行政事件訴訟法の一部を改正する法律案
参議院 法務委員会
平成16年法律第84号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院法務委員会
参議院法務委員会
- H16.5.19趣旨説明・質疑本会議 2244
- H16.5.25趣旨説明法務委員会 19302
- H16.5.27質疑法務委員会 20195
- H16.6.1参考人招致・参考人質疑・質疑・採決・附帯決議法務委員会 21175
- H16.6.2委員長報告・採決・附帯決議本会議 2682
提案理由
野沢太三 法務大臣 平成16年4月2日行政事件訴訟法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
現行の行政事件訴訟法は、昭和三十七年に制定されたものでありますが、近年においては、行政需要の増大と行政作用の多様化に伴い、行政による国民の利益調整が一層複雑多様化するなどの変化が生じており、このような中で、国民の権利利益のより実効的な救済手続の整備を図る必要性が指摘されております。
この法律案は、このような近年における変化に対応し、行政事件訴訟について、国民の権利利益のより実効的な救済手続の整備を図る観点から、国民の権利利益の救済範囲の拡大を図り、審理の充実及び促進を図るとともに、これをより利用しやすく、わかりやすくするための仕組みを整備し、さらに本案判決前における仮の救済の制度の整備を図ること等を目的とするものであります。
以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、行政事件訴訟による国民の権利利益の救済範囲の拡大を図ることとしております。
まず、取り消し訴訟の原告適格についての適切な判断が担保されるようにするため、処分または裁決の相手方以外の第三者について原告適格の要件である法律上の利益の有無を判断するに当たっては、当該処分または裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとするなどの事項を定めることとしております。
また、救済方法を拡充するため、抗告訴訟の新たな訴訟類型として、義務づけの訴え及び差しとめの訴えを定め、これらの訴えについてその要件等を規定することとしております。
さらに、当事者訴訟としての確認訴訟の活用を図るため、当事者訴訟の定義の中に、公法上の法律関係に関する確認の訴えを例示として加えることとしております。
第二に、審理の充実及び促進を図るため、新たに、裁判所が、釈明処分として、行政庁に対し、裁決の記録または処分の理由を明らかにする資料の提出を求めることができる制度を設けることとしております。
第三に、行政事件訴訟をより利用しやすく、わかりやすくするための仕組みを整備することとしております。
具体的には、まず、抗告訴訟の被告適格者を行政庁から行政庁が所属する国または公共団体に改め、被告適格の簡明化を図ることとしております。
また、国を被告とする抗告訴訟について、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも訴えを提起することができることとして管轄裁判所を拡大するとともに、取り消し訴訟について、処分または裁決があったことを知った日から三カ月の出訴期間を六カ月に延長することとしております。
さらに、取り消し訴訟を提起することができる処分または裁決をする場合には、当該処分または裁決に係る取り消し訴訟の出訴期間等を書面で教示しなければならないものとしております。
第四に、本案判決前における仮の救済の制度の整備を図ることとしております。
まず、執行停止の要件については、損害の性質のみならず、損害の程度並びに処分の内容及び性質が適切に考慮されるようにするため、「回復の困難な損害」の要件を「重大な損害」に改めるとともに、重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっての考慮事項を定めることとしております。
また、新たに、仮の義務づけ及び仮の差しとめの制度を設けることとしております。
このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
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行政事件訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
第159回国会衆議院会議録第20号1頁(平成16年4月2日)〔野沢太三法務大臣発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一本法については、憲法で保障された諸権利に十分に留意し、国民の権利利益の実効的な救済の確保の観点から、国民が多様な権利救済方式を適切に選択することができるように配慮するとともに、行政訴訟の特性を踏まえた当事者の実質的な対等性の確保が図られるよう周知徹底に努めること。
二第三者の原告適格の拡大については、行政による多様な国民の利益調整のあり方を十分に考慮しつつ、これまでの運用にとらわれることなく、国民の権利利益の救済を拡大する趣旨であることに留意しつつ周知徹底に努めること。
三執行停止要件の緩和については、行政訴訟における救済が実質的なものとなるよう、事案の実情に応じた柔軟な運用がされるべき趣旨であることについて周知徹底に努めること。
四公法上の法律関係に関する確認の訴えについては、権利義務など法律関係の確認を通じて、取消訴訟の対象となる行政の行為に限らず、国民と行政との間の多様な関係に応じた実効的な権利救済を可能にする趣旨であることについて周知徹底に努めること。
五政府は、個別行政実体法、行政手続及び司法審査に関する改革など行政訴訟制度を実質的に機能させるために必要な改革について、所要の体制の下に、国民の視点に立った改革を継続するよう努めること。
政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について、格段の配慮をすべきである。
一本法については、憲法で保障された裁判を受ける権利を広く実質的に保障する観点から、訴訟要件を緩和した今回の改正の趣旨を生かした柔軟な運用がされるよう、また、行政訴訟において適用される諸法規の解釈においても、憲法及び法令において保護された諸権利・諸価値が保障されるよう周知徹底に努めること。
二第三者の原告適格の拡大については、公益と私益に単純に二分することが困難な現代行政における多様な利益調整の在り方に配慮して、これまでの運用にとらわれることなく、国民の権利利益の救済を拡大する趣旨であることについて周知徹底に努めること。
三義務付けの訴え及び差止めの訴えについては、取消訴訟を中心とした訴訟の仕組みを改め、その要件等を明確化し、救済方法を拡充するという今回の改正の趣旨を生かし、柔軟な運用がされるべき趣旨であることについて周知徹底に努めること。
四仮の義務付け及び仮の差止めの制度は、行政訴訟による本案判決前の救済を実効的なものとする今回の改正の趣旨を生かし、柔軟な運用がされるべき趣旨であることについて周知徹底に努めること。
五公法上の法律関係に関する確認の訴えについては、これまでの運用にとらわれることなく、その柔軟な活用を通じて国民と行政との間の多様な関係に応じた実効的な権利利益の救済を可能にする趣旨であることについて周知徹底に努めること。
六政府は、適正な行政活動を確保して国民の権利利益を救済する観点から、行政訴訟制度を実質的に機能させるために、個別行政実体法や行政手続、行政による裁判外の紛争解決・権利救済手続も視野に入れつつ、所要の体制の下で、必要な改革を継続すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=115901066)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。