TaiLexi AI日本の判例・法令
国会審議›第84回国会›閣法第72号
閣法第84回国会 第72号成立

仮登記担保契約に関する法律案

昭和53年法律第78号 仮登記担保契約に関する法律
提出昭和50年4月1日 内閣
付託参議院 法務委員会
衆議院 法務委員会
成立
昭和53年法律第78号
審議会議 8回・発言 350(政府答弁等 147)

審議経過

右の数字は会議の発言数

参議院法務委員会

  1. S53.4.11趣旨説明法務委員会 65
  2. S53.4.25質疑法務委員会 9116
  3. S53.4.27質疑・採決法務委員会 10128
  4. S53.4.28採決・委員長報告本会議 1941

衆議院法務委員会

  1. S53.6.2趣旨説明法務委員会 27108
  2. S53.6.7質疑法務委員会 29508
  3. S53.6.8質疑・採決法務委員会 3025
  4. S53.6.13採決・委員長報告本会議 3619

提案理由

瀬戸山三男 法務大臣 昭和53年4月11日

 次に、仮登記担保契約に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 民法によれば、金銭債務を担保する法的手段としては、抵当権が最も典型的、かつ、近代的な担保制度でありますが、近時、種々の理由により、この抵当権の利用を回避し、またはこれと併用して、代物弁済の予約等を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記を利用することが一般に行われております。この仮登記は、通常、金銭債務の不履行がある場合には、その履行にかえて債権者が目的不動産を取得し、これにより債権債務関係を簡易迅速に決済することを目的としているものでありますが、この仮登記を利用すれば、不動産の価額が債権額をはるかに上回るときにおいても、債権者は、仮登記に基づく本登記をすることにより、完全にその不動産をまる取りできることとなり、債務者の保護に欠けるうらみなしとしないのであります。

 そこで、最高裁判所は、昭和四十二年十一月十六日第一小法廷判決を初めとし、昭和四十九年十月二十三日大法廷判決に至るまでの一連の判例により、債権者が不動産の所有権を取得しようとするときは、その価額から債権額を差し引いた差額を清算金として債務者に支払うことを要する旨を明らかにし、債権者が債権額を上回る価額を有する不動産をまる取りすることを禁止したのであります。

 この判例法理は、債権者が債務者の窮状に乗じて暴利を搾取するのを防止し、債務者を保護する観点から展開されたものでありますが、個別事案の解決を通じて展開された判例法理の性質上関係する各般の法律関係については、必ずしも疑問なしとしないし、立法的に解決すべき多くの問題点があるのであります。

 そこで、この法律案は、判例法理を原則として承認しつつ、その法律関係を明確にして債務者の保護を図るとともに、債権者及び利害関係人の利害を合理的に調整しようとするものであります。

 この法律案の要点を申し上げますと、第一は、代物弁済等による所有権取得手続の特則を設けたことであります。すなわち金銭債務の不履行があるときはその履行にかえて債権者が目的不動産の所有権を取得することを目的としてされた代物弁済の予約、停止条件つき代物弁済契約等の契約により、債権者がその所有権を取得しようとするときは、あらかじめ債務者にその旨を通知し、その通知が債務者に到達した日から二月の期間が経過しなければ、債権者は、その所有権を取得することができないものとしたのであります。これにより、債権者があらかじめ債務者から預り保管中の登記申請書類を利用して、債務者の不知の間に所有権の取得の登記をしても、その登記を無効とし、もって債務者の保護を図るとともに、この二月の期間を置くことによって、利害関係を有する第三者がその期間内に権利保全の手段をとることができるようにしたのであります。

 第二は、債権者に対し清算義務を課したことであります。債権者は、前述の通知が債務者に到達した日から二月の期間が経過したときに不動産の所有権を取得することになるのでありますが、その時における目的不動産の価額が債権額を超えるときは、債権者は、その超過額に相当する金銭を清算金として債務者に支払い、債権債務関係の清算を行うべきものとし、この清算金の支払いの債務と不動産の所有権移転の登記及び引き渡しの債務とは同時履行の関係に立つべきものとしたのであります。さらに、これに反する特約で債務者に不利益なものは、原則として無効とし、債務者の保護を図ることとしたのであります。

 第三は、清算金をめぐる利害関係人の争いを合理的に解決する方法を講じたことであります。代物弁済の予約による権利を保全するための仮登記がされた後、抵当権等の担保権の登記を受けた後順位担保権者は、仮登記権利者が債務者に支払うべき清算金について通知を受けるべきものとし、通知を受けた清算金の額に不満がないときは、債務者の有する清算金請求権を差し押さえることによって物上代位し、その権利の順位に従った優先弁済を受けられるようにしたのであります。また、通知を受けた清算金の額に不満があるときは、不動産の競売を請求し、その競売手続にこの仮登記権利者の参加を求め、仮登記権利者にも抵当権と同様の優先弁済権を認め、配当手続を通じて各債権者の利害を調整することにしたのであります。

 第四は、債務者の受け戻し権、すなわち債権者が清算金の支払の債務を履行しないときは、一定の要件の下に債務者が目的不動産を受け戻すことができることとしたのであります。

 第五は、以上の法律関係を、不動産の所有権以外の登記または登録制度のある財産権についての代物弁済の予約等にも準用することとしたのであります。

 なお、このような手続を設けることに伴い、その円滑な運用を期するために、差し押さえを原因とする清算金の弁済供託及び第三の通知の拘束力、その他関係人の利害の調整に関する規定を設けるほか、この法律の制定に伴う国税徴収法等の関係法律の整理をいたしております。

 以上が仮登記担保契約に関する法律案の趣旨及びその内容であります。

 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

第84回国会参議院法務委員会会議録第6号1頁(昭和53年4月11日)〔瀬戸山三男法務大臣発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=108401072)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。