訪問販売等に関する法律案
参議院 商工委員会
昭和51年法律第57号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院商工委員会
- S51.5.11趣旨説明商工委員会 9125
- S51.5.18質疑商工委員会 12334
- S51.5.19修正案趣旨説明・採決(修正)・附帯決議・修正案商工委員会 13179
- S51.5.19委員長報告・採決(修正)・附帯決議本会議 2141
参議院商工委員会
- S51.5.20趣旨説明・補足説明・質疑・附帯決議・採決・議案(衆議院修正部分)商工委員会 6351
- S51.5.21委員長報告・採決本会議 1345
- S51.6.11附帯決議本会議 1
提案理由
河本敏夫 通商産業大臣 昭和51年5月11日訪問販売等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
近年、商品の取引方法は著しく多様化しております。小売販売では、訪問販売及び通信販売が広範に普及しつつありますし、卸売販売では、マルチ商法と一般に呼ばれております連鎖販売取引が増加してきております。これらはいずれも、その取引方法が店頭販売等の通常の商品販売とは著しく異なっており、そのため、販売業者と取引の相手方との間でさまざまなトラブルを引き起こしております。たとえば、訪問販売及び通信販売につきましては、販売条件があいまいになりやすく、また、購入者が十分に検討することなく契約の申し込みを行いがちであるため、後日、解約などをめぐってトラブルを引き起こすことが多く、他方、連鎖販売取引につきましても、多額の出資を伴うものであり、不当な勧誘が行われることが多く、絶えず問題を生じております。
こうした状況にかんがみ、これらの販売取引を公正にし、購入者等が受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて流通の近代化を行うことは、きわめて重要な課題であります。この点に関し、昭和四十九年十二月の産業構造審議会流通部会中間答申におきましても、立法措置を含め所要の措置を講ずることが必要であるとの御意見をいただいております。
この法案は、この答申の趣旨に沿って、訪問販売、通信販売及び連鎖販売取引を公正にし、購入者等の受けることのある損害の防止を図ることを主な内容とするものであります。
次に、この法案の要旨について御説明申し上げます。
まず第一に、訪問販売につきましては、販売姿勢の改善及び取引条件の明確化を図るため、訪問販売を行おうとする販売業者は、相手方に対して、氏名等を明示し、契約内容を明らかにする書面等を交付しなければならないことといたしております。また、その相手方は、四日間は無条件で解約ができることとし、購入者に再考の機会を与えることとしております。
第二に、通信販売につきましては、販売業者は、広告に一定の必要事項を表示しなければならないこととし、後日、送料、返品等をめぐってトラブルが発生することのないようにいたしております。また、前払い式の通信販売を行う場合には、販売業者は、申込者に対し、遅滞なく書面により一定の事項を通知しなければならないこととし、取引が公正かつ確実に行われるようにいたしております。
第三に、連鎖販売取引につきましては、不当な勧誘を防止するため、連鎖販売業の統括者及び勧誘者が勧誘の際に連鎖販売業に関する重要事項について不実を告げる行為等を禁止するとともに、適正を欠く勧誘が引き続き行われるおそれがあるときは、統括者に対し、勧誘の停止または連鎖販売取引の停止を命ずることができることといたしております。
また、取引条件の明確化を図るため、連鎖販売業を行う者は、相手方に対して、契約の締結前に連鎖販売業の概要を記載した書面を交付するとともに、契約の締結後契約内容を明らかにする書面を交付しなければならないことといたしております。
さらに、その相手方は、七日間は無条件で解約ができることとし、再考の機会を与えることといたしております。
以上が、この法案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
第77回国会衆議院商工委員会議録第9号1頁(昭和51年5月11日)〔河本敏夫通商産業大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一訪問販売、通信販売及び連鎖販売取引の実態を把握し、本法の趣旨の周知徹底を図るとともに、事業者に対する指導・監督体制を強化すること。
二訪問販売、通信販売及び連鎖販売取引による購入者等の被害を未然に防止するため、消費者に対する必要な情報の提供と適切な啓発活動の推進を図ること。
三訪問販売業者の交付書面及び通信販売業者の広告における商品の性能又は品質の表示について検討するとともに、連鎖販売業者の取引契約締結前に交付する書面について、連鎖販売業者である旨を明示するほか、商品の種類、性能、品質、販売条件等の表示を検討すること。
四訪問販売業者、通信販売業者のアフターサービス体制の整備、セールスマンの資質の向上等について強力に指導するとともに、連鎖販売取引及び訪問販売におけるクーリングオフ期間経過後の契約解除の際の商品の引取り問題等契約内容についても紛争の未然防止のための適切な指導を行うこと。
議(案)政府は、本法施行にあたり、訪問販売、通信販売及び連鎖販売取引の増加に伴う弊害の発生が問題化している現状にかんがみ、独禁法を始めとする現行法の活用をはかるとともに、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一本法の運用の徹底をはかるため、訪問販売、通信販売及び連鎖販売取引の実態の把握につとめるとともに、法違反の摘発に遺憾なきを期するよう体制の整備をはかること。
二本法に基づく政・省令の制定については、消費者の保護及び被害者発生の防止に万全を期すよう検討するとともに、訪問販売および通信販売の指定商品の指定にあたつては、従来の被害の実態に応じた適切な配慮を行うこと。
三訪問販売、通信販売および連鎖販売取引の弊害を防止するため、消費者等に対する啓発と情報の提供につとめるとともに、訪問販売および連鎖販売取引のクーリングオフ期間経過後の契約の解除に際しての商品引取り問題等契約内容についても、紛争の未然防止のため、適当な指導を行うよう留意すること。
四欺瞞的販売の未然防止のため、セールスマンの教育について強く業界を指導するとともに、セールスマンの処遇の改善について適切な指導を行うこと。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=107701059)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。