刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案
衆議院 法務委員会
平成22年法律第26号
審議経過
右の数字は会議の発言数参議院法務委員会
- H22.4.1趣旨説明法務委員会 710
- H22.4.6質疑法務委員会 8159
- H22.4.8参考人招致・参考人質疑法務委員会 973
- H22.4.13質疑・採決・討論・附帯決議法務委員会 10132
- H22.4.14委員長報告・討論・採決本会議 1640
衆議院法務委員会
- H22.4.16趣旨説明法務委員会 7138
- H22.4.20質疑法務委員会 8235
- H22.4.23参考人招致・参考人質疑法務委員会 956
- H22.4.27質疑・附帯決議・採決法務委員会 10150
- H22.4.27委員長報告・採決本会議 2626
提案理由
千葉景子 法務大臣 平成22年4月1日おはようございます。
刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
公訴時効制度については、近時、被害者の遺族の方々を中心として、殺人等の人を死亡させた犯罪について見直しを求める声が高まっており、この種事犯においては、時間の経過による処罰感情の希薄化等の、公訴時効制度の趣旨が必ずしも当てはまらなくなっているとの指摘がなされています。
このような指摘等を契機として、人の生命を奪った殺人などの犯罪については、時間の経過によって一律に犯人が処罰されなくなってしまうのは不当であり、より長期間にわたって刑事責任を追及することができるようにすべきであるという意識が国民の間で広く共有されるようになっているものと考えられます。
そこで、この法律案は、これらの人を死亡させた犯罪をめぐる諸事情にかんがみ、これらの犯罪に対する適正な公訴権の範囲を確保するため、刑法及び刑事訴訟法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。
この法律案の要点を申し上げます。
第一は、刑事訴訟法を改正して、人を死亡させた犯罪の公訴時効に関する規定を整備するものであり、人を死亡させた罪のうち、死刑に当たる罪を公訴時効の対象から除外するとともに、無期の懲役又は禁錮に当たる罪については三十年に、長期二十年の懲役又は禁錮に当たる罪については二十年に、その他の懲役又は禁錮に当たる罪については十年に、それぞれ公訴時効の期間を延長するものです。また、この改正については、その施行前に犯した罪であって、その施行の際時効が完成していないものについても適用することとしております。
第二は、刑法を改正して、刑の時効に関する規定を整備するものであり、公訴時効の期間との均衡を考慮し、死刑を刑の時効の対象から除外するとともに、無期の懲役又は禁錮については三十年に、十年以上の有期の懲役又は禁錮については二十年に、それぞれ刑の時効の期間を延長するものです。
このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上がこの法律案の趣旨でございます。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
第174回国会参議院法務委員会会議録第7号1頁(平成22年4月1日)〔千葉景子法務大臣発言・発言番号5〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一公訴時効の廃止及びその期間の延長により、捜査が長期にわたる場合が増えることを考慮し、えん罪が発生する余地のないよう、捜査資料・証拠物等の適正かつ確実な保管を図るとともに、犯罪検挙率の低下することのないよう、適正迅速な初動捜査態勢の確保、捜査資源の適正かつ効率的な配分及び捜査技術の開発向上等を通じ、捜査力を一層高めること。
二公訴時効の廃止及びその期間の延長によりもたらされる効果について、今後ともその検証に努めること。
三医療事故に起因する業務上過失致死傷事件の処理に当たっては、医療の萎縮効果を生じない運用に努めること。
四殺意の有無により公訴時効期間が大きく異なることにかんがみ、捜査機関がその認定を行うに当たっては、十分な証拠に基づいて適切公平な判断を行うべきよう努めること。
五性犯罪については、被害者等の声を十分に踏まえつつ、罰則の在り方及び公訴時効期間について更に検討すること。
六現在実施されている犯罪被害者等基本計画の検証を十分行うとともに、検討中の第二次犯罪被害者等基本計画(仮称)の策定等を通じて、犯罪被害者及びその家族又は遺族の実態も踏まえ、犯罪被害者等に対する必要な施策を一層推進すること。
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一犯罪発生から長期間が経過した事件においては、時間の経過による影響を十分に踏まえ、被告人の防禦の機会が適切に保障されるよう引き続き配意しつつ、事案の真相が解明されるよう努めること。
二犯人を検挙し、事案の真相を明らかにすることが犯罪被害者等を含めた国民の切なる要望であることにかんがみ、犯人の早期検挙のため、初動捜査を始めとする捜査態勢の充実・強化を図りつつ、捜査技術の開発向上等に努めることにより、捜査力をより一層向上させること。
三捜査資源の適正な配分に配慮した柔軟な捜査態勢や、事案の真相解明に資する証拠品及び捜査資料の適正な保管に努めるなど、捜査機関の人的・物的体制の整備に必要な措置を講ずること。
四性犯罪やひき逃げ事案等、人を死亡させた犯罪以外の犯罪についても、事案の実態や犯罪被害者等を含めた国民の意識を十分に踏まえつつ、公訴時効を含めた処罰の在り方について更に検討すること。
五医療事故に対する刑事責任の追及に当たっては、医療行為が患者の生命、身体に一定の危険を及ぼす可能性を内包していることにかんがみ、これに十分配慮した適切な運用に努めるとともに、その原因究明の在り方について検討すること。
六捜査機関において、未解決事件の犯罪被害者等との意思疎通を十分図るとともに、現在検討されている第二次犯罪被害者等基本計画(仮称)の策定等を通じて犯罪被害者等のための施策のより一層の充実に努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=117401053)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。