
一コンビナートにおける地震対策、不均等地盤沈下対策等を含め、その保安を確保するため、関係行政機関の有機的連繋、協力体制の強化、総合的保安対策を担当する主務省庁の明確化及び企業間の共同保安体制の強化を一層推進するとともに、コンビナート保安に関する基本的な政策を早急に樹立すること。
二一般家庭の液化石油ガス消費に伴う災害の絶滅を期するため、消費者に対する啓蒙・指導の徹底及び消費設備、安全機器等の改善を図るとともに、販売事業者に対する監督・指導の強化に努めること。
三高圧ガス保安行政体制を一層強化するため、国及び地方公共団体の組織及び予算の充実を図り、必要な人員を確保するとともに、保安行政に現場従業員及び一般消費者の意見を十分反映させることとし、省令の改正等に際してもこの点を配慮するよう努めること。
政府は、本法施行にあたり、公共の安全の確保を全うするため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一コンビナート防災対策について、近年頻発した事故の教訓を生かし、省庁別保安行政の制約をこえた総合的防災対策を早急に樹立するとともに、そのもとにおける関係法令の整備と整合、関係行政機関の機能の連撃強化、および企業の共同防災体制の確立をはかること。
二企業内の保安管理組織については、単に工場単位の組織強化にとどまらず、企業経営者をも含めた保安体制の確立に努めるよう指導するとともに、危害予防規程および保安教育計画の作成ならびに保安教育の実施にあたつては、現場従業員の意見を尊重することとし、さらに保安技術有資格者の充足に万全を期すること。
三高圧ガス保安協会について、業務の拡大、国の財政援助等の拡充強化策が講じられることにかんがみ、その組織、人員、業務遂行など体制全般にわたり、公正および中立性が貫かれらよう、とくに配慮すること。
四一般家庭の液化石油ガス消費に伴う災害の絶滅を期するため、販売事業者に対する監督・指導の強化に努めるとともに、消費者に対する啓蒙・指導の徹底および消費設備、安全機器等の改善をはかること。
五高圧ガス保安行政体制を一層強化するため、国および地方公共団体の組織・予算の充実をはかり、必要な人員およびその質的水準を確保するとともに、保安行政に現場従業員および一般消費者の意見を十分反映させることとし、省令の改正等に際してもこの点を配慮するよう努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=107501032)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。