農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案
参議院 農林水産委員会
平成5年法律第70号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
- H5.4.9趣旨説明・質疑本会議 1828
- H5.4.14趣旨説明農林水産委員会 10168
- H5.4.20質疑農林水産委員会 11166
- H5.4.21質疑農林水産委員会 12254
- H5.5.11参考人招致農林水産委員会 13107
- H5.5.12質疑農林水産委員会 14230
- H5.5.18質疑・派遣委員報告書農林水産委員会 1593
- H5.5.19質疑・討論・修正案趣旨説明・採決(修正)・附帯決議・修正案農林水産委員会 16148
- H5.5.20委員長報告・採決(修正)・附帯決議本会議 2825
参議院農林水産委員会
- H5.5.26趣旨説明・質疑本会議 1921
- H5.5.27趣旨説明農林水産委員会 1110
- H5.6.1質疑農林水産委員会 12366
- H5.6.2参考人招致農林水産委員会 1380
- H5.6.3質疑農林水産委員会 14237
- H5.6.4質疑・討論・採決・附帯決議農林水産委員会 15252
- H5.6.8委員長報告・採決・附帯決議本会議 2342
提案理由
田名部匡省 農林水産大臣 平成5年4月9日まず、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
我が国の農業は、国民への食糧の安定供給という重大な使命に加え、地域社会の活力の維持、国土・自然環境の保全などの多面的な機能を有しており、我が国の経済社会の均衡ある発展と、豊かでゆとりのある国民生活の実現のために欠かすことのできない重要な役割を果たしております。
しかしながら、近年の農業を取り巻く情勢を見ますと、農業労働力の非農業部門への流出が続く一方で、農業従事者の兼業化、高齢化が著しく進行するなど深刻な問題に直面しており、農業経営に意欲と能力のある者を確保するため、農業を職業として選択し得る魅力とやりがいのあるものにしていくことが緊要な課題となっております。
このような状況に対処し、農業の健全な発展を図るためには、さきに農政審議会において取りまとめられた「農業構造・経営対策の課題と対応の方向」に示されておりますとおり、経営感覚にすぐれた効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担うような農業構造を確立するため、各般にわたる農業経営基盤の強化に関する施策を総合的かつ効果的に推進することが急務であると考えております。
このため、地域において育成すべき多様な農業経営の目標を関係者の意向を十分踏まえた上で明確化するとともに、その目標に向けて農業経営を改善する者に対する農用地の利用の集積、経営管理の合理化など、農業経営基盤の強化を促進する観点から、農用地利用増進法を初め関係七法律につき所要の改正を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、農用地利用増進法の改正であります。
同法の題名を農業経営基盤強化促進法に改め、効率的かつ安定的な農業経営を育成するための基本的な法律とし、新たに都道府県の基本方針及び両町村の基本構想において育成すべき農業経営の目標等を明確化するとともに、これらに則して農業者が作成する農業経営改善計画を市町村が認定する制度を設けることとしております。また、従来の農用地利用増進事業を拡充して農業経営基盤強化促進事業とするとともに、農地保有合理化法人に関する制度を整備し、その事業内容の充実等を図ることとし、これらの措置により総合的に農業経営基盤の強化対策を推進することとしております。
第二に、農地法及び農業協同組合法の改正であります。
農業経営の法人化を円滑に推進するため、農業生産法人、農事組合法人の事業及び構成員の範囲を拡大するとともに、これに対応して、農業協同組合の正組合員の範囲を拡大することとしております。また、農業協同組合の行う農地保有合理化事業の実施等に必要な農業経営に関する制度の整備等を行うこととしております。
第三に、土地改良法等の改正であります。
農業経営基盤の強化のための生産基盤の整備を円滑に推進するため、土地改良事業の一人施行方式の導入、農林漁業金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫による無利子資金貸付制度の創設等の措置を講ずることとしております。
第126回国会衆議院会議録第18号1頁(平成5年4月9日)〔田名部匡省農林水産大臣発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
まず、案文を朗読いたします。農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)最近の我が国農業・農村は、先進国に例を見ない食料自給率の低下、農業労働力の減少と高齢化、耕作放棄地の増大等その健全な発展を図る上で極めて憂慮すべき事態に直面している。このため、今後の農政の推進に当たっては、新たな視点に立って食料自給力の維持・強化を図るとともに、効率性のみでなく、農業・農村の有する多面的な役割を明確に位置付け、農業者が自信と誇りをもって農業と農村の活性化に取り組める施策の展開を図ることが喫緊の課題となっている。よって政府は、新農政推進に必要な施策を早急に整備するとともに、本法の運用に当たっては、左記事項の実現に努め、農業構造の改善等の促進に遺憾なきを期すべきである。記
一本法等の推進に当たっては、新政策で示された望ましい経営体における主たる従事者が他産業並みの労働時間で他産業従事者と遜色のない所得の確保ができるよう、構造政策の促進とともに価格政策の適正な運用を図ること。
二望ましい経営体の着実な実現に向け、農業後継者等の青年農業者の育成とその安定的確保を図るため、これらの者の就農に当たっては、金融支援等の助成措置、営農指導の充実、研修体制の整備、情報提供に係る施策を一層強化すること。
三農地流動化施策の推進に当たっては、規模拡大志向農家に対する支援措置と併せ、高齢農家や安定的兼業農家等の位置付けを明確にし、これら農家を含め地域全体としてメリットを享受できるような措置を講ずること。
四構造政策の推進に当たっては、転用許可制度の厳正な運用や土地利用区分の明確化等による優良農地の確保と併せ、適正な農地価格の形成に努めるとともに、耕作放棄地の解消を図る施策の充実を図ること。
五環境に配慮した持続可能な農業の展開が世界的な課題となっていることにかんがみ、環境保全型農業の推進に必要な各種施策を充実すること。
六市町村が農業経営基盤の強化の促進に関する基本構想を策定するに当たっては、関係者の意見を幅広く聴取し、地域の特性に即した農業構造・経営目標等が設定されるよう指導すること。
七農業経営改善計画の認定制度の運用に当たっては、地域関係者の自主的な取組みを基本とするとともに、農業委員会、農業協同組合、農業改良普及所等の協力体制の確立を図ること。
八農地保有合理化法人の業務が適切かつ円滑に実施されるよう、農地銀行活動事業等との連携強化を図ること。
九農業経営の法人化を促進するため、法人の設立、その法人の従事者による段階的な持分の取得を含む運営等について、助言、指導その他の支援措置を整備すること。
十法人化や規模拡大等の推進に当たり必要となる雇用労働力については、雇用労働者に対する福祉の増進を図る等その安定的確保に資する所要の指導を行うこと。
十一農業生産法人の事業及び構成員に係る要件の緩和については、これが農外資本による実質的な経営支配や農地取得等を招来することのないよう適切な指導を行うとともに、農業委員会等による監視体制の強化を図ること。また、新たに構成員として参入し得る企業の範囲については、真に農業生産法人の事業の円滑化に寄与するものに限定すること。
十二農地の流動化の促進とその集団化を図る基礎的条件を整備するため、農業基盤整備事業の円滑な推進に努めること。また、第四次土地改良長期計画の推進に当たっては、農地利用の集積に資するような事業展開に努めること。
我が国の農業・農村は、農業就業者の減少、高齢化の進行等の厳しい事態に直面している。今後、農業の担い手が希望とやりがいをもって取り組める農業づくりを進めていくためには、農作業の効率化と労働負担の軽減を図る必要があり、農業の機械化を一層促進することが急務となっている。よって政府は、本法の施行に当たっては、次の事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。
一農業生産力の増進と農業経営の改善を図る観点から、生物系特定産業技術研究推進機構における高性能農業機械及び農業機械化適応農業資材についての試験研究等の一層の充実を図ること。
二高性能農業機械等の試験研究、実用化の促進及び導入に関する基本方針については、「新政策」との整合性に留意しつつ、その内容が農業機械化の促進を通じて、農業経営の改善に資することを旨として適切に策定すること。
三高性能農業機械実用化促進事業の実施に当たっては、生物系特定産業技術研究推進機構の出資事業という性格にもかんがみ、事業の実施主体となる実用化促進会社の適切な運営の確保、同会社が行う標準的機械化栽培様式の策定や金型の製造・貸付け等の事業の円滑な推進及びこれら事業の成果の利活用に際しての公益性の確保を図るため、技術的支援等を行うとともに的確な指導に努めること。
四農業機械の導入による農家負担を軽減し、高性能農業機械の円滑な普及とその効率的利用を促進する観点から、金融上の措置の充実及び税制上の措置を含めた助成措置の効果的活用を図るとともに、農業機械銀行の積極的活用やリース・レンタル方式の推進等利用形態の合理化に努めること。また、導入後の維持経費の低減を図る観点から、大型トラクターにおける車検期間の延長等についての検討に努めること。
五農業機械による農作業事故を防止するため、生物系特定産業技術研究推進機構による検査・鑑定、使用者に対する安全対策に関する啓発等の一層の充実を図るとともに、都道府県における導入計画の策定に当たっても、農作業の安全確保に十分配慮した内容となるよう適切な指導に努めること。
六農業機械の開発、実用化及び普及を効率的に推進するため、実用化促進事業における地方公共団体、農業団体、試験研究機関等の参画、協力はもとより関係機関の一層の連携強化に努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=112601024)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。