環境基本法案
参議院 環境特別委員会
平成5年法律第91号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院環境委員会
- H5.10.22趣旨説明環境委員会 237
- H5.10.26質疑・採決・修正案趣旨説明・修正案環境委員会 3310
- H5.10.28採決・委員長報告本会議 726
参議院環境特別委員会
- H5.10.29趣旨説明環境特別委員会 428
- H5.11.10質疑・修正案趣旨説明・採決・修正案環境特別委員会 5201
- H5.11.12採決・委員長報告本会議 611
提案理由
広中和歌子 環境庁長官 平成5年10月22日ただいま議題となりました環境基本法案及び環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
今日の環境問題は、地球環境という空間的広がりと、将来の世代にわたる影響という時間的な広がりとを持つ問題となっております。環境問題は、質の高い実のある国づくりを目指す我が国にとって重要な政策課題であるばかりでなく、人類の生存基盤としての有限な環境を守り、次の世代へと引き継いでいくという、人類共通の課題でもあります。
我が国では、かつて経済の高度成長期において、環境汚染や自然破壊が大きな社会問題となり、これに対処するため、昭和四十二年の公害対策基本法の制定どこれに引き続く昭和四十五年の公害関係十四法の制定または改正、昭和四十七年の自然環境保全法の制定等により、鋭意対策の推進を図ってまいりましたが、これらに基づく対策の推進及び国民や企業の努力によって、激甚な公害の克服やすぐれた自然環境の保全については、相当な成果を上げてまいりました。
しかし、その後の経済的発展の中で、物質的にはより豊かになったものの、大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済活動が定着するとともに、人口や社会経済活動の都市への集中が一層進んでおり、そのような中で、大都市における大気汚染や生活排水による水質汚濁等の都市・生活型公害等の改善は依然として進まず、また、廃棄物の量の増大等による環境への負荷は高まっており、さらに、身近な自然が減少を続けている一方、人と環境とのきずなを強める自然との触れ合いを大切にする国民の欲求が高まりを見せております。
また、地球温暖化やオゾン層の破壊、海洋汚染、野生生物の種の減少など、地球的規模で対応すべき地球環境問題が生じ、人類の生存の基盤であるかけがえのない地球環境が損なわれるおそれが生じてきております。我が国は本年五月、気候変動枠組み条約及び生物多様性条約を締結したところでありますが、今後とも地球サミットの成果も踏まえ、地球環境保全に積極的に取り組んでいく必要があります。
環境は生態系の微妙な均衡によって成り立っている有限なものであり、人類は、このような環境をその生存の基盤として将来の世代をも含めて共有しており、また、環境から多くの恩恵を受けるとともに、環境にさまざまな影響を及ぼしながら活動しています。このため、広く国民、ひいては人類が、環境の恵沢を享受するとともに、将来の世代に健全で恵み豊かな環境を継承することができるよう、適切にその保全を図らなければなりません。
今やこの環境を保全していくためには、環境の保全上の支障が生じないように科学的知見を充実して未然防止を図るとともに、国民一人一人が環境への負荷が人のさまざまな活動から生じていることを認識し、すべての者の公平な役割分担のもとに、自主的かつ積極的に経済社会システムのあり方や生活様式の見直しを行い、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築することが求められています。
また、地球環境保全が人類共通の課題であるとともに国民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上での課題であること及び我が国の経済社会が国際社会と密接な相互依存関係にあることにかんがみれば、我が国は、その経験、能力等を踏まえ、世界の国々と手を携えて、地球環境保全に積極的に取り組んでいかなければなりません。
環境基本法案は、こうした要請にこたえ、環境
の保全の基本的理念とこれに基づく基本的施策の総合的な枠組みを国民的合意として新たに定立しようとするものであります。
環境基本法案はさきの第百二十六回国会に提案され、衆参両院における十分な審議を経てさまざまな御意見を調整の上、修正されて全会一致で可決されてきたものの、衆議院の解散により廃案となったものでありますが、同法案の重要性にかんがみ、さきの第百二十六回国会における御審議を尊重し、その過程で追加されました二条項を取り込み、本国会に再び提案することといたした次第であります。
次に、環境基本法案の内容の概要を御説明申し上げます。
第一に、環境の保全についての基本的理念として、環境の恵沢の享受と継承等、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等及び国際的協調による地球環境保全の積極的推進という三つの理念を定め、国、地方公共団体、事業者及び国民の環境の保全に係る責務を明らかにし、また環境の日を設けることとしております。
第二に、環境の保全に関する施策に関し、まず施策の策定及び実施に係る指針を明示し、また、環境基本計画を定めて施策の大綱を国民の前に示すこととするとともに、環境基準、公害防止計画、国等の施策における環境配慮、環境影響評価の推進、環境の保全上の支障を防止するための規制の措置、環境の保全上の支障を防止するための経済的な助成または負担の措置、環境の保全に関する施設の整備その他の事業の推進、環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進、環境教育、民間の自発的な活動の促進、科学技術の振興、地球環境保全等に関する国際協力、費用負担及び財政措置、国及び地方公共団体の協力など、基本的な施策について規定しております。
第三に、国及び地方公共団体に環境審議会を設置すること等について規定しております。
次に、環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、ただいま御説明申し上げました環境基本法の施行に伴い、公害対策基本法を廃止するほか、自然環境保全法等の十八法律について規定の整備を行うとともに、所要の経過措置を定めるものであります。
以上が、これら二法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
第128回国会衆議院環境委員会議録第2号5頁(平成5年10月22日)〔広中和歌子環境庁長官発言・発言番号35〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=112801005)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。