沿岸漁業改善資金助成法案
参議院 農林水産委員会
昭和54年法律第25号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
- S54.3.1趣旨説明・補足説明農林水産委員会 48
- S54.3.20質疑・採決・附帯決議農林水産委員会 5221
- S54.3.22採決・委員長報告・附帯決議本会議 1740
参議院農林水産委員会
- S54.3.22趣旨説明・補足説明農林水産委員会 6382
- S54.3.29質疑・附帯決議・採決農林水産委員会 8199
- S54.3.30附帯決議・採決・委員長報告本会議 1080
提案理由
渡辺美智雄 農林水産大臣 昭和54年3月1日沿岸漁業改善資金助成法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
新しい海洋秩序の形成により、わが国遠洋漁業は後退を余儀なくされ、国民に対する水産物の安定的供給確保の見地から、沿岸漁業を見直し、その健全な振興を図ることが、一層重大な課題となってきております。
しかしながら、わが国沿岸漁業の現況を見ますと、家族経営を中心とする零細多数の経営体により担われているため、自力による新しい生産技術の導入などが困難であること、海上作業には危険も多いこと、漁村の生活環境は、都市に比べて著しく立ちおくれている現状にあること、将来の生産の担い手である若い後継者の確保が困難となってきていることなど、厳しい状況にあります。また、これらのことが、沿岸漁業の経営の健全な発展、漁業生産力の増大及び沿岸漁業の従事者の福祉の向上を図る上で大きな制約条件となっております。
政府といたしましては、これまで、沿岸漁場の整備開発、沿岸漁業構造改善事業等の推進を図ってまいったところでありますが、沿岸漁業の経営の状況などからして、これらの施策に加えて、沿岸漁業従事者などが自主的にその経営を改善していくことを積極的に助成するための新しい施策を講ずることが緊要であると考えるものであります。このため、近代的な技術または漁労の安全確保のための施設等の導入、漁家生活改善のための合理的な生活方式の導入及び沿岸漁業後継者等による近代的な沿岸漁業の経営方法または技術の習得に必要な無利子の資金の貸し付けを行う都道府県に対し、政府が必要な助成を行う制度を創設することとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、法律案の主要な内容について、御説明申し上げます。
まず第一に、この法律の対象といたします資金を経営等改善資金、生活改善資金及び後継者等養成資金に分けて、それぞれの内容を定めますとともに、都道府県が沿岸漁業従事者等に対するこれらの資金の貸し付けの事業を行うときは、政府は、都道府県に対し、予算の範囲内においてその事業に必要な資金につき、その三分の二以内を助成することといたしております。
第二に、都道府県が行うこれらの資金の貸し付けにつきましては、その利率を無利子とするとともに、資金の種類ごとの限度額、償還期間等について定めております。
第三に、都道府県がこの貸し付けの事業を行う場合には、その事業の経理は特別会計を設けて行わなければならないこととするとともに、その事務の一部を漁業協同組合連合会等に委託することができることといたしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。
第87回国会衆議院農林水産委員会議録第4号1頁(昭和54年3月1日)〔渡辺美智雄農林水産大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
まず、案文を朗読いたします。沿岸漁業改善資金助成法案に対する附帯決議(案)二百海里時代に即応して、水産物を安定的に供給するため、我が国沿岸漁業の果たす役割りは、重要となってきている。よって政府は、沿岸漁業の振興につき格段の努力をするとともに、本法の施行に当たっては左記事項の実現に努めるべきである。記
一沿岸漁業改善資金の充実を図るため、漁業生産の動向、資金需要の実態に即応して、貸付範囲の拡大、資金枠の確保等に努めること。
二沿岸漁業改善資金の貸付業務については、これを担当する各関係団体との連けいを緊密にするとともに漁業に従事する青年、婦人等利用者の意向をも十分配慮し、本資金を必要とする者に対し、適正な貸付けが行われるよう円滑な運営に努めること。
三本資金による漁業後継者たる青少年又は漁業労働に従事する者の育成に当たっては、十分その成果が上がるよう指導に努めるとともに、若年労働力を確保するため、とくに水産教育学卒者の活用方策等について積極的な施策を講ずること。
四沿岸漁業経営の近代化及び漁家生活の改善を推進するため、水産業改良普及員、漁家担当生活改善普及員の定員の確保、処遇の改善、資質の向上に留意する等、水産業改良普及事業、生活改善普及事業の一層の充実、強化に努めること。
五漁村環境の整備が立遅れている現状にかんがみ、本資金による合理的な生活方式の導入に当たっては、効率的な活用に努めるとともに、漁村緊急整備事業、漁業集落環境整備事業の拡充、強化に努めること。
六漁業生産力の増大に資するため、漁場環境の保全対策の強化に努めるとともに、沿岸漁場整備開発、栽培漁業の推進等を通じ、資源管理についての施策の充実に努めるほか、遊漁対策についての強化を図ること。
わが国の漁業は、二百海里時代の急速な到来により、遠洋漁業等において、深刻な事態に直面しているため、沿岸漁業の振興が緊急を要する政策課題となつている。よつて、政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期し、もつて、沿岸漁業の振興に資すべきである。
一沿岸漁業の実態に即応して、本資金の貸付枠の拡大を図るとともに、貸付範囲の拡大等制度内容の充実に努めること。
二本制度の運用に当たつては、沿岸漁業の地域特性及び都道府県の自主性についても配慮しつつ、関係団体との連けいを緊密にし、青年、婦人等利用者の意向をも運営協議会等において十分尊重することによつて、適正な貸付けが行われるよう努めること。
三本制度は、水産業改良普及事業及び生活改善普及事業との一体的運用により、その実効が期待されるものであることにかんがみ、普及員の定員の確保、処遇の改善、資質の向上等水産業における普及事業体制の整備を図ること。
四沿岸漁業経営の安定のため、新技術及び安全施設の開発・普及を一層促進すること。
五漁村における青年グループの自主的な調査研究や技術開発の活発化、婦人グループによる生活改善活動の進展に対処して、その活動を積極的に助長するとともに、本制度に当たつて、その成果を生かすよう措置すること。
六後継者資金の貸付けに当たつては、経営、技術等の指導をあわせ行うとともに、後継者の確保と資質の向上のため、水産教育学卒者の活用、研修の充実等の対策を促進すること。
七漁村の生活環境の立遅れに対処するため、漁業集落環境整備事業、漁村緊急整備事業の拡充、強化を図るとともに、漁業生産力の増大に資するため、漁場環境の保全対策、沿岸漁場整備開発事業、栽培漁業振興対策、沿岸漁業構造改善事業等の諸施策について充実に努めること。
八漁業調整、資源保護の観点から、遊漁の実態について調査を進め、その対策を確立すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=108701025)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。