水銀による環境の汚染の防止に関する法律案
参議院 環境委員会
平成27年法律第42号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院環境委員会
- H27.4.24趣旨説明環境委員会 4163
- H27.5.15質疑環境委員会 5150
- H27.5.19参考人招致・参考人質疑環境委員会 680
- H27.5.22質疑・修正案趣旨説明・採決・附帯決議・修正案環境委員会 7119
- H27.5.26委員長報告・採決本会議 2841
参議院環境委員会
- H27.6.2趣旨説明環境委員会 47
- H27.6.4質疑環境委員会 5209
- H27.6.9参考人招致・参考人質疑環境委員会 673
- H27.6.11質疑・採決・附帯決議環境委員会 7156
- H27.6.12委員長報告・採決本会議 2617
提案理由
望月義夫 環境大臣・内閣府特命担当大臣(原子力防災) 平成27年4月24日ただいま議題となりました二法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
水銀については、環境中における残留性及び生物への蓄積性を有し、並びに人の健康及び生活環境への影響を生ずるおそれのある物質であることに鑑み、我が国における水俣病の重要な教訓も踏まえ、国際的に協力をして地球規模での環境の汚染を防止する必要性が認識されるようになっております。
このような状況の中で、平成二十五年十月に熊本市及び水俣市において我が国を議長国として開催された外交会議で、水銀に関する水俣条約が採択されました。この条約は、我が国として締結することを承認いただくために、今国会に提出されているところであります。
今回提出いたしました二つの法律案は、この条約の的確な実施を確保するための所要の国内法整備を行うことを目的とするものであります。
まず、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
第一に、我が国における水銀対策の全体像を明示し、広範な関係者の取り組みを総合的かつ計画的に進めるため、主務大臣により水銀等による環境の汚染の防止に関する計画を策定することとしております。
第二に、何人も、水銀鉱を掘採してはならないこととしております。
第三に、水銀使用製品の製造等に関する措置についてであります。
特定の水銀使用製品の製造を原則として禁止することとし、条約で認められた用途のために製造される場合に限り許可することとしております。また、既存の用途として把握されていない新たな用途のための水銀使用製品については、当該製品の利用が人の健康の保護または生活環境の保全に寄与する場合でなければその製造または販売をしてはならないこととしております。さらに、国、市町村、事業者に対して水銀使用製品を適正に回収していくために必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとしております。
第四に、何人も、特定の製造工程において水銀等を使用してはならないこととしております。
第五に、何人も、業として金鉱から水銀等を使用する方法によって金の採取を行ってはならないこととしております。
第六に、水銀等の貯蔵に関する措置についてであります。
主務大臣は、その貯蔵に係る水銀等による環境の汚染を防止するためにとるべき措置に関する技術上の指針を定めることとし、環境の汚染を防止するために必要があると認めるときは、当該水銀等貯蔵者に対して必要な勧告ができることとしております。また、当該水銀等貯蔵者は、定期的に主務大臣に貯蔵の状況等に関する報告をしなければならないこととしております。
第七に、水銀含有再生資源の管理に関する措置についてであります。
主務大臣は、その管理に係る水銀含有再生資源による環境の汚染を防止するためにとるべき措置に関する技術上の指針を定めることとし、環境の汚染を防止するために必要があると認めるときは、当該水銀含有再生資源管理者に対して必要な勧告ができることとしております。また、当該水銀含有再生資源管理者は、定期的に主務大臣に管理の状況等に関する報告をしなければならないこととしております。
以上のほか、経過措置、罰則その他の規定の整備等を行うこととしております。
次に、大気汚染防止法の一部を改正する法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
第一に、水銀排出施設に係る届け出等に係る各種規定の整備であります。
水銀等の大気中への排出規制の実効性を確保するため、条約の規定に基づき規制が必要な施設を水銀排出施設として、当該施設の設置等について都道府県知事に届け出なければならないこととしております。
第二に、排出口における排出濃度規制の実施であります。
水銀排出施設の排出口の水銀濃度の排出基準を定め、当該施設から水銀等を大気中に排出する者に対して排出基準の遵守を義務づけることとしております。また、排出基準の遵守義務違反に係る改善勧告等及び改善命令等の制度をあわせて設けることとしております。
第三に、要排出抑制施設の設置者の自主的取り組みの実施であります。
水銀排出施設以外の施設であっても、水銀等の大気中への排出量が相当程度多い施設を要排出抑制施設として指定して、その設置者に対し、水銀等の大気中への排出を抑制するための自主的取り組みを実施することを責務として求めることとしております。
以上のほか、事業者に対する水銀等の大気中への排出の抑制に係る責務の規定、国及び地方公共団体の施策、経過措置、罰則その他の規定の整備等を行うこととしております。
以上が、これらの法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
第189回国会衆議院環境委員会議録第4号18頁(平成27年4月24日)〔望月義夫環境大臣発言・発言番号159〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一水銀等による環境の汚染の防止に関する計画については、関係行政機関の一層の連携のもと、地方公共団体及び関係事業者等の意見を十分反映した上で早期に策定するとともに、水銀等による環境の汚染の防止に関する措置が総合的かつ一体的に推進されるよう十分配慮すること。また、適時適切に計画の見直しを行い、その実効性を中長期的に担保していくこと。
二水銀使用製品が廃棄物となった際の適正な回収・処理を確実に行っていくため、国は回収等の枠組みの構築に積極的に関与するとともに、水銀使用製品の製造・輸入者に対し、製品を製造・輸入した責任を踏まえ積極的に回収を促す等の措置を講ずること。また、廃金属水銀等の長期的管理において、国は積極的に関与し、国民の安全と安心を確保していくこと。
三水銀による環境の汚染を防止するためには水銀に関する正しい知識が重要であることに鑑み、官民一体となってその知識の普及啓発に取り組むこと。
四水銀使用製品が廃棄物となった際の適正な回収を徹底していくため、積極的な広報に努めるとともに、普及啓発を効果的に行っていくこと。その際、財政的支援を含め市町村等の取組を促進するために必要な措置を講ずるよう努めること。
五退蔵されている水銀血圧計及び水銀体温計については、将来的な不適正処理のリスクを低減するため短期間に集中的に回収・処分していくことが望ましいことから、市町村及び事業者団体等と連携し効率的に回収等を行うスキームを早期に構築、実施すること。
六水俣病の経験と教訓を踏まえ、国際的な水銀対策を牽引すべき我が国は、水銀を多く使用・排出している途上国の水銀に関する水俣条約への参加を促進するため、能力形成及び技術援助等の支援により貢献していくこと。また、我が国の優れた水銀の使用・排出低減技術やリサイクルシステム等の水銀管理技術の海外展開を図っていくための体制を構築し、世界的な水銀使用の低減に寄与していくこと。
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一水銀等による環境の汚染の防止に関する計画については、関係行政機関の一層の連携の下、地方公共団体及び関係事業者等の意見を十分反映した上で早期に策定するとともに、水銀等による環境の汚染の防止に関する措置を総合的かつ一体的に推進すること。また、その実効性を中長期的に担保していくため、適時適切に計画の見直しを行うこと。
二水銀使用製品が廃棄物となった際の適正な回収・処理が確実に行われるようにするため、国は回収等の枠組みの構築に積極的に関与すること。その際、財政的支援を含め市町村等の取組を促進するために必要な措置を講ずるよう努めること。また、水銀使用製品の製造・輸入者に対し、製品を製造・輸入した責任を踏まえ積極的に回収を促す等の措置を講ずること。
三廃金属水銀等の長期管理については、国民の安全と安心を確保するため、水銀の安定化技術及び処分技術に関する調査研究を継続的に推進することを始め、国が積極的に関与すること。
四水銀による環境の汚染を防止するためには水銀に関する正しい知識が重要であることに鑑み、官民一体となってその知識の普及啓発に取り組むこと。
五退蔵されている水銀血圧計及び水銀体温計については、将来的な不適正処理のリスクを低減するため短期間に集中的に回収・処分していくことが望ましいことから、市町村及び事業者団体等と連携し効率的に回収等を行う枠組みを早期に構築、実施すること。
六我が国から輸出される水銀等が、途上国における零細小規模金採掘などに使用されることによって健康被害や環境汚染を引き起こすことを防止するため、最終用途や最終需要者を厳格に確認するなど水銀等の輸出入管理を徹底し、実効性ある枠組みを構築すること。
七水俣病の経験と教訓を踏まえ、国際的な水銀対策を牽引すべき我が国は、水銀を多く使用・排出している途上国の水銀に関する水俣条約への参加を促進するため、能力形成及び技術援助等の支援により貢献していくこと。また、我が国の優れた水銀の使用・排出低減技術やリサイクルシステム等の水銀管理技術の海外展開を図っていくための体制を構築し、世界的な水銀使用の低減に寄与していくこと。
八鉛、カドミウム等の水銀以外の有害重金属についても、その環境リスクの削減に向け、国際的な動向を注視しつつ、我が国の知見と経験を生かして、関係行政機関と連携の下、積極的な国際貢献を図ること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=118901036)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。