商法等の一部を改正する法律案
参議院 法務委員会
平成2年法律第64号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院法務委員会
- H2.5.25趣旨説明・質疑法務委員会 430
- H2.5.29質疑法務委員会 5236
- H2.5.30質疑法務委員会 6315
- H2.6.1参考人招致法務委員会 780
- H2.6.5質疑法務委員会 8279
- H2.6.8質疑・討論・採決・附帯決議法務委員会 9203
- H2.6.11委員長報告・採決・附帯決議本会議 2558
参議院法務委員会
- H2.6.14趣旨説明・質疑法務委員会 5160
- H2.6.19質疑法務委員会 6176
- H2.6.20参考人招致法務委員会 7117
- H2.6.21質疑・討論・採決・附帯決議法務委員会 8196
- H2.6.22附帯決議・採決・委員長報告本会議 1826
提案理由
長谷川信 法務大臣 平成2年5月25日最初に、商法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、我が国の株式会社及び有限会社の大多数を占める小規模かつ閉鎖的な会社に対す
る商法等の規制が形骸化している実情等にかんがみ、このような会社にも適合する法制度を整備するとともに、会社債権者の保護のために必要な措置を講ずるほか、会社の資金調達の方法を合理化する等のため、商法、有限会社法及び社債発行限度暫定措置法の一部を改正しようとするものでありまして、その改正の要点は、次のとおりであります。
まず、商法につきましては、第一に、株式会社の設立手続の合理化を図るため、発起人の員数の下限の制限を廃止するとともに、発起設立における払い込み等についての検査役の調査を不要とし、また、現物出資及び財産引き受けに関する検査役の調査についても、少額の財産等についてはこれを不要とし、不動産については弁護士の証明を受けることによりその省略を認めることとし、これに伴い、事後設立及び新株の発行の際の現物出資についても同様の措置を講ずる等の改正をすることとしております。
第二に、株式等に関する制度を改善するため、譲渡制限株式の譲渡の承認請求の手続に関し、単純な譲渡の承認のみを請求すること及び株式の取得者一般から譲渡の承認請求をすることができることとし、株式の譲渡制限の定めをした会社の株主に新株、転換社債及び新株引受権付社債の引受権を認める等の改正をすることといたしております。
第三に、会社債権者の保護を図るため、株式会社に一千万円の最低資本金の制度を新設し、資本の増加を容易にするため、株式配当の制度を利益の資本組み入れと株式分割に分離して、利益の資本組み入れのみを行うことも可能とし、また、利益準備金の積立基準を拡充する等の改正をすることといたしております。なお、最低資本金の制度につき、その円滑な実施を図るため、既存会社には、改正法の施行の日から五年間はその適用を猶予する等の経過措置を設けることといたしております。
第四に、株式会社の資金調達の方法を合理化するため、優先株式等について機動的な発行をすることができるようにその発行手続を改正し、無議決権株式の発行限度を発行済み株式総数の四分の一から三分の一に緩和し、端株について定款の定めにより端株券を発行しないことができるものとするとともに、端株券が発行されない場合には、端株主に会社に対する端株の買い取り請求権を認めることとし、また、現実に利用されていない無記名式の株券の制度を廃止し、さらに、社債については、その発行限度に関する資本及び準備金の総額と会社に現存する純資産額による二重の制約を純資産額による制約のみに改めることといたしております。
第五に、先般の民事保全法の制定に関連して、会社の社員、取締役、監査役及び清算人の職務執行停止及び職務代行者選任の仮処分に関する規定を整備することといたしております。
次に、有限会社法につきましては、第一に、有限会社の設立及び資本増加の場合の現物出資等に関する検査役の調査等については、株式会社の場合とほぼ同様の手続によることとするほか、有限会社の最低資本金額を十万円から三百万円に引き上げ、出資一口の金額を千円から五万円に引き上げる等の改正をすることといたしております。なお、最低資本金額の引き上げについては、株式会社の最低資本金についてとほぼ同様の経過措置を設けることといたしております。
第二に、株式会社と有限会社の間の組織変更を容易にするため、組織変更の決議要件を緩和し、債権者保護手続を合理化する等の改正をすることといたしております。
最後に、社債発行限度暫定措置法につきましては、商法の社債発行限度に関する規定の改正に伴い、社債発行限度暫定措置法による発行限度を会社に現存する純資産額の二倍に改めるとともに、新株引受権付社債についても、同法による発行限度の特例を認めることとしております。
以上が商法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。
第118回国会衆議院法務委員会議録第4号1頁(平成2年5月25日)〔長谷川信法務大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
日本共産党は、国民の求める商法改正に背を向け、大企業にのみ便宜を図り、日本経済の底辺を支えている中小企業に重い負担を負わせる本改正案は断じて認められないことを表明して、私の反対討論を終わります。
現下の会社制度の実態にかんがみ、政府は、次の諸点について格段の努力をすべきである。
一中規模以上の会社の計算については、会計専門家による適正な監査制度の法確立を図るため、早期に調査検討を行うこと。
二前項の監査制度及び会社計算書類の公開制度については、EC統合等諸外国における立法の動向に充分配慮し、速やかに、立法上の措置を講ずること。
三小規模会社に関しては、その実情に応じた株式会社法の整備を検討するとともに、小規模会社制度としての有限会社法については、取締役・監査役の任期等の制度を導入するなど抜本的な法改正を検討すること。
四株式会社への最低資本金制度の導入及び有限会社の最低資本金額の引上げに伴い、小規模会社が増資等をする場合については、税制上の所要の措置を講ずること。
五最低資本金制度の導入等、今次の法改正が国民一般とりわけ中小企業関係者に与える影響の大きいことにかんがみ、その趣旨及び内容の周知徹底を図り、遺憾なきことを期すること。
六今後の法改正に当たっては、より一層会社全般の実情に配慮しつつ、実効性ある立法措置を講ずること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=111801045)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。