特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案
参議院 国土交通委員会
令和3年法律第31号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院国土交通委員会
- R3.3.23趣旨説明・質疑本会議 1436
- R3.3.30趣旨説明国土交通委員会 76
- R3.3.31参考人招致・参考人質疑国土交通委員会 880
- R3.4.2質疑国土交通委員会 946
- R3.4.7質疑・採決・附帯決議国土交通委員会 10253
- R3.4.8委員長報告・採決本会議 1951
参議院国土交通委員会
- R3.4.15趣旨説明国土交通委員会 108
- R3.4.20参考人招致・参考人質疑国土交通委員会 1195
- R3.4.22質疑国土交通委員会 12106
- R3.4.27質疑・採決・附帯決議国土交通委員会 13123
- R3.4.28委員長報告・採決本会議 1919
提案理由
赤羽一嘉 国土交通大臣 令和3年3月23日特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
近年、気候変動の影響により全国各地で豪雨災害が激甚化、頻発化しており、今後、さらに、雨量の増大が見込まれる中、国民の命と暮らしを守るためには、治水対策の抜本的な強化が急務となっております。
具体的には、上流から下流や本川、支川等、流域全体を俯瞰し、遊水地の整備や河道掘削、堤防整備といった、これまで計画的に進めてきた河川等の整備を一層加速するとともに、国、自治体、企業、住民等、あらゆる関係者が協働してハード、ソフトの治水対策に取り組む流域治水が重要であり、その実効性を高め、強力に推進するための制度が必要であります。
このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、流域治水を全国で展開するための計画や体制として、国、都道府県、市町村等の関係者が一堂に会する協議会において、河川の整備に加え、自治体や民間等による雨水貯留浸透対策、土地利用の方針等の計画を協議し、実施する仕組みを創設するとともに、この仕組みを全国の河川で活用することとしております。
第二に、河川の氾濫をできるだけ防ぐには、堤防等の河川整備がまず重要でありますが、これに加え、利水ダムの事前放流を拡大できるよう、河川管理者や利水者等により構成される協議会制度を創設することとしております。併せて、保水、遊水機能を有する土地等について届出、勧告制度の導入により保全を強化するとともに、雨水貯留浸透施設の認定や支援の制度を創設し、自治体や民間による整備を推進することとしております。
第三に、浸水に強いまちづくりを進めるため、浸水リスクが高いエリアで住宅等の安全性を建築等の前に確認する浸水被害防止区域の制度を創設するとともに、安全なエリアへの移転のための防災集団移転促進事業の対象等を拡充することとしております。併せて、災害時の避難先となる拠点の整備等を計画的に進める仕組みを導入することとしております。
第四に、実効ある避難を促すため、ハザードマップの作成対象を拡大し、浸水リスク情報の空白域を解消するとともに、要配慮者施設に係る避難計画等について市町村が助言、勧告できる制度を創設することとしております。併せて、自治体が管理する河川での国による権限代行制度を拡充することとしております。
その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の要旨でございます。
よろしくお願いいたします。(拍手)
――――◇―――――
特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
第204回国会衆議院会議録第14号3頁(令和3年3月23日)〔赤羽一嘉国土交通大臣発言・発言番号21〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
一流域治水に関する施策の決定及びその実施に当たっては、流域治水に係る計画のための協議会で住民、NPO等の多様な意見の反映を促す等により地域住民等の意向が十分配慮されるとともに、上流及び下流のそれぞれの地域の受益や負担が示される中で、円滑な合意形成が行われるよう環境整備に努めること。また、まちづくりとの連携が十分に図られるよう努めるとともに地方公共団体に対しても適切に助言すること。
二学校教育及び社会教育における防災教育の充実を図ること。またその際には、災害伝承を調査及び検証の上、次世代に引き継がれるよう適切に活かすとともに、治水や水源保全等における上流域が担う役割の重要性等に対する下流域の理解の醸成に努めること。
三流域治水の取組においては、自然環境が有する多様な機能を活かすグリーンインフラの考えを推進し、災害リスクの低減に寄与する生態系の機能を積極的に保全又は再生することにより、生態系ネットワークの形成に貢献すること。
四森林の有する水源涵養機能や農地等が一定の洪水低減機能を有することの重要性及び山間地等の土地利用の変化が流域の土砂災害等に影響を与えることを踏まえた森林管理の重要性に鑑み、農林関係機関との連携強化を図ること。
五流域治水の取組を強力に推進するため、特定都市河川の積極的な指定に努めるとともに、都道府県による指定を促進するため、流域治水に係る計画の策定及び同計画に基づく取組への必要な支援を行うこと。また、流域が複数の都道府県にまたがる場合も適切な指定が行われ、連携した施策が実施されるよう助言すること。
六雨水貯留浸透施設の設置等に当たっては、地形や地質、土質、地下水位、周辺環境等の状況の調査により施設整備の効果の維持に努めること。
七浸水被害防止区域や貯留機能保全区域の指定が円滑に進められるよう、ガイドラインの策定や地方公共団体に対する必要な助言等の支援に努めること。また、浸水被害防止区域における既存建築物の安全性の確保や、貯留機能保全区域を対象とした固定資産税の減免措置等の支援策の創設を検討すること。
八地方公共団体による浸水想定区域図及びハザードマップの作成を推進するため、デジタルデータの活用等の技術的な支援とともに、財政的な支援を一層行うよう努めること。また、ハザードマップ等に基づき提供される情報が住民の避難行動に結びつくよう、ハザードマップの作成、公表、周知の各段階において、多様な主体の参画の機会を積極的に設けるよう助言すること。
九要配慮者利用施設における逃げ遅れによる人的被害を繰り返さないよう、厚生労働省と連携し、避難の実効性の確保に資するため、要配慮者利用施設へ助言等を行う市町村に対して必要な支援を行うこと。
十ダムの洪水調節機能を適切に確保するため、災害の予防的措置として必要な堆砂除去に対する国の財政支援制度の創設を検討するとともに、効率的・効果的に利水ダム等の事前放流を実施するために必要な放流設備の増強等を関係者と連携し推進すること。
十一防災集団移転促進事業が事前防災対策として活用されるよう市町村等に対して本改正内容の周知に努めるとともに、移転先における持続可能なまちづくりのための必要な助言等の支援を行うこと。また、移転者の経済的負担の軽減に配慮した更なる支援策を検討すること。
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。
一流域治水に関する施策の決定及びその実施に当たっては、流域治水に係る計画のための協議会で住民、NPO等の多様な意見の反映を促す等により地域住民等の意向が十分配慮されるとともに、上流及び下流のそれぞれの地域の受益や負担が示される中で、円滑な合意形成が行われるよう環境整備に努めること。また、まちづくりとの連携が十分に図られるよう努めるとともに地方公共団体に対しても適切に助言すること。
二学校教育及び社会教育における防災教育の充実を図ること。またその際には、災害伝承を調査及び検証の上、次世代に引き継がれるよう適切にいかすとともに、治水や水源保全等における上流域が担う役割の重要性等に対する下流域の理解の醸成に努めること。
三流域治水の取組においては、自然環境が有する多様な機能をいかすグリーンインフラの考えを普及させ、災害リスクの低減に寄与する生態系の機能を積極的に保全又は再生することにより、生態系ネットワークの形成に貢献すること。
四森林の有する水源涵養機能や農地やため池等の有する洪水低減機能の重要性及び山間地等の土地利用の変化が流域の土砂災害等に影響を与えることを踏まえた森林管理の重要性に鑑み、農林関係機関との連携強化を図ること。
五市街地での浸水被害を防ぐため、河川等から下水道への逆流対策等の内水氾濫対策を着実に推進するとともに、下水道の老朽化対策を早急に実施すること。
六流域治水の取組を強力に推進するため、特定都市河川の積極的な指定に努めるとともに、都道府県による指定を促進するため、流域治水に係る計画の策定及び同計画に基づく取組への必要な支援を行うこと。また、流域が複数の都道府県にまたがる場合も適切な指定が行われ、連携した施策が実施されるよう助言すること。
七雨水貯留浸透施設の設置等に当たっては、地形や地質、土質、地下水位、周辺環境等の状況の調査により施設整備の効果の維持に努めること。
八浸水被害防止区域や貯留機能保全区域の指定が円滑に進められるよう、ガイドラインの策定や地方公共団体に対する必要な助言等の支援に努めること。また、浸水被害防止区域における既存建築物の安全性の確保や、貯留機能保全区域を対象とした固定資産税の減免措置等の支援策の創設を検討すること。
九地方公共団体による浸水想定区域図及びハザードマップの作成を推進するため、デジタルデータの活用等の技術的な支援とともに、財政的な支援を一層行うよう努めること。また、住民の避難行動に結びつくよう、障害者に分かりやすい点図等を活用したハザードマップ、治水施設等の整備の進捗に対応したハザードマップ、土地利用や整備に資する降水量ごとのハザードマップ等の作成を検討するとともに、ハザードマップの作成、公表、周知の各段階において、多様な主体の参画の機会を積極的に設けるよう助言すること。
十要配慮者利用施設における逃げ遅れによる人的被害を繰り返さないよう、厚生労働省と連携し、避難の実効性の確保に資するため、要配慮者利用施設へ助言等を行う市町村に対して必要な支援を行うこと。
十一ダムの洪水調節機能を適切に確保するため、災害の予防的措置として必要な堆砂除去に対する国の財政支援制度の創設を検討すること。また、効率的・効果的に利水ダム等の事前放流を確実に実施するため、気象庁の機能強化及び気象予測の精度向上を図るとともに、放流設備の増強等を関係者と連携し推進すること。
十二流域治水の取組を強力に推進するため、その役割を担う国土交通省の地方整備局・北海道開発局の組織・定員の拡充・強化を図るとともに、地方公共団体において治水に係る人員不足や技術力の低下が生じている状況の中、治水施設等の整備を担う技術者の確保及び育成への支援に努めること。また、災害に対する即応力を高めるため、地方公共団体との連携を一層推進するとともに、緊急災害対策派遣隊の機能強化等による国の体制の充実を図ること。
十三防災集団移転促進事業が事前防災対策として活用されるよう市町村等に対して本改正内容の周知に努めるとともに、移転先における持続可能なまちづくりのための必要な助言等の支援を行うこと。また、移転者の経済的負担の軽減に配慮した更なる支援策を検討すること。引き続き、危険エリアから安全なエリアへの移転を促進させるため、税制面での対応等、幅広い視点からの対策を検討すること。
十四広範囲かつ長期間の浸水が想定される地域においては、既存施設も活用し、避難先となる拠点施設が確実に整備されるよう地域の実情を踏まえた必要な支援を行うこと。また、当該拠点施設においては高齢者、障害者、乳幼児等にとって配慮されたものとなるよう、バリアフリー化や十分な保健医療サービスの提供体制の構築等、必要な対策を行うよう努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=120401018)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。