道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律案
参議院 交通・情報通信委員会
平成12年法律第86号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院運輸委員会
- H12.4.18趣旨説明運輸委員会 1051
- H12.4.21質疑運輸委員会 11169
- H12.4.26質疑・討論・採決・附帯決議運輸委員会 12158
- H12.4.27委員長報告・採決・附帯決議本会議 3033
参議院交通・情報通信委員会
- H12.5.11趣旨説明交通・情報通信委員会 16291
- H12.5.16質疑交通・情報通信委員会 17150
- H12.5.18質疑・討論・採決・附帯決議交通・情報通信委員会 18119
- H12.5.19委員長報告・採決・附帯決議本会議 2671
提案理由
二階俊博 運輸大臣・北海道開発庁長官 平成12年4月18日ただいま議題となりました道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律案、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、港湾運送事業法の一部を改正する法律案、以上三件の提案理由につきまして御説明申し上げます。
初めに、道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
一般乗り合い旅客自動車運送事業は、通勤、通学、通院を初めとする地域住民の日常生活を支える公共交通機関として、また、一般乗用旅客自動車運送事業は、ドア・ツー・ドアの機動的、個別的公共交通機関として重要な役割を果たしてきているところでありますが、一方において、経済構造の転換や国民生活の向上を背景とした輸送ニーズの高度化、多様化に適切に対応していく必要性が高まっているところであります。
このような状況を踏まえ、需給調整規制を廃止し、事業者間の競争を促進することにより、事業者の創意工夫を生かした多様なサービスの提供や事業の効率化、活性化を図ることが求められているところであります。
一方、輸送の安全及び利用者利便の確保は、需給調整規制廃止後においても旅客自動車運送事業にとって重要な課題であり、これらについて十分な措置を講じていく必要があります。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、一般乗り合い旅客自動車運送事業及び一般乗用旅客自動車運送事業に係る参入について、免許制を許可制とし、輸送の安全、事業の適切性等を確保する観点から定めた一定の基準に適合している場合に参入を認めることとし、その事業の開始によって、事業の供給輸送力が輸送需要量に対し不均衡とならないものであるか否か等についての審査、いわゆる需給調整規制を廃止することとしております。
第二に、一般乗用旅客自動車運送事業について、特定の地域において供給輸送力が輸送需要量に対し著しく過剰となり、当該地域における輸送の安全及び旅客の利便を確保することが困難となるおそれがあると認められるときは、期間を定めて新規参入及び増車を認めないこととする緊急調整措置を講ずることができることとしております。
第三に、一般乗り合い旅客自動車運送事業に係る運賃及び料金について、国土交通大臣がその上限を認可し、認可を受けた上限の範囲内において事前届け出により設定または変更を行うことができることとするとともに、国土交通大臣は、届け出られた運賃または料金が一定の事由に該当するときはこれを変更することを命ずることができることとしております。
第四に、一般乗用旅客自動車運送事業に係る運賃及び料金の設定または変更について、利用者利便等を確保するため、引き続き認可制とし、上限価格その他の認可基準を設けることとしております。
第五に、一般乗り合い旅客自動車運送事業に係る休廃止等について、原則として六月前までの事前届け出制とするとともに、国土交通大臣は、届け出があった場合には、休廃止後の旅客の利便の確保に関し、関係地方公共団体等から意見を聴取することとしております。
第六に、旅客自動車運送事業の輸送の安全を確保するため、運行管理者の資格試験制度を導入することとしております。
第七に、タクシー事業において引き続き運転者の質の確保及び事業の適正化を図るため、タクシー業務適正化臨時措置法をタクシー業務適正化特別措置法として恒久化することとしております。
続きまして、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
海洋汚染の防止につきましては、各国が協調して取り組むことによって初めて十分な効果が期待できるものであるため、我が国といたしましては、従来より国際的な動向に対応しつつ、海洋汚染防止対策の充実強化を図ってきたところであります。
さらに、有害液体物質の流出事故時等における適切な初動措置を確保するため、船舶所有者に対し、有害液体汚染防止緊急措置手引書を船舶内に備え置くことを義務づけるとともに、当該手引書について検査の対象とすることを内容として、千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約附属書IIの改正が平成十一年七月に行われ、平成十三年一月に発効する見込みとなっております。
このため、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正し、同条約の改正に伴う国内法制の整備を行う必要があります。
また、あわせて、平成十一年三月の総務庁による認可法人に関する調査結果に基づく勧告を踏まえ、海上災害防止センターについて、その事業活動、財務状況等に関する実態について透明性をより一層確保するため、財務諸表等の公開に関する規定の整備を行う必要があります。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、船舶所有者は、有害液体物質を輸送する一定の船舶ごとに有害液体汚染防止緊急措置手引書を作成し、これを船舶内に備え置かなければならないこととしております。
第二に、船舶所有者は、その有害液体汚染防止緊急措置手引書が技術基準に適合していることについて、国土交通大臣が行う検査を受けなければならないこととしております。
第三に、海上災害防止センターの財務諸表等の公開に関する規定を整備しております。
最後に、港湾運送事業法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
港湾運送事業は、海陸の結節点である港湾において貨物の船舶への積み込み等を行うもので、海上物流にとって不可欠な事業であるとともに、我が国における経済活動や国民生活を維持していく上で極めて重要な役割を果たしているところであります。一方、近年各国の港湾の間において国際的な競争が進展する中で、コンテナの取扱量などにおいて我が国港湾の東アジアにおける相対的地位は大きく低下しつつあり、その原因の一つとして、我が国港湾運送の事業者間の競争が行われにくく、船会社、荷主のニーズに合ったサービスが提供されにくくなっているという点が指摘されているところであります。
今後、我が国港湾が東アジアの主要港に伍して将来にわたって効率的な物流サービスを提供していくためには、特に海上輸送の主流を占めているコンテナ貨物の積みおろしについて、より一層の効率化、サービスの向上が求められているところであります。
このような状況を踏まえ、コンテナ貨物の積みおろしの用に供する港湾のうち国民経済上特に重要なものにおいて行われる一般港湾運送事業等について、需給調整規制の廃止を初めとする規制の見直しを通じて、事業者間の競争を促進し、事業の効率化や多様なサービスの提供を図ることが求められているところであります。
一方、港湾運送事業はその特性から過去に混乱の歴史を経験したという事実にかんがみ、規制の見直しに当たっては、不適格な事業者の参入や行き過ぎた料金競争による港湾運送の混乱というような事態が生ずることのないよう、港湾運送の安定化に一定の配慮を行う必要もあります。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、コンテナ貨物の積みおろしの用に供する港湾のうち国民経済上特に重要な特定港湾における一般港湾運送事業等に係る参入について、免許制を許可制として、事業の適切性等を確保する観点から定めた一定の基準に適合していれば参入を認めることとし、いわゆる需給調整規制を廃止することとしております。
第二に、特定港湾における一般港湾運送事業等に係る運賃及び料金の設定または変更について、認可制から事前届け出制に改めるとともに、運輸大臣は、届け出られた運賃または料金が一定の事由に該当するときは、これを変更することを命ずることができることとしております。
第三に、特定港湾における一般港湾運送事業等に係る休廃止について、許可制を事前届け出制とすることとしております。
第四に、免許制のもとにおける下請制限の規定等必要なものについては、許可制となる特定港湾における一般港湾運送事業等についても準用することとしております。
第五に、不適格な事業者の参入を防止するため、港湾運送事業の免許または許可の欠格事由の拡充を行うとともに、罰則に関し所要の見直しを行うこととしております。
以上が、道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律案、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、港湾運送事業法の一部を改正する法律案を提案する理由であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
第147回国会衆議院運輸委員会議録第10号8頁(平成12年4月18日)〔二階俊博運輸大臣発言・発言番号49〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法施行に当たり、次の点に配慮し、所要の措置を講ずるべきである。
一一般乗合旅客自動車運送事業及び一般乗用旅客自動車運送事業の許可に当たっては、最低車両台数の確保等輸送の安全確保のための適切な事業計画、事業遂行能力等について、厳格な審査を行うこと。また、許可基準を具体的に定め、公示する等許可の運用について、統一性、透明性を確保するとともに、許可後の指導監督を強化すること。また、個人タクシーについては、現行の位置付けを踏まえて資格要件を厳格に定めること。
二需給調整規制の廃止後においても、公正競争確保及び道路運送に関する秩序確立のため、輸送の安全等確保命令、事業改善命令、許可取消処分等について、基準を明示し、行政処分の点数制を導入する等、厳正かつ機動的に行うこと。
三輸送の安全確保と適正労働条件の確立を図るため、自動車運転者の労働時間等改善基準の遵守について、指導監督を徹底し、最高乗務距離等の制限、過重労働を強いることとなる累進歩合やノルマの排除、運転者に対する安全教育の充実等について、所要の措置を講ずるとともに、労働条件の地域間格差の改善に努めること。
四一般乗合旅客自動車運送事業の運賃変更命令の発動基準及び一般乗用旅客自動車運送事業の運賃認可基準には、人件費等費用について適正な水準を反映させるとともに、他の事業者との間で不当競争を引き起こす恐れのある運賃を排除するため、具体的基準を設け、厳正に運用すること。
五地域において生活交通確保のための具体的方策を協議する地域協議会について、地域の関係者の意見が広く反映され、地域の実情に応じた実効ある方策が取りまとめられるとともに、本法案の成立後早期に開催されるよう、速やかに具体的あり方を示す等環境整備を図ること。
六地域交通ネットワークを維持し、生活交通を確保するため、国と地方公共団体の役割分担を明確にした上で、必要な補助制度を確立するとともに、所要の財源確保を図ること。
七一般乗合旅客自動車運送事業の活性化と発展を図るため、オムニバスタウン整備をはじめとしたバス利用促進、道路交通環境整備等の取組みについて、関係省庁連携のもと、一層の推進を図ること。
八一般乗用旅客自動車運送事業に係る緊急調整措置について、発動基準をあらかじめ地域の実情等を充分勘案して具体的に策定し、事態改善のため、機動的かつ適切に運用すること。
九悪質事業者排除、運転代行等による事業類似行為防止等について、関係行政機関の協力・連携の強化を図る等所要の措置を講ずること。また、運転代行については、違法行為排除、業務の適正運営及び安全確保等に関し、必要な法規制を早急に検討すること。
十タクシー業務適正化特別措置法について、指定地域の拡大は慎重に検討することとし、効率的・効果的な適正化事業の実施を図るため、問題が指摘されているタクシー近代化センターの業務について見直しを行い、必要な措置を講ずること。また、指定地域にかかわらずタクシー業務の適正化、良質な運転者の確保方策、利用者利便の向上のために関係者の協議機構を設けること。
十一交通バリアフリー対策を促進する観点から、タクシー等を活用したSTS(スペシャル・トランスポート・サービス)の充実を図るため所要の支援措置を講ずること。
政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に向け万全を期すべきである。
一一般乗合旅客自動車運送事業及び一般乗用旅客自動車運送事業の許可に当たっては、許可基準を具体的に定め、公示する等許可の運用について、統一性、透明性を確保するとともに、最低車両台数の確保等輸送の安全確保のため、事業計画、事業遂行能力等について、厳格な審査を行うこと。また、個人タクシーについては、現行の位置付けを踏まえて資格要件を厳格に定めること。
二公正競争確保及び道路運送に関する秩序確立のため、事業許可後の指導監督を強化するとともに、輸送の安全等確保命令、事業改善命令、許可取消処分等について基準を明示し、行政処分の点数制を導入する等、厳正かつ機動的に運用すること。また、事業者ごとの事故や法令違反状況等の情報を利用者に提供する方策を推進すること。
三輸送の安全確保と適正労働条件の確立を図るため、最高乗務距離等の制限、過重労働を強いることとなる累進歩合やノルマの排除、運転者に対する安全教育の充実等について、所要の措置を講ずること。また、自動車運転者の労働時間等改善基準の遵守について、関係行政機関間のより一層の連携を図り、指導監督を徹底するとともに、労働条件の地域間格差の改善に努めること。
四一般乗合旅客自動車運送事業の運賃変更命令の発動基準及び一般乗用旅客自動車運送事業の運賃認可基準について、他の事業者との間で不当競争を引き起こすおそれのある運賃を排除するため、具体的な基準を設け、厳正に運用すること。また、その基準には、人件費等の費用について適正な水準を反映させること。
五生活交通確保のための具体的方策を協議する地域協議会について、本法案の成立後早期に開催されるよう、速やかに具体的あり方を示す等環境整備を図ること。また、地域協議会においては、地域の関係者の意見が広く反映され、地域の実情に応じた実効ある方策が取りまとめられるよう、国も積極的に役割を果たすこと。
六生活交通を確保し、地域交通ネットワークを維持するため、国と地方公共団体の役割分担を明確にした上で、必要な補助制度を確立するとともに、所要の財源確保を図ること。
七地方公共団体による自家用バスによる輸送サービスの提供について、その範囲を明確化するとともに、地方公共団体の実情を十分勘案した上で、輸送の安全確保に関する適切な措置を講ずること。また、関係行政機関間のより一層の連携を図りつつ、乗合バスとスクールバス、福祉バス等との一体的な運行を促進すること。
八一般乗合旅客自動車運送事業の活性化と発展を図るため、オムニバスタウン整備をはじめとしたバス利用促進を図るとともに、バス走行環境改善のための取組について、関係省庁間の緊密な連携のもと、一層の推進を図ること。
九一般乗用旅客自動車運送事業に係る緊急調整措置について、地域の実情等を十分勘案して、発動基準をあらかじめ具体的に策定するとともに、事態改善のため、機動的かつ適切に運用すること。
十需給調整規制の廃止後は、悪質事業者排除、運転代行等による事業類似行為防止等がこれまで以上に重要となることから、関係行政機関の協力・連携を強化し、指導監督及び取締りを徹底すること。また、運転代行業については、違法行為排除、業務の適正運営及び安全確保等に関し、必要な法規制を早急に検討すること。
十一タクシー業務適正化特別措置法の指定地域の拡大については、実情を的確に把握しつつ、検討すること。また、タクシー近代化センターの業務について、運営体制等の問題が指摘されていることを十分踏まえ、効率的・効果的な事業の実施を図るための見直しを行い、必要な措置を講ずること。
十二タクシー業務適正化特別措置法の指定地域にかかわらず、タクシー業務の適正化、良質な運転者の確保方策、利用者利便の向上のために、行政機関、関係の事業者団体及び労働者団体等からなる関係者の協議機構を設けること。
十三交通バリアフリー対策促進の観点から、タクシー等を活用したSTS(スペシャル・トランスポート・サービス)の充実を図るため、所要の支援措置を講ずること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=114701048)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。