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閣法第76回国会 第9号成立

船舶の所有者等の責任の制限に関する法律案

昭和50年法律第94号 船舶の所有者等の責任の制限に関する法律
提出昭和50年9月20日 内閣
付託衆議院 法務委員会
参議院 法務委員会
成立
昭和50年法律第94号
審議会議 6回・発言 449(政府答弁等 156)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院法務委員会

  1. S50.10.31趣旨説明法務委員会 161
  2. S50.11.11質疑・採決法務委員会 247
  3. S50.11.18委員長報告・採決本会議 1417

参議院法務委員会

  1. S50.11.18趣旨説明・質疑法務委員会 389
  2. S50.11.20質疑・採決法務委員会 4269
  3. S50.12.12委員長報告・採決本会議 13141

提案理由

稻葉修 法務大臣 昭和50年10月31日

船舶の所有者等の責任の制限に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 現行商法は、船舶所有者が船舶による事故によって損害賠償の責任を負う場合等には、船舶及び運送賃等を債権者に委付して損害賠償の責任を免れることができる、いわゆる委付主義を採用しております。

 このように船舶所有者の責任を一定の限度に制限する制度は、その方法にそれぞれ異なるところがあるとはいえ、世界各国に共通する制度でありますが、わが国の委付主義の制度は、委付の対象となる船舶の破損の程度等偶然の事情によって、損害のてん補される程度が著しく異なり、被害者保護の見地から合理的でないものとされ、現在わが国以外には、この委付主義をとる主要海運国はありません。

 ところで、昭和三十二年に、船舶所有者の責任制限制度を国際的な金額主義に統一するための海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約が成立し、昭和四十三年に発効しましたが、現在までに英、独、仏等二十六カ国がこの条約を批准しております。

 そこで、この法律案は、この条約を批准することに伴い、船舶の所有者等の責任制限制度を金額主義に改め、これを実施するため、所要の立法措置を講じようとするものであります。

 この法律案の要点を申し上げますと、第一に、船舶所有者、船舶賃借人及び傭船者は、故意または過失がないときに限り、事故について負うべき損害賠償の責任を、一事故ごとに、その船舶のトン数に応じた一定の金額に制限することができることといたしております。また、船長、海員その他船舶所有者等が使用する者も、故意がないときに限り、船舶所有者等と同様に、責任を制限することができることといたしております。

 なお、船舶所有者等の使用する者の債権等、特に債権者を保護する必要のあるものについては、例外として、責任制限の効力が及ばないことといたしております。

 第二に、責任の限度額は、責任を制限する債権が物の損害に関する債権のみである場合には、一金フランの千倍にその船舶のトン数を乗じた金額といたしておりますが、その他の場合には、一金フランの三千百倍にその船舶のトン数を乗じた金額とし、そのうち一金フランの二千百倍に船舶のトン数を乗じた金額は、人の損害に関する債権の弁済のみに充てられるものといたしております。

 第三に、責任を制限される債権の弁済を確保するため、船舶所有者等が責任を制限するには、裁判所にその旨の申し立てをし、かつ、供託等によりその責任限度額に相当する基金を形成しなければならないこととし、また、責任制限手続が開始したときは、裁判上の手続によりその基金を各債権者に公平に分配することとし、これらの手続について詳細な規定を設けることにいたしております。

 なお、最後に、タンカーによる油濁事故から発生した損害の賠償請求権については、別途今国会に提出しております油濁損害賠償保障法案によることとなりますので、本法案の規定は適用されないこととなります。

 以上が船舶の所有者等の責任の制限に関する法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

第76回国会衆議院法務委員会議録第1号2頁(昭和50年10月31日)〔稻葉修法務大臣発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=107601009)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。