中小企業倒産防止共済法案
参議院 商工委員会
昭和52年法律第84号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院商工委員会
- S52.11.11趣旨説明商工委員会 7241
- S52.11.16質疑商工委員会 9446
- S52.11.22質疑・採決・附帯決議商工委員会 10137
- S52.11.22委員長報告・採決・附帯決議本会議 1428
参議院商工委員会
- S52.11.24趣旨説明・補足説明・質疑・採決・附帯決議商工委員会 5262
- S52.11.25委員長報告・採決本会議 1235
- S53.1.13附帯決議本会議 1
提案理由
田中龍夫 国務大臣 昭和52年11月11日中小企業倒産防止共済法案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
最近におきます中小企業をめぐる景気の動向は、一部の業種を除き、売上状況、利益状況ともに停滞を続けておりまして、企業倒産件数は、依然として高い水準を維持したままに推移いたしております。これら倒産企業のうち圧倒的多数は中小企業者によって占められておりますが、近時は、倒産企業一件当たりの負債金額が年々増加傾向にありますとともに、倒産企業の企業規模につきましても拡大化の傾向が見られ、中堅中小企業の倒産が増加いたしつつあります。
現在の経済環境下におきましては、企業が一たび倒産に立ち至った場合、関係者が事業を再建し、または関係従業員が再就職を目指すことは容易なことではなく、その社会的影響はきわめて深刻でありますことから、企業倒産の動向は、中小企業者の倒産に対する不安、とりわけ取引先の倒産の影響を受けてみずからも倒産に陥ることに対する強い不安感を引き起こし、これが企業意欲の減退を招くとともに、景気の低迷に拍車をかける結果とも相なっております。
経済的立場の弱い中小企業者につきましては、必ずしも取引先を選択する自由を持たず、かつまた、取引先企業の財務状況につきましての情報入手が困難であるという事情から、事前に十分な対応をいたすことの余裕のないままに、突然、取引先企業の倒産に遭遇し、その影響を受けてみずからも倒産のやむなきに至る例が非常に多いことにかんがみまして、従来の種々の施策に加えて、何らかの措置を講ずることか必要であると考える次第でございます。
こうした事情を背景といたしまして、本法律案は、中小企業者がその取引先企業の倒産によってみずからも倒産するという事態の発生を未然に防止することを目的といたして立案されたものでありまして、その概要は、次のとおりでございます。
まず第一に、中小企業者の相互扶助の精神に基づいた中小企業倒産防止共済制度を確立し、本制度に加入いたしました中小企業者がその取引先企業の倒産に遭遇して、売掛金債権等の回収が困難と相なった場合、その加入者に対しまして、積み立てた掛金の十倍に相当する額を限度といたしまして共済金を無利子で貸し付けることといたしております。
第二には、本制度の加入者が納付することとなる掛金につきましては毎月五千円、一万円、一万五千円及び二万円の四種類として、積立額がその六十月分に達した時点におきまして掛けどめをすることができるものとしております。
また、貸し付けられます共済金の額は、掛金の積立額の十倍を限度としておりますので、その最高限度は、千二百万円でございます。
第三に、現下の経済状況にかんがみまして、加入者ができる限り早い時期に掛金の積み立ての効果を享受できるように配慮し、本制度発足後一年間に限って、掛金を事前に一括して納付する特例措置を設けることとし、一括納付した加入者に対しましては、倒産した取引先の事業者から受け取りすでに金融機関で割引を受けていた手形が不渡りとなったことにつきまして共済金を貸し付けることといたしております。
これがこの法律の提案理由及びその要旨でございます。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようにひとえにお願い申し上げます。
第82回国会衆議院商工委員会議録第7号1頁(昭和52年11月11日)〔田中龍夫国務大臣発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、現下の厳しい経済情勢の中で中小企業の倒産を未然に防止するため、本法施行にあたり、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。
一本共済制度の実施体制を速やかに整備するとともに、今後の経済情勢及び中小企業者の要請に即応できるよう、その運営実績を勘案して、共済保険制度の導入その他共済制度に関する基本的事項につき検討を加え、制度の改善を期すること。
二本共済制度の普及について積極的な措置を講じ、制度の基盤の確立を図るとともに、その安定的運営のための政府出資及び中小企業共済事業団に対する助成措置の充実に努めること。
三共済契約の締結及び共済金貸付け等に関する業務の公正迅速を期するため、窓口となる中小企業関係団体及び金融機関の広範な活用を図るとともに、これらに対し、本法の趣旨を徹底させるよう強力に指導すること。なお、中小企業者が協同組合等を通じて容易に加入できるよう、運用について配慮すること。
政府は、現下の経済環境における中小企業の実情にかんがみ、増大する企業倒産の防止をはかるため、融資制度を含む諸施策の一層の拡充に努めるとともに、本法施行にあたり、次の諸点について適切な対策を講ずべきである。
一本共済制度の円滑かつ安定的な運営を図るため、中小企業共済事業団に対し、国による所要の助成措置の強化につとめること。
二中小企業共済事業団の機構、内容の拡充を図るとともに、本制度の趣旨にかんがみ、中小企業関係団体および金融機関への業務委託については、委託機関の選定、業務の適切な指導等について、十分配慮すること。
三本共済制度の運営にあたつては、契約者の掛金の納付等につき、中小企業の実情に即し、きめ細かな配慮が行われるよう努めるとともに、資金運用についても加入中小企業者の利益が確保されるよう留意すること。
四掛金前納の特例制度については、その趣旨が生かされるよう関係団体に対する十分な指導のもとに制度の普及促進を期するとともに、共済保険制度の導入等、本共済制度の給付内容についても、中小企業者をめぐる経済環境変化の推移に応じ、そのあり方について制度の運営実績に照らし、今後とも検討を加えた上、速やかに所要の措置を講ずるよう努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=108201012)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。