建築士法等の一部を改正する法律案
参議院 国土交通委員会
平成18年法律第114号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院国土交通委員会
- H18.11.15趣旨説明国土交通委員会 49
- H18.11.28質疑国土交通委員会 5177
- H18.11.29参考人招致・参考人質疑・質疑・採決・附帯決議国土交通委員会 6215
- H18.11.30委員長報告・採決本会議 1944
参議院国土交通委員会
- H18.12.5趣旨説明国土交通委員会 48
- H18.12.7質疑・参考人招致・参考人質疑国土交通委員会 5169
- H18.12.12質疑・採決・附帯決議国土交通委員会 6164
- H18.12.13採決・委員長報告本会議 1939
提案理由
冬柴鐵三 国土交通大臣 平成18年11月15日ただいま議題となりました建築士法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
昨年明らかになった構造計算書偽装問題は、多数のマンション等の耐震性に大きな問題を発生させ、多くの住民の安全と居住の安定に大きな支障を与えただけではなく、国民の間に建築物の安全性に対する不安と建築界への不信を広げております。
また、今般の事件では、法令を遵守すべき資格者である建築士が職業倫理を逸脱して構造計算書の偽装を行ったものであり、さらには、事件発生後も多くの建築士において不適切な業務が行われている実態が明らかになっており、建築士制度への国民の信頼も大きく失墜しております。
このような事件の再発を防止し、建築士等による適正な建築活動の確保を図り、国民が安心して住宅の取得や建築物の利用ができるよう、早急に建築士制度等の見直しを行う必要があります。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、建築士の資質、能力の向上を図るため、建築士試験の受験資格の見直し、建築士に対する定期講習の受講の義務づけを行うこととしております。
第二に、建築設計の専門分化を踏まえ、一定規模の建築物の設計に当たって、構造設計一級建築士または設備設計一級建築士による構造関係規定または設備関係規定への適合性の確認を義務づけることとしております。
第三に、建築士事務所の業務の適正化を図るため、管理建築士の要件を強化するとともに、設計、工事監理の契約締結前に、管理建築士等が一定の重要な事項を説明することを義務づけることとしております。
第四に、建築士事務所の団体による自律的な監督体制の確立を図るため、建築士事務所協会等を法定化し、当該協会において苦情解決や研修等の業務を実施することとしております。
第五に、建築士及び建築士事務所の登録・閲覧事務の効率化を図るため、国土交通大臣または都道府県知事の指定を受けた機関がこれらの事務を行うことができることとしております。
第六に、建設工事の施工の適正化を図るため、分譲マンションなど発注者とエンドユーザーが異なる一定の工事について、一括下請負を全面的に禁止することとしております。
以上が、この法律案を提案する理由です。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
第165回国会衆議院国土交通委員会議録第4号4頁(平成18年11月15日)〔冬柴鐵三国土交通大臣発言・発言番号5〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。
一構造計算書偽装問題等により国民の間に建築物の安全性に対する不安と建築界への不信が広まっていることを踏まえ、本法の的確な運用がなされるよう、国民、関係者等への周知徹底並びに特定行政庁、建築士及び建築士事務所関係の団体等への指導助言に努め、構造計算書偽装問題等の再発防止に万全を期すこと。
二建築士は、建築物の設計、工事監理等の専門技術者として、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、建築物の安全性の確保及び質の向上に寄与するように、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない職責を負っていることにかんがみ、工事施工者等との適切な役割分担を踏まえ、その職責が全うされるよう本法の施行に万全を期すこと。
三建築士が自己研鑽を図るとともに、建築士事務所が適正な業務の実施を行い、専門資格者としての社会的使命と責任を果たすため、団体の加入率向上の取り組みを通じて、団体による自律的な監督体制が確立されるよう、関係団体等に対して、十分な指導助言を行うこと。
四建築設備設計・工事監理業務において重要な資格として運用されている「建設設備士」について、設備設計一級建築士制度のもとにおいても、その有効活用と関係規定の適切な運用が図られるよう、特定行政庁、建築士関係団体等への周知徹底を図ること。
五建築物の品質を確保するためには、工事監理業務の適正化を図ることが重要であることにかんがみ、建築主に提出される工事監理報告書の記載内容を充実すること等により、工事監理の実効性確保に努めること。
六建築士の業務報酬基準については、建築士が行う業務の実情を十分に考慮し、必要に応じ、見直しを行うこと。
七消費者及び発注者の保護と施工体制の適正を確保するため、技術者の配置や施工の体系等の施工体制に関する情報について、工事管理の過程で、現場において確認を徹底させるとともに、閲覧等を通じて、消費者及び発注者に対する開示が適切になされるよう指導に努めること。
八政府は、法附則第八条に基づき、この法律の施行後五年を経過した場合において、建築士の能力及び資質の向上の状況、設計及び工事監理業務の適正化の状況、消費者への情報開示の状況、建設工事の施工の適正化の状況等を踏まえ、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
政府は、構造計算書偽装問題等により国民の間に建築物の安全性に対する不安と建築界への不信が広まっていることにかんがみ、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一建築士試験の受験資格の見直しについては、学科主義から科目主義への変更に伴う受験資格の認定が円滑に行われるよう配意するとともに、建築実務経験に関しては、建築士資格受有者の設計・工事監理業務分野以外での活動・活躍の実態を踏まえ、意欲ある有能な人材に門戸を閉ざすことがないよう配慮すること。
二建築士が自己研鑽を図るとともに、建築士事務所が適正な業務の実施を行い、専門資格者としての社会的使命と責任を果たすため、関係団体による独自の研修・資格制度等の実施による加入率向上の取組を通じて団体の自律的な監督体制が確立されるよう、関係団体等に対して所要の指導助言を行うこと。
三一定規模の建築物に係る構造設計一級建築士又は設備設計一級建築士による法適合性の確認については、厳正な実施を確保するとともに、構造設計一級建築士又は設備設計一級建築士の偏在によって適合性確認業務の円滑な実施が妨げられることがないよう配慮すること。
四建築設備設計・工事監理業務において重要な資格として運用されている「建築設備士」について、建築設備の高度化・複雑化が進展している現下の状況にかんがみ、設備設計一級建築士制度の下においても、より一層の活動・活躍ができるようその有効活用が図られるとともに、関係規定の適切な運用がなされるよう、特定行政庁、建築士関係団体等への周知徹底を図ること。また、設備設計一級建築士制度の運用の状況について検討を加え、必要に応じ、速やかに適切な措置を講じること。
五建築物の品質を確保するためには、工事監理業務の適正化を図ることが重要であることにかんがみ、建築主に提出される工事監理報告書の記載内容を充実するとともに、工事監理のガイドラインを提示・普及すること等により、その実効性確保に努めること。
六建築士の業務報酬基準については、建築士の業務の実態を踏まえ、適宜適切に見直しを行うとともに、その基準が遵守されるよう周知徹底を図ること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=116501005)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。