特許法等の一部を改正する法律案
衆議院 経済産業委員会
平成26年法律第36号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
茂木敏充 経済産業大臣・内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償支援機構) 平成26年3月25日特許法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
産業競争力の源泉となる優れた技術や商品を生み出すイノベーションを促進するためには、特許、実用新案、意匠、商標の各分野での新たな知的財産戦略の推進が極めて重要です。このため、災害時等における対応や既に成立した特許権の早期の安定化など、一層の国際調和を図ると同時に、地域の経済や雇用を支える中小企業・小規模事業者にとっても更に使いやすい知的財産制度とすることが必要であります。
以上が、本法律案を提案した理由であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、特許法の改正については、国際的な法制度に倣い、出願人に災害等のやむを得ない事由が生じた場合には手続期間の延長を可能とする等、手続面での救済措置の拡充を行います。また、特許権の早期安定化を可能とするべく、特許異議の申立て制度を創設します。
第二に、意匠法の改正については、意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づき、複数国に対して意匠を一括出願するための規定を整備し、意匠の国際出願に関するコストの低減を図ります。
第三に、商標法の改正については、他国では既に広く保護対象となっている色彩や音といった商標を我が国商標法の保護対象に追加します。また、地域ブランドの更なる普及、展開を図るため、商工会、商工会議所及び特定非営利活動法人を地域団体商標の登録主体に追加いたします。
第四に、弁理士法の改正については、知的財産に関する専門家としての弁理士の使命を弁理士法上に明確に位置付けるとともに、出願以前のアイデア段階での発明に関する相談業務ができる旨の明確化を始めとした弁理士の業務の拡充を行います。
これらに加え、特許の国際出願に関する手数料を一括で納付するための規定の整備等、所要の規定を整備します。
以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
第186回国会参議院経済産業委員会会議録第4号1頁(平成26年3月25日)〔茂木敏充経済産業大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一我が国企業等による知的財産権の国内外における取得・保護・活用の要請の高まりに的確に対応する観点から、審査の更なる迅速化、効率化及び質の更なる向上を図り、その実現のために任期付審査官の確保を始めとする審査体制の強化に努めるとともに、知的財産関連条約に関わる国際的な業務の重要性を考慮し、高度な専門性を有する職員の育成、中小企業を含む我が国企業の知的財産関連の活動を支える人材を育成する取組等に特段の努力を払うこと。
二我が国の知的財産に関する紛争処理システムの品質の確保及び国際的なプレゼンスの向上を図る観点から、諸外国の紛争処理システムや知的財産に係る訴訟数、勝訴率等の現状について調査・分析を行い、知的財産の紛争処理に関わる人員の拡充、人材育成及び能力向上等の施策を通じ、世界最高の知的財産立国実現の基盤整備を図ること。
三特許の異議申立制度の創設に当たっては、現行の無効審判制度と併存することに伴い、特許の有効性に対する第三者からの申立又は請求手続に混同が生じたり、異議申立と無効審判請求の同時係属による解決の長期化が生じたりすることのないよう、両制度の役割分担を明確にするとともに、制度運用面において柔軟な措置を講じること。
四意匠の国際出願制度を導入するに当たっては、簡便な手続により複数国への国際意匠登録出願を可能にする「意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定」のメリットを最大限享受できるようにするため、複数意匠一括出願制度等と我が国における意匠制度との調和を早期かつ適切に図るとともに、利用者側において円滑な手続が採られるよう、国際意匠登録制度・手続の内容について分かりやすい周知に努めること。
五色彩や音を始めとする新しい商標の保護の導入に当たって、自他商品役務の識別力の判断等に際し、商標権の権利範囲の明確化が欠かせないものであることに鑑み、権利範囲の特定方法、商標の類否に係る判断基準を早急に策定すること。また、地域団体商標については、今後、地域の優れた産品等の魅力向上により海外展開、観光振興、地域経済活性化に一層資するものとなるよう、弁理士を始めとする専門家も関与した取得支援策を充実させること。
六特許等出願以前の段階における相談等を弁理士の業務として拡充することに伴い、弁理士が知的財産に関する幅広い相談を受けるに際して、利用者の利便性増進の観点から、相談の内容に応じて弁護士、中小企業診断士等他の専門家との適切な連携が可能となるような体制の整備を図ること。
七知的財産政策の効果が中小企業に対しても十分にもたらされるよう、知財総合支援窓口等の相談体制の充実や事業を海外に展開する中小企業の国際出願・模倣品被害対策のための支援内容・体制の拡充等に努めるとともに、これらの支援策の利用を更に促進するため周知徹底を図ること。
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一「特許異議の申立て制度」の創設に当たっては、現行の特許無効審判との関係が複雑化するおそれがあることから、両者の相違点等について国民に対して分かりやすく周知するとともに、本改正の趣旨に反して特許無効審判と併存することに伴って解決までの期間が長期化することのないよう、迅速な紛争解決のための運用に努めること。
二「意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定」に基づく意匠の国際登録出願制度の導入に当たっては、利用者に対し、手続内容や留意事項についてガイドラインの公表等を通じて周知徹底を図るとともに、意匠法及び関係法令との整合性の確保や我が国の制度利用者の利便性の向上を図るため運用面を含め適切な措置を講じること。
三色彩や音といった新しいタイプの商標の保護対象への追加に当たっては、権利範囲の特定方法や登録要件について早急に具体的な基準を策定するとともに、今回の改正で保護対象とならなかった対象についても、今後のニーズの高まり等を踏まえて保護対象への追加に向けた検討を進める等、グローバル化へ対応するための企業の多様なブランド戦略を支援していくこと。また、地域団体商標の登録主体の拡充に当たっては、各地域の期待の高まりや同制度の地域活性化に果たす役割に鑑み、地域ブランドの積極的な運用のための体制の強化を図ること。
四出願前の発明に関する弁理士の相談業務の明確化に当たっては、利用者の利便性向上の観点から、相談内容に応じて弁護士や中小企業診断士等他の専門家との連携を図るとともに、研修等の充実を通じ、弁理士の更なる資質向上を図ること。
五「世界最速・最高品質」の特許審査の実現に向けて、平成三十五年度までに「特許の権利化までの期間」と「一次審査通知までの期間」を大幅に短縮する旨の新たな目標が設定されたことも踏まえ、審査官の増員を含め一層の審査体制の強化を図るとともに、新興国の特許文献の提供など、「世界最高の知的財産立国」の実現に向けた取組を強力に推進すること。
六知的財産の裾野を拡大する観点から、中小企業の知的財産活動を支援するため、「知財総合支援窓口」の一層の強化拡充を図るとともに、海外展開を指向する中小企業の知的財産の権利化及び模倣品対策に係る支援策のさらなる強化を図ること。
七システム開発の発注者としての能力向上、外部人材の活用などにより、「特許庁業務・システム最適化計画」(平成二十五年三月十五日)の着実な実施を行い、経済活動のグローバル化や新興国の知財大国化等の環境変化や産業界の知財活動の活発化、多様化に対応できるよう特許庁システムの改善、強化を図ること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=118601065)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。