更生保護事業法等の一部を改正する法律案
衆議院 法務委員会
平成14年法律第46号
審議経過
右の数字は会議の発言数参議院法務委員会
- H14.4.2趣旨説明法務委員会 64
- H14.4.4質疑・採決・附帯決議法務委員会 7197
- H14.4.5委員長報告・採決・附帯決議本会議 1547
衆議院法務委員会
- H14.4.26趣旨説明法務委員会 13127
- H14.5.17質疑・採決・附帯決議法務委員会 14161
- H14.5.21委員長報告・採決・附帯決議本会議 3655
提案理由
森山眞弓 法務大臣 平成14年4月2日更生保護事業法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
更生保護事業は、民間篤志家のたゆまぬ努力によって維持運営され、犯罪者の社会復帰に大きく貢献するとともに、国が行う保護観察その他の更生の措置を円滑に実施する上で重要な機能を果たしております。特に、更生保護事業の主たる担い手である更生保護施設は、これまで多くの者を受け入れ、その社会的自立を促すとともに、再犯を予防し、国民の安全と治安の確保に重要な役割を果たしてきております。
ところで、近年、犯罪情勢の悪化を背景とする矯正施設収容者の増加を受けて、出所後に更生保護施設の保護を必要とする者も着実に増加する傾向が見られます。しかも、その中には高齢犯罪者のように自立に特別な配慮を要する者や、累犯者及び薬物・アルコール依存者等のように、その改善更生には社会生活に適応させるための専門的な働き掛けを要する者の増加が顕著な傾向としてうかがわれるのであります。また、昨今の少年による凶悪・重大な事件などに端的に見られるように、親の監護能力が弱体化する中で、本人の対人関係上の問題や社会適応力の欠如等の問題に対する適切な援助が求められております。このような現状にかんがみ、これらの者の社会復帰を促し、その改善更生を助けるためには、更生保護施設における処遇機能を一層充実させ、同施設において、犯罪者や非行少年に対し、その問題性に応じた適切な処遇をなし得るものとする必要があります。
そこで、この法律案は、以上述べた犯罪情勢に的確に対応するため、更生保護施設の処遇機能を充実強化するとともに、更生保護事業の一層の発展を図る見地から、更生保護事業法及び犯罪者予防更生法等の一部を改正するものであります。
次に、この法律案の要点を申し上げます。
第一は、更生保護施設に委託する保護内容を充実させることであり、次の三つの点を内容としております。その一は、更生保護施設を犯罪者処遇の専門施設として位置付け、従来の宿所及び食事の提供等に加えて、社会適応を促すための積極的な処遇をも更生保護施設に委託できるようにするものであります。その二は、少年院満期退院者や労役場出所者等の社会復帰を促すため、これらの者を更生緊急保護の委託対象に含めることであります。その三は、高齢犯罪者の増加等に対応し、本人の自立能力等、個別事情に応じて更生緊急保護の期間を従来の六月から最大一年まで行い得るようにするものであります。
第二は、近時の社会情勢の動向を踏まえ、更生保護事業の一層の適正化を図る見地から、同事業に対する規制緩和を図ることであります。更生保護施設を設置して行う事業は被保護者に対する処遇の適正が強く求められますので、引き続き認可制を維持することとしておりますが、それ以外の一時保護事業及び連絡助成事業につきましては届出制に改め、その活性化を図ろうとするものであります。
第三は、更生保護事業に対する社会の理解と協力の促進を図るため、事業の透明性を確保するための規定を設けることであります。
第四は、その他の所要の改正を行うものであります。
以上がこの法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
ありがとうございました。
第154回国会参議院法務委員会会議録第6号1頁(平成14年4月2日)〔森山眞弓法務大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点につき格段の努力をすべきである。
一犯罪者等の自立更生を図るためには、社会全体の理解と協力が不可欠であることにかんがみ、更生保護に係る法体系について、更生保護基本法の検討を含め、国民に分かりやすい制度となるよう関係法律の整備・統合に努めるとともに、更生保護施設の運営について、その広報・啓発活動を行うなど、地域に開かれた更生保護施設の実現に向けて必要な施策の推進に努めること。
二更生保護について国の果たすべき責任がより重要性を増していることにかんがみ、更生保護法人の経営基盤の強化を図るため、委託費及び施設整備費等国の財政措置の在り方について検討を加えるとともに、更生保護施設と保護観察実施機関や民間協力団体との連携を一層密にして、犯罪者等の更生と社会復帰のための処遇機能を強化すること。
三更生保護施設の職員体制の整備を図るため、職員の配置の充実に引き続き努めるとともに、処遇に特段の配慮や専門性を必要とする者の増加に対処するため、生活技能訓練等の専門的処遇の普及・定着のための職員の研修の実施等に努めること。
四更生保護事業が、地域社会の安全及び住民福祉の向上に寄与することにかんがみ、より地方公共団体の必要な協力を得ることができるよう努めること。
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一更生保護に係る法体系については、今後の社会情勢及び犯罪情勢の変化に対応し、国民に分かりやすい制度となるよう、更生保護基本法の検討を含め、関係法律の整備・統合に努めること。
二更生保護法人の経営基盤を強化するため、委託費及び施設整備費等国の財政措置の在り方について検討を加え、更生保護施設のなお一層の改善・充実を図ること。
三更生保護施設における処遇を充実強化するため、更生保護施設職員の配置の確保に努めるとともに、犯罪者の改善更生という高度に専門的な業務を担うにふさわしい職員を養成するため、職員に対する研修の一層の充実に努めること。
四犯罪者の社会内処遇には、地域社会の理解と協力が不可欠であることにかんがみ、更生保護に関する広報・啓発活動を積極的に行うとともに、地方公共団体・その他の関係機関との連携に必要な施策の推進に努めること。
五公益事業及び収益事業に係る省令を定めるに当たり、更生保護法人が行うことができる収益事業の収益を充てることができる公益事業の範囲を可能な限り広範囲になるよう配慮すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=115401034)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。