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国会審議›第96回国会›閣法第70号
閣法第96回国会 第70号成立

船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案

昭和57年法律第39号 船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律
提出昭和57年3月19日 内閣
付託衆議院 運輸委員会
参議院 運輸委員会
成立
昭和57年法律第39号
審議会議 8回・発言 793(政府答弁等 359)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院運輸委員会

  1. S57.3.23趣旨説明運輸委員会 6181
  2. S57.3.30質疑運輸委員会 8214
  3. S57.4.2質疑・討論・採決・附帯決議運輸委員会 977
  4. S57.4.8委員長報告・採決・附帯決議本会議 1632

参議院運輸委員会

  1. S57.4.15趣旨説明・質疑運輸委員会 7168
  2. S57.4.20質疑運輸委員会 8191
  3. S57.4.22質疑・採決・附帯決議・討論運輸委員会 9208
  4. S57.4.23附帯決議・採決・委員長報告本会議 1554

提案理由

小坂徳三郎 運輸大臣 昭和57年3月23日

ただいま議題となりました船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 海技資格、当直部員の要件等わが国の船員制度は、近年の国際的及び国内的な要因により、これを再検討する必要に迫られております。

 まず、昭和四十二年に英仏海峡において発生したタンカー、トリー・キャニオン号の座礁事故を契機として、船員の資質の向上についての国際的な要請が高まりました。今国会に別途提出されている千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約、いわゆるSTCW条約は、このような背景のもとに、昭和五十三年七月に採択された条約であり、船員の技能に関する国際基準を設定することにより、人的な面から海上における人命及び財産の安全を増進することを目的とするものであります。主要な海運国であるわが国としても、海上における航行の安全の確保の見地から同条約の批准を急ぐ必要があり、今国会において別途承認を求めているところであります。

 次に、日本船の国際競争力の低下が昭和四十年代の後半から顕著になってきましたが、わが国の外航海運は、これに対処するため、船舶における技術革新を推進する一方、外国用船への依存傾向を強めてきました。しかし、外国用船への依存傾向がこのまま進みますと、日本人船員の雇用の場がますます縮小するのみならず、わが国の経済的安全保障上の要請にも対応できなくなるおそれがあり、いまや、日本船の国際競争力の回復が緊急の課題となっております。

 船員制度の近代化は、このような日本海運の置かれた環境を踏まえ、かつ、近年の船舶の技術革新にも対応して、わが国の船員が快適な労働環境のもとでそのすぐれた技能を十分に活用し、意欲的に職務を遂行することができる新しい職務体制を確立するとともに、これにより、日本人船員が運航する日本船舶が国際海運界において比重を増し、日本人船員の職域が確保される条件を整備することを目的とするものであります。

 以上のとおり、STCW条約の国内実施を図るとともに、船員制度の近代化を円滑に推進するため、今回、この法律案を提案することとした次第であります。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、条約の内容の国内実施を図るため、航海当直に関し遵守すべき事項、航海当直を担当する部員の要件、タンカーに乗り組む職員等の要件、船舶職員法の適用に関する旗国主義の採用、条約の要件を満たした新たな海技資格、海技免状の五年ごとの更新制、外国船に対する監督等について定めることにしております。

 第二に、船員制度の近代化を推進するため、設備等について一定の基準に適合する船舶に関し、条約の定める要件との整合性を確保しつつ、航海当直体制の特例、新しいタイプの船舶職員である運航士制度などを設けるとともに、船舶職員の乗り組み基準を政令で定めることとしております。なお、この機会に、明治以来維持してきた船舶職員資格の名称を近代的なものに改めることといたしました。

 以上がこの法律案を提案する理由であります。

 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。

 ただいま議題となりました船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 最近、Mゼロ化を初めとして大型化、専用船化など船舶の技術革新はまことに著しいものがあり、それに対応して乗組員の少数精鋭化が進んでおり、また、漁船におきましても、漁場の遠隔化、漁労期間の長期化が著しくなってきております。しかも、そのような状況のもとで船員災害の発生率は、陸上に比べ依然として高く、従来の減少傾向がここ数年鈍化し、横ばいの状況を示すようになってまいりました。

 このような船員を取り巻く労働環境の変化に対処し、船員災害防止対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、安全衛生管理体制の確立その他の船員災害の防止を目的とする船舶所有者の自主的な活動を促進する措置等を講ずることとした次第であります。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、船員災害防止活動の主体となるべき船舶所有者及び船員についてそれぞれの責務を宣言するとともに、国の援助等について規定することとしております。

 第二に、船舶所有者に総括安全衛生担当者の選任、安全衛生委員会の設置、船員に対する安全衛生教育の体制の整備を行わせることにより安全衛生管理体制の確立を図ることとしております。

 第三に、運輸大臣は、船員災害が多発していること等により総合的な改善措置が必要な船舶所有者に対し、安全衛生改善計画の作成を指示し、またはその変更を命ずることができることとしました。

 なお、以上のような改正点を踏まえ、法律の題名もこれに相応するように改正することとしております。

 以上がこの法律案を提案する理由であります。

 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。

第96回国会衆議院運輸委員会議録第6号20頁(昭和57年3月23日)〔小坂徳三郎運輸大臣発言・発言番号179〕 会議録 国会会議録検索システム

附帯決議

衆議院 運輸委員会昭和57年4月2日

本附帯決議案の趣旨は、今回、わが国の船員制度における全く新しい試みとして船員制度の近代化が実施されることにかんがみ、第一に、船員制度の近代化の推進に当たっては、日本人船員の知識と技能を生かし、その職域の確保に配慮すべきであるとの趣旨であります。第二に、船員制度の近代化に当たっては、今後とも、関係公労使の参加する体制、すなわち従来の船員制度近代化委員会におけるような体制が不可欠であると思われますので、政府は、関係機関の意見を十分尊重してその推進を図るべきであるとの趣旨であります。第三に、STCW条約の国内実施及び船員制度の近代化を円滑に推進し得るよう、政府において、すでに船員である者及び新たに船員になろうとする者に対する教育の充実を早急に図るべきであるとの趣旨であります。次に、船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨について申し上げます。本附帯決議案の趣旨は、第一に、今回の改正によりまして、船員の安全衛生に関する法令は一応整備されたことになったのでありますが、このときに当たり、政府は心を新たにして、さらに船員災害を絶滅するため、今後とも船員の災害防止対策のより一層の充実を図るべきであるとの趣旨であります。第二に、船員が陸上の各種資格を容易に取得できるよう、その技能の充実を図るための措置を講じるべきであるとの趣旨であります。第三に、船員制度の近代化の進展などに対応して、今後は、特に船員の職場環境の改善を目指して災害防止対策の促進を図るよう考慮すべきであるとの趣旨であります。以上をもって両動議の趣旨の説明を終わります。何とぞ以上の両動議に御賛成賜りますようお願い申し上げます。—————————————船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)政府は、本法の施行に際し、次の事項に努めるべきである。

一船員制度の近代化の推進に当たつては、日本人船員の知識と技能をいかし、その職域の確保に配慮すること。

二船員制度の近代化に当たつては、今後とも、関係機関の意見を尊重してその推進を図ること。

三「千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約」いわゆるSTCW条約の国内実施及び船員制度の近代化を円滑に推進し得るよう既成船員及び新規船員に対する教育の充実を図ること。

参議院 運輸委員会昭和57年4月22日

政府は、本法施行に当たり、次の事項につき適切な措置を講ずべきである。

一船員制度の近代化に当たつては、日本人船員の知識と技能をいかし、職域の拡大に努めること。

二船員制度の近代化を円滑に推進するため、今後とも関係公労使の意見を尊重すること。

三日本船を中核とする我が国商船隊の整備を促進し、日本人船員の雇用の安定、拡大に努めること。

四安全な航海当直を確保するため、小型船についても適切な指導を図ること。

五STCW条約の国内実施及び船員制度の近代化を円滑に推進し得るよう既成船員及び新規船員に対する教育の充実を図ること。

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=109601070)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。