児童福祉法等の一部を改正する法律案
参議院 厚生労働委員会
平成28年法律第63号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院厚生労働委員会
- H28.5.18趣旨説明・質疑・修正案趣旨説明・討論・採決・修正案厚生労働委員会 18210
- H28.5.19委員長報告・採決本会議 3425
参議院厚生労働委員会
- H28.5.24趣旨説明厚生労働委員会 22385
- H28.5.26参考人招致・参考人質疑・質疑・採決・附帯決議厚生労働委員会 23269
- H28.5.27委員長報告・討論・採決本会議 3138
提案理由
塩崎恭久 厚生労働大臣 平成28年5月18日ただいま議題となりました児童福祉法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。
児童虐待については、子供の命が失われる痛ましい事件が後を絶たないなど、深刻な状況が続いています。最も愛されるべき親から虐待を受けることは悲しむべきことであり、子供の命と権利、そしてその未来を社会全体で守らなければなりません。子供や家庭をめぐる問題が多様化、複雑化する中、新たな子供家庭福祉を構築することが喫緊の課題となっています。
こうした状況を踏まえ、全ての子供が健全に育成されるよう、児童虐待について発生予防から自立支援までの一連の対策のさらなる強化等を図るため、この法律案を提出いたしました。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
第一に、児童福祉法の理念の明確化であります。
全ての子供には、適切な養育を受け、健全に育つ権利があり、その自立が保障されるべきという理念を法律に明確に位置づけるとともに、市町村、都道府県、国の役割と責任を明確化することとしています。
第二に、児童虐待の発生予防であります。
市町村は、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を行うよう、母子健康包括支援センターの設置に努めることとしています。
第三に、児童虐待発生時の迅速的確な対応であります。
市町村は、子供や家庭への支援を行う拠点の整備に努めることとしています。また、児童相談所に児童心理司等の専門職を置くとともに、弁護士の配置またはこれに準ずる措置を行うこととし、政令で定める特別区は、児童相談所を設置することとしています。
第四に、虐待を受けた子供の自立支援であります。
養子縁組及び里親の相談支援を都道府県の業務に位置づけるとともに、就学中の二十二歳の年度末までの者を自立援助ホームの対象とすることとしています。
この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、平成二十九年四月一日としています。
政府は、この法律の施行後速やかに、特別養子縁組の利用促進のあり方及び要保護児童の保護措置に係る裁判所の関与のあり方について検討し、必要な措置を講ずるとともに、この法律の施行後五年を目途として、中核市及び特別区が児童相談所を設置できるよう、必要な支援を行うこととしています。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。
御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。
第190回国会衆議院厚生労働委員会議録第18号3頁(平成28年5月18日)〔塩崎恭久厚生労働大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一自分から声を上げられない子どもの権利を保障するため、子どもの権利擁護に係る第三者機関の設置を含めた実効的な方策を検討すること。
二児童虐待を防止し子どもの健全な育成を図るため、子どもに対する有形力の行使は、子どもの精神あるいは発達に様々な悪影響を及ぼし得るため基本的には不適切であることを周知徹底するなど、体罰によらない子育てを啓発すること。また、今日の家族を取り巻く状況の把握に努めるとともに、国際社会における議論の動向等を踏まえ親権を行う者の懲戒権の行使の在り方について検討すること。
三要保護児童対策地域協議会の更なる活用等による関係機関の連携強化を推進すること。また、市区町村における支援体制の強化及び児童相談所設置自治体の拡大に当たっては、専門人材の確保や財政面の支援等の必要な措置を行うこと。
四児童虐待は刑事事件に発展する危険性を有しており、児童相談所と警察等関係機関が連携した対応を行うことが重要であることから、児童虐待案件に関する情報が漏れなく確実に共有されるよう必要な検討を行うとともに、より緊密かつ的確な情報共有が可能となるよう児童相談所の体制の強化についても検討すること。
五医師・歯科医師・薬剤師は学校における健康診断等を通じて児童の生活状況や栄養状況を知ることができる立場にあることに鑑み、ネグレクトを含め要支援児童等を早期に発見するために学校関係者と学校医・学校歯科医・学校薬剤師が相互に連携を図りながらより一層協力できる体制を整備すること。
六一時保護については、子どもを取り巻く背景が様々であることに配慮し、個別の事情に応じた一時保護の在り方について検討するとともに、一時保護所の適切な運営を確保するために必要な措置を講ずること。
七児童心理治療施設が子どもの成長や自立に重要な役割を果たしていることに鑑み、その拡充について必要な措置を講ずること。また、虐待の連鎖を防ぐため、虐待を受けた子どもが大人になった後も継続的に心のケアを受けることができる仕組みを早急に構築すること。
八社会的養護の対象となった子ども等が自立した生活を送る力を身につけるまで必要な援助を続けるため、措置延長制度や自立援助ホームの積極的活用を図るとともに、児童福祉法が対象とする年齢を超えた場合においても引き続き必要な支援を受けることができる仕組みを早急に整備すること。
九子どもの社会的養護に万全を期すためには、児童福祉施設における養護とともに、里親制度を始めできる限り家庭と同様の養育環境が必要であることに鑑み、里親制度に関する国民的理解を広げることも含めた里親への支援体制の整備に関する施策について、更なる拡充を含め検討すること。
十特別養子縁組により子どもに対して永続的な家庭を保障することの重要性に鑑み、児童相談所と関係機関との連携の強化、養親候補者への研修の実施、特別養子縁組成立後の支援の在り方等について直ちに検討を開始し、特別養子縁組の利用促進のために必要な措置を講ずること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=119001055)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。