森林法等の一部を改正する法律案
参議院 農林水産委員会
平成28年法律第44号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
- H28.4.14趣旨説明農林水産委員会 39
- H28.4.26質疑・討論・採決・附帯決議農林水産委員会 5170
- H28.4.28委員長報告・採決本会議 2955
参議院農林水産委員会
- H28.5.10趣旨説明農林水産委員会 6112
- H28.5.12質疑・討論・採決・附帯決議農林水産委員会 7176
- H28.5.13委員長報告・採決本会議 2689
提案理由
森山裕 農林水産大臣 平成28年4月14日森林法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
我が国の森林は、戦後造林された人工林が成熟して本格的な利用期を迎えており、その森林資源を循環利用していくことが重要な課題となっております。その際、需要面においては、住宅用等の従来の需要に加え、中高層建築物に利用可能な新たな製品の開発や木質バイオマスの利用の広がり等を受けて、国産材の需要につきましては拡大の兆しが見られております。一方で、供給面においては、収益性の悪化や世代交代等により、森林所有者の経営意欲や森林への関心が低下し、国産材の安定的かつ低コストでの供給が十分に行われていない状況にあります。
このような状況に対処するために、森林施業の集約化を促進する観点から、林地の境界情報の整備や森林組合の事業の見直しを行うとともに、広域にわたる木材の集荷の円滑化を図ることにより、国産材の安定供給体制を構築することが重要であります。
また、近年、伐採後の再造林が行われない土地が増加している地域があることも踏まえ、森林資源の再造成を確保する必要があります。
さらに、奥地水源林等の木材の生産条件が悪い森林についても適切に整備を推進することにより、森林の有する公益的機能の維持増進を図る必要があります。
こうした取り組みを一体的に行うことにより、森林資源の循環利用を促進し、林業の成長産業化を後押しするため、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、森林法の一部改正であります。
共有林における森林の施業を円滑化するため、所在不明の森林所有者がある共有林において、都道府県知事による裁定手続、補償金の供託等を経て、所在不明の森林所有者の立木持ち分の移転等ができる制度を創設することとしております。また、森林の土地の所在、所有者の氏名、境界に関する測量状況等を記載した林地台帳を市町村が作成することとしております。
さらに、森林資源の再造成を確保するため、森林所有者等に対し、伐採後の造林に係る状況報告を義務づけることとし、市町村が森林の状況を把握しやすくすることとしております。
第二に、分収林特別措置法の一部改正であります。
分収林契約において、所在不明の契約当事者がある場合等であっても、契約変更を円滑に行うことができるよう、契約当事者の十分の一を超える異議がないことをもって、契約を変更できる制度を創設することとしております。
第三に、森林組合法の一部改正であります。
森林組合等による森林施業の集約化を促進するため、森林組合が、組合員の利益の増進を目的として、みずから森林の経営を行うことができることとするとともに、森林組合が森林の経営を行う際の手続を緩和することとしております。さらに、森林組合連合会においても、森林の経営を行うことができることとしております。
第四に、木材の安定供給の確保に関する特別措置法の一部改正であります。
大規模な製材工場等が広域的に木材を集荷しやすくし、国産材の安定供給体制の構築を促進するため、都道府県域を超える木材の安定取引に関する事業計画について、農林水産大臣が認定できることとしております。
また、従来の木材製造業者に加えて、木質バイオマス利用事業者等を事業計画の作成者に追加することとしております。
第五に、国立研究開発法人森林総合研究所法の一部改正であります。
早急に施業が必要な奥地水源地域の保安林の整備を推進するため、水源林造成業務について、本則に位置づけることとし、育成途上の森林の整備を行うことができることとしております。
これに伴い、研究所の名称を国立研究開発法人森林研究・整備機構に、法律の題名を国立研究開発法人森林研究・整備機構法に改称することとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
第190回国会衆議院農林水産委員会議録第3号2頁(平成28年4月14日)〔森山裕農林水産大臣発言・発言番号5〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
森林は、国土の保全、水源涵養、生物多様性の保全、地球温暖化防止、木材の物質的生産等、多面的・公益的な機能を有している。しかし、我が国の林業は、木材価格の低迷、森林所有者の世代交代、山村地域の過疎化等により、依然として厳しい状況から、林業の成長産業化を実現するため、適切な森林施業を通じて、国産材の安定供給体制の構築・森林資源の再造成の確保・森林の公益的機能の維持増進を図る必要がある。よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項について適切に対応すること。記
一森林資源の循環利用の推進のためには、主伐後の確実な再造林が必要である。しかし、木材の伐採収入で再造林に係る経費の確保は困難であり、確実な再造林に向けて、公的補助の拡充等を図ること。
二集約施業の加速化を図るため、林地台帳整備にあたる市町村等への支援の強化を図るとともに、森林経営計画作成の促進に向け、プランナー等の人材育成、国の職員による技術的な支援の更なる拡大や、集約化が困難な森林の地方公共団体等による公有林化に対する支援の強化等の施策の拡充を図ること。
三森林組合による森林経営事業については、過度なリスクを取ることで森林組合の経営悪化を招くことのないよう、農林水産省は引き続き森林組合・森林組合連合会の財務を監督するとともに、森林組合・森林組合連合会の経営・財務管理を担いうる人材の育成に注力すること。
四二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会施設への国産材利用に積極的に取り組むとともに、木材利用の拡大、森林認証・認証材の普及促進、木材の輸出促進などにより、国産材需要の拡大に全力を挙げること。また、地域材の安定供給体制の確立に向け、川上・川下における木材需要に対応した供給調整を担う組織、人材の育成など地域における必要な方策を検討すること。また、セルロースナノファイバー等の新たな技術の開発・実用化等に取り組むこと。
五地域林業の確立を図るためには、林業事業体の育成と林業労働力の確保は不可欠であり、山村振興の観点からも、地域の企業の受注機会の増大・所得向上に向けた支援等必要な方策を検討すること。
六国際社会にとり重要かつ喫緊の課題である地球温暖化防止のため、京都議定書の第二約束期間における目標及び昨年末に合意されたパリ協定を踏まえ、間伐や植林等の森林吸収源対策を着実に推進するための安定財源の確保に向けた検討を加速化すること。さらに、安定財源が確保されるまでの間においても、必要な予算の確保を図ること。
七自然環境の保全に配慮した木材産業の持続的かつ健全な発展を図るため、事業者が合法伐採木材の利用を確保するため適正なリスク評価その他の措置を講ずることを促すとともに、事業者による合法伐採木材の利用を確保するための取組の実施状況に関する情報の把握に努め、違法伐採木材の取扱いが懸念される場合には、その是正に努めること。
八近年の山地災害の頻発やその被害の増加を踏まえ、国民の安全で安心な暮らしを守るため、予防治山対策を含めた治山事業の確実な実施に努めるとともに、必要な予算の確保を図ること。
九東日本大震災からの復興について、海岸防災林の再生や福島の森林・林業の再生をはじめとする復興対策に全力で取り組むこと。また、平成二十八年熊本地震による災害について、治山事業による崩壊地の早期復旧や二次災害の防止、被害を受けた森林・林業の再生に全力で取り組むこと。
森林は、国土の保全、水源涵養、生物多様性の保全、地球温暖化防止、木材等の物質生産など、多面的・公益的な機能を有している。しかしながら、我が国の林業は、木材価格の低迷、森林所有者の世代交代、山村地域の過疎化等により、依然として厳しい状況にあることから、林業の成長産業化を実現するため、適切な森林施業を通じて、国産材の安定供給体制の構築、森林資源の再造成の確保及び森林の公益的機能の維持増進を図る必要がある。よって、政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
一森林資源の循環利用の推進のため主伐後の確実な再造林が必要であるが、現状における木材の伐採収入では再造林に係る経費の確保が困難であることから、確実な再造林に向けて、公的補助の拡充等を図ること。
二施業の集約化を加速するため、林地台帳整備に当たる市町村等への支援の強化を図るとともに、森林経営計画作成の促進に向け、プランナー等の人材育成、国の職員による技術的な支援の更なる拡大や、集約化が困難な森林の地方公共団体等による公有林化に対する支援の強化等の施策の拡充を図ること。
三森林組合が森林経営事業実施の体制整備を図り、林業活性化に取り組みつつ、過度なリスクを取ることで森林組合の経営悪化を招くことのないよう、農林水産省は引き続き森林組合・森林組合連合会の財務を監督するとともに、森林組合・森林組合連合会の経営・財務管理を担い得る人材の育成に注力すること。
四二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会施設への国産材利用に積極的に取り組むとともに、公共建築物の木造化やCLT(直交集成板)の普及等による木材利用の拡大、森林認証・認証材の普及促進、木材の輸出促進などにより、国産材需要の拡大に全力を挙げること。また、木質バイオマスを含む地域材の安定供給体制の確立に向け、川上・川下における木材需要に対応した供給調整を担う組織や人材の育成など地域における必要な方策を検討すること。また、セルロースナノファイバー等の新たな技術の開発・実用化等に取り組むこと。
五地域林業の確立を図るためには、林業事業体の育成と林業労働力の確保は不可欠であり、山村振興の観点からも、地域の企業の受注機会の増大・所得向上に向けた支援等必要な方策を検討すること。
六国際社会にとり重要かつ喫緊の課題である地球温暖化防止を推進するため、京都議定書の第二約束期間における目標及び昨年末に合意されたパリ協定を踏まえ、間伐や植林等の森林吸収源対策を着実に推進するための安定財源の確保に向けた検討を加速化すること。さらに、安定財源が確保されるまでの間においても、必要な予算の確保を図ること。
七自然環境の保全に配慮した木材産業の持続的かつ健全な発展を図るため、事業者が合法伐採木材の利用を確保するため適正なリスク評価その他の措置を講ずることを促すとともに、事業者による合法伐採木材の利用を確保するための取組の実施状況に関する情報の把握に努め、違法伐採木材の取扱いが懸念される場合には、その是正に努めること。
八近年の山地災害の頻発やその被害の増加を踏まえ、国民の安全で安心な暮らしを守るため、予防治山対策を含めた治山事業の確実な実施に努めるとともに、必要な予算の確保を図ること。
九東日本大震災からの復興について、海岸防災林の再生や福島の森林・林業の再生を始めとする復興対策に全力で取り組むこと。また、平成二十八年熊本地震による災害について、治山事業による崩壊地の早期復旧や二次災害の防止、被害を受けた森林・林業の再生に全力で取り組むこと。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=119001050)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。