労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案
参議院 労働・社会政策委員会
平成11年法律第84号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院労働委員会
- H11.4.15趣旨説明・質疑本会議 2326
- H11.4.16趣旨説明労働委員会 878
- H11.4.28質疑労働委員会 9108
- H11.5.7質疑労働委員会 10110
- H11.5.11参考人招致労働委員会 1184
- H11.5.12質疑労働委員会 12208
- H11.5.14質疑労働委員会 13153
- H11.5.19質疑・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)・附帯決議・修正案労働委員会 14124
- H11.5.21委員長報告・採決(修正)・附帯決議本会議 3228
参議院労働・社会政策委員会
- H11.5.24趣旨説明・質疑本会議 2247
- H11.5.25趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明労働・社会政策委員会 912
- H11.5.27質疑労働・社会政策委員会 10222
- H11.6.1質疑労働・社会政策委員会 11102
- H11.6.8質疑労働・社会政策委員会 12330
- H11.6.10質疑労働・社会政策委員会 13117
- H11.6.29質疑・討論・採決・附帯決議労働・社会政策委員会 1444
- H11.6.30採決・委員長報告・附帯決議本会議 3233
提案理由
甘利明 労働大臣 平成11年4月15日まず、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
近年における社会経済情勢の変化を背景として、労働者の就業形態や就業意識の多様化が進んでおり、労働力の多様なニーズに対応した需給の迅速かつ的確な結合を促進し、適正な就業の機会の拡大を図ることが必要であります。
また、一昨年六月のILO総会において、労働者派遣事業を含む民間の労働力需給調整事業の運営を認めること、及びこれを利用する労働者を保護することを目的とする第百八十一号条約が採択されたところであります。
このような状況のもとで、ILO第百八十一号条約の採択により、労働者派遣事業についての新たな国際基準が示されたことを踏まえるとともに、社会経済情勢の変化への対応、労働者の多様な選択肢の確保等の観点から、中央職業安定審議会において、労働者派遣事業制度の見直しについて検討が重ねられ、昨年五月に、臨時的、一時的な労働力の需給調整に関する対策としての労働者派遣事業制度の実施、及び派遣労働者の適切な就業条件の確保を図るための措置を講ずるべき旨の建議をいただいたところであります。
政府といたしましては、この建議を踏まえ、本法律案を作成し、中央職業安定審議会等の関係審議会の審議を経て、成案を取りまとめ、ここに提出した次第であります。
次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
第一に、労働者派遣事業の対象業務の範囲について、港湾運送業務、建設業務、警備業務、その他中央職業安定審議会の意見を聞いて定める業務を除いた業務をその対象業務とすることとしております。
第二に、許可等の手続等について、許可の申請書等の記載事項及びその変更の際の手続を簡素化するとともに、許可等の欠格事由として、社会保険、労働保険等に係る法律の規定により罰金の刑に処せられ、一定の期間を経過しない者を追加することとしております。
第三に、労働者派遣の期間について、臨時的、一時的な労働力の需給調整に関する対策として労働者派遣事業制度を位置づける観点から、専門的な知識、技術または経験を必要とする業務等のうち、中央職業安定審議会の意見を聞いて定める業務等を除き、派遣先は、同一の業務について一年を超える期間継続して労働者派遣を受けてはならないこととしております。
また、労働大臣は、この労働者派遣の期間の制限に違反している者に対し、指導助言をした場合において、なおそれに違反し、または違反するおそれがあるときは、勧告、公表をすることができることとしております。
第四に、派遣先は、一年を超える期間継続して労働者派遣を受けてはならないこととしている業務に、継続して一年間労働者派遣を受けた場合において、引き続きその業務に従事させるため労働者を雇い入れようとするときは、当該派遣労働者を雇い入れるよう努めなければならないこととしております。
第五に、派遣先は、派遣就業が適正かつ円滑に行われるようにするため、適切な就業環境の維持、診療所、給食施設等の利用に関する便宜の供与等、必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。
第六に、派遣労働者の適正な就業条件の確保を図るため、派遣元事業主等のその業務上知り得た秘密の漏えいの禁止、労働大臣に対する申告を理由とした不利益取り扱いの禁止、労働者派遣事業適正運営協力員の委嘱等の措置を講ずることとしております。
なお、この法律は、平成十一年七月一日から施行することとしております。
第145回国会衆議院会議録第23号2頁(平成11年4月15日)〔甘利明労働大臣発言・発言番号11〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法律の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一適用除外業務を政令で定めるに当たっては、その業務の実施の適正を確保するためには労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務について、中央職業安定審議会の意見を踏まえ適切に措置すること。
二請負等を偽装した労働者派遣事業の解消に向けて、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準について一層の具体化、明確化を図るとともに、厳正な指導・監督に努めること。
三派遣先は、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の中途解除を行おうとする場合には、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときは契約解除の少なくとも三十日前に派遣元事業主にその旨の予告を行わなければならないこととするとともに、この予告をしない派遣先は派遣労働者の三十日分以上の賃金に相当する損害賠償(解除の三十日前の日と予告をした日との間の日数が三十日未満の場合はその日数分以上の賃金に相当する損害賠償)を行わなければならない旨を指針に明記し、その履行の確保を図ること。
四派遣元事業主は社会・労働保険に加入の必要がある派遣労働者について加入させてから労働者派遣を行うべき旨及び派遣先は社会・労働保険に加入している派遣労働者を受け入れるべき旨を指針に明記し、その履行の確保を図ること。また、派遣労働者を含む短期雇用労働者に係る社会・労働保険の在り方について検討すること。
五派遣労働者の職業能力の開発・向上を図るため、派遣元事業主による一層の教育訓練の機会の確保が図られるよう、適切な指導等に努めること。
政府は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一適用除外業務を政令で定めるに当たっては、その業務の実施の適正を確保するためには労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務について、中央職業安定審議会の意見を踏まえ適切に措置すること。
二今回の改正により新たに対象となる業務における登録型の派遣労働者については、この法律の施行三年経過後における労働者派遣法の規定についての検討に際し、その就業の実情、労働条件の確保等の状況を把握、分析し、必要な検討を加えること。
三請負等を偽装した労働者派遣事業の解消に向けて、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準について一層の具体化、明確化を図るとともに、周知徹底、厳正な指導・監督を行うこと。
四派遣期間一年の制限に係る「同一の業務」及び「継続」の判断基準について、中央職業安定審議会の意見を聴き指針に可能な限り明確に定めること。また、派遣期間一年の制限に違反して労働者派遣の受入れを行っている場合における労働大臣による派遣先に対する雇入れ勧告について、実効性を確保するためその適切な運用を図ること。
五派遣元における派遣労働者の個人情報保護の実効性を確保するため、派遣元事業主が収集、保管、使用する個人情報の範囲並びに許可基準中の個人情報の適正管理等に係る要件及び派遣元責任者の業務の内容について、中央職業安定審議会の意見を聴き可能な限り明確に定めること。
六派遣先におけるセクシュアルハラスメントを防止するため、派遣先に対し必要な指導等適切な措置を講ずること。
七派遣先は派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の中途解除を行おうとする場合には、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときは契約解除の少なくとも三十日前に派遣元事業主にその旨の予告を行わなければならないこととするとともに、この予告をしない派遣先は派遣労働者の三十日分以上の賃金に相当する損害賠償(解除の三十日前の日と予告をした日との間の日数が三十日未満の場合はその日数分以上の賃金に相当する損害賠償)を行わなければならない旨を指針に明記し、その履行の確保を図ること。
八派遣先は当該派遣先における労働者派遣契約の定めに反する事案を知ったときは、これを早急に是正すること、労働者派遣契約の定めに反する行為を行った者及び当該派遣先責任者に対し労働者派遣契約を遵守させるために必要な措置を講ずること、派遣元事業主と十分協議した上で損害賠償等の善後処理方策を講ずること等適切な措置を講ずべき旨を指針に明記し、派遣先による労働者派遣契約違反の防止等のための指導の徹底を図ること。
九派遣元事業主は社会・労働保険に加入の必要がある派遣労働者について加入させてから労働者派遣を行うべき旨及び派遣先は社会・労働保険に加入している派遣労働者を受け入れるべき旨を指針に明記し、その履行の確保を図ること。また、派遣労働者を含む短期雇用労働者に係る社会・労働保険の在り方について、早急に検討すること。
十派遣労働者の職業能力の開発・向上を図るため、派遣元事業主による一層の教育訓練の機会の確保が図られるよう、適切な指導等に努めること。
十一派遣労働者の保護の実効性の確保について、都道府県労働局において職業安定行政と労働基準行政とが統合されることを念頭に置き、使用者責任の遵守の観点から、労働基準監督官との連携の在り方も含め、検討を行うものとすること。
十二この法律の施行三年経過後における労働者派遣法の規定の検討に際し、派遣労働者の保護や職業能力の開発等労働者派遣事業の制度の在り方について総合的に検討を加えること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=114301010)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。