無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案
参議院 法務委員会
平成11年法律第147号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院法務委員会
- H11.11.5趣旨説明法務委員会 121
- H11.11.5趣旨説明・質疑本会議 340
- H11.11.9質疑法務委員会 2274
- H11.11.12質疑法務委員会 4159
- H11.11.16参考人招致法務委員会 5154
- H11.11.17修正案趣旨説明・質疑・討論・附帯決議・採決(修正)・修正案法務委員会 6313
- H11.11.18委員長報告・採決(修正)・附帯決議本会議 529
参議院法務委員会
- H11.11.19趣旨説明・質疑本会議 624
- H11.11.25趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明・質疑法務委員会 6276
- H11.11.30参考人招致法務委員会 755
- H11.12.2質疑・討論・採決・附帯決議法務委員会 8182
- H11.12.3委員長報告・採決・附帯決議本会議 1010
提案理由
臼井日出男 法務大臣 平成11年11月5日無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
我が国社会においては、平成六年、七年に、毒性物質であるサリンを使用してのいわゆる松本サリン事件及び地下鉄サリン事件が相次いで発生し、不特定多数の者の生命身体に対し極めて重大な被害をもたらしたことは記憶に新しいところであります。
最近の国際情勢を見ても、多数の死傷者を出した平成十年八月のケニア、タンザニアにおける米国大使館同時爆破事件に代表されるように、公共の場所で爆弾を爆発させるなどして多くの一般市民を犠牲にする無差別大量殺人事件が多発しております。
このように、無差別大量殺人行為は、平穏な市民生活にとって重大な脅威となる上、これを団体が行う場合、秘密裏に計画準備がされて実行に移されるため犯行の事前把握が極めて困難であることなどから、犯行の実現可能性も高く、また、団体が一定の目的を達成するための手段としてこれを敢行する場合には、反復して実行される危険性が高いのであります。
そこで、この法律案は、このような無差別大量殺人行為の特性を踏まえて、過去に無差別大量殺人行為を行った団体について、現在も危険な要素を保持していると認められる場合に、迅速かつ適切に対処するため、必要な法整備を図ろうとするものであります。
次に、この法律案の主要点について御説明申し上げます。
第一は、過去に団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体であって、現在も危険な要素を保持している団体を適用対象とするものであります。
第二は、公安審査委員会が、対象団体について、その活動状況を継続して明らかにする必要があると認めた場合、一定期間、公安調査庁長官の観察に付し、公安調査庁長官が当該団体から一定の事項について定期の報告を受けるとともに、必要に応じ当該団体が所有しまたは管理する土地または建物への立入検査を行い得る観察処分の制度を設けるものであります。
第三は、公安審査委員会が、対象団体について、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の増大を防止する必要があると認めた場合、または、第二の観察処分に付された団体につき、不報告または立入検査妨害等があり、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認めた場合、一定期間、土地または建物の新規取得の禁止、既存の土地または建物の使用禁止、無差別大量殺人行為の関与者等に一定の団体の活動に参加させることの禁止、加入強要、脱退妨害の禁止、金品等の贈与を受けることの禁止等の処分を行い得る再発防止処分の制度を設けるものであります。
第四は、観察処分及び再発防止処分の判断手続を迅速に行い得るようにするための手続規定を設けるものであります。
第五は、政府が、年一回、国会に対し、この法律の施行状況を報告することとするとともに、公安調査庁長官が関係地方公共団体の請求により、観察処分に基づく調査の結果得られた情報について、個人の秘密等を害するおそれがある事項を除き、提供できることとするものであります。
第六は、本法案による規制をより実効性のあるものとするため、警察当局との協力関係につき、所要の措置を講じるものであります。
第七は、規制の実効性を担保するため、立入検査妨害及び再発防止処分に伴う役職員または構成員等の禁止行為違反等につき、所要の罰則を設けるものであります。
以上が法律案の要旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
第146回国会衆議院法務委員会議録第1号3頁(平成11年11月5日)〔臼井日出男法務大臣発言・発言番号17〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
この法律の施行に当たっては、政府は、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一政府は、この法律の適用に関しては、いやしくも、日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限することのないよう、及び、労働組合その他の団体の正当な活動を阻害することのないよう、厳に留意すること。
二政府は、無差別大量殺人行為を行った団体が依然として危険な要素を保持している場合には、この法律を適用して厳正に対処し、国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保に寄与するよう努めること。
三政府は、公安審査委員会の職権による観察処分の取消権の適正な行使に資するため、立入検査の実施に当たっては濫用にわたらぬよう、公安調査庁長官において、あらかじめ立入りを行う土地又は建物の所在及び立入りの予定日を公安審査委員会に通報するとともに、その立入検査の結果を公安審査委員会に報告するなどの細則を定めること。
四政府は、この法律により規制処分を実施した団体から離脱し又は離脱しようとする当該団体の役職員及び構成員並びに既に離脱した者の社会的な救済につきカウンセラーの充実などこれらの者の社会復帰に資する体制の整備などの施策を講じるよう努めること。
五政府は、この法律の適正な運用を確保するとともに国会がこの法律により行う五年ごとの見直しに資するため、この法律による一年ごとの報告及び種々の情報提供につき、法務委員会における報告等の審議を含め、積極的に対応すること。
六政府は、いわゆるテロ対策等について論議することに資するため幅広い調査・研究に努めること。
政府は、思想、信教の自由をはじめ憲法で保障された国民の基本的人権を侵すことのないよう最大の配慮をし、次の諸点について格段の努力をすべきである。
一本法は、国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保に寄与するために必要な最小限度においてのみ適用すべきであり、国民の自由と権利を不当に制限することのないよう、対象団体を必要最小限に限定し、労働組合その他の団体の正当な活動を阻害することのないよう、厳に留意すること。
二無差別大量殺人行為を行った団体が、依然として、危険な要素を保持している場合には、本法により実効性ある規制を厳正に行うとともに、関係地域住民の不安と恐怖心を除去するため、公安調査庁長官は、調査の結果を関係地方公共団体に積極的に提供すること。
三本法による公安調査官及び都道府県警察職員の立入検査の実施に当たっては、濫用に及ばぬよう、公安調査庁長官において、あらかじめ立入りを行う土地又は建物の所在及び立入りの予定日等を公安審査委員会に報告するとともに、その立入検査の結果を公安審査委員会に報告するなどの細則を定め、適正な運用に努めること。
四本法により規制処分を受けた団体から離脱し又は離脱する意志を有する者に対して、離脱の援助・促進、離脱を妨害する行為の予防、離脱した者に対するカウンセリング等社会的援護の充実などの適切な施策を講じ、これらの者が円滑に社会復帰できるよう努めること。
五本法の適正な運用を確保するとともに、五年ごとの廃止を含む見直しをはじめとする国会の十分な審査に資するため、国会に対し、毎年一回の報告のほか、対象団体の動向及び立入検査の実施状況等について、随時、積極的に情報提供をすること。
六公安調査庁長官は、特定破産法人の破産管財人から、特別関係者に対する財産又は不当利得の返還を請求するために、調査の結果の提供を求められたときは、無差別大量殺人行為により被害を受けた者の救済に資するため、最大限の協力をすること。
七犯罪被害者等に対する給付金支給制度の充実を含め、犯罪により被害を受けた人々の救済を拡充・強化するとともに、犯罪被害者支援体制の整備に努めること。
八国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保に寄与するため、いわゆるテロ対策等について、調査・研究に努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=114601002)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。