児童福祉法等の一部を改正する法律案
参議院 厚生労働委員会
令和4年法律第66号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院厚生労働委員会
- R4.4.14趣旨説明・質疑本会議 2026
- R4.4.22趣旨説明厚生労働委員会 16133
- R4.4.27質疑厚生労働委員会 17301
- R4.5.11参考人招致・参考人質疑・質疑厚生労働委員会 18313
- R4.5.13質疑・修正案趣旨説明・採決(修正)・附帯決議・修正案厚生労働委員会 19142
- R4.5.17委員長報告・採決(修正)本会議 2740
参議院厚生労働委員会
- R4.5.19趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明厚生労働委員会 1510
- R4.5.24質疑厚生労働委員会 16290
- R4.6.2参考人招致・参考人質疑厚生労働委員会 1764
- R4.6.7質疑・採決・附帯決議厚生労働委員会 18264
- R4.6.8委員長報告・採決本会議 2925
提案理由
後藤茂之 厚生労働大臣 令和4年4月14日ただいま議題となりました児童福祉法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
児童相談所における児童虐待相談への対応件数が増加し、また、育児に対して困難や不安を抱える子育て世帯がこれまで以上に顕在化してきているなど、子育て世帯への支援の充実やそのための体制強化に取り組む必要があります。
こうした状況を踏まえ、子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化等を図るため、この法律案を提出いたしました。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
第一に、子育て世帯等に対する包括的な支援のため、市町村は、地域における包括的な相談支援等を行うこども家庭センターの設置や身近な子育て支援の場における相談機関の整備に努めるとともに、支援を要する児童や妊産婦等に対する支援計画を作成することとしています。また、支援を要する児童や子育て世帯等に対して訪問支援等を行う家庭支援の事業を創設し、あわせて、市町村がその利用勧奨や措置を必要に応じて行う仕組みを設けるとともに、障害種別にかかわらず障害児を支援できるよう、児童発達支援の医療型と福祉型を一元化することとしています。
第二に、児童や妊産婦等への支援の質の向上を図るため、都道府県が一時保護施設の設備運営基準を定め、その環境改善を図ることとしています。また、親子の再統合を図るための事業、困難を抱える妊産婦等に対して一時的な住居の提供等を行う事業を創設するとともに、里親支援センターを児童福祉施設に位置づけることとしています。
第三に、社会的養護における措置解除者等や障害児入所施設の入所児童等に対する自立支援の強化を図るため、措置解除者等への自立支援を都道府県の業務に位置づけるとともに、児童自立生活援助の利用可能年齢の弾力化や、措置解除者等を支援する拠点を設置する事業の創設を行うほか、障害児入所施設の入所児童等の地域生活等への移行調整の責任主体を都道府県等とした上で、移行が困難である場合は、満二十三歳に達するまでの入所継続を可能とすることとしています。
第四に、児童の権利擁護を図るため、児童相談所長等が一時保護や施設への入所措置等を行う場合においては、児童の最善の利益を考慮しつつ、その意見又は意向を勘案するよう、意見聴取等の措置を取らなければならないこととしています。また、児童の意見表明等を支援する事業を創設するとともに、児童の権利擁護のための環境整備を都道府県の業務に位置づけることとしています。
第五に、児童相談所長等が行う一時保護の適正性を確保するため、一時保護を行うに当たっては、親権者等の同意がある場合等を除き、その開始から七日以内又は事前に裁判官に対して一時保護状を請求しなければならないこととする等の仕組みを創設することとしています。
第六に、児童福祉の実務者の専門性の向上を図るため、児童福祉司の任用要件に、児童虐待等の専門的な対応を要する事項についての十分な知識や技術を有する者を追加することとしています。
第七に、児童等にわいせつな行為を行った保育士の登録を取り消すこととするとともに、その再登録に当たって審査を行う仕組みを創設するなど、保育士資格の管理の厳格化を図るほか、認可外保育施設に対し事業停止命令等を行った場合には、その旨の公表や情報共有をすることができることとしています。
最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和六年四月一日としています。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
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第208回国会衆議院会議録第20号2頁(令和4年4月14日)〔後藤茂之厚生労働大臣発言・発言番号15〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点の再編や支援計画の作成については、地方自治体における負担増によって、それぞれの機能が停滞することのないよう、必要な人材確保のための支援を行うとともに、円滑な施行に向け、地方自治体と適切に連携すること。
二保育士の人材確保が困難な状況にある中、新たに身近な子育て支援の場として保育所等を活用し、地域子育て相談機関とするに当たっては、保育士等の一層の処遇改善と職員配置基準の改善を併せて検討すること。
三子育て世帯訪問支援事業、児童育成支援拠点事業及び親子関係形成支援事業の各事業の実施に当たっては、各市町村による担い手の確保が重要であることから、必要な人材確保のための支援を行うとともに、業務に見合った処遇について検討を行い、必要な措置を講ずること。
四一時保護所の設備・運営基準の策定に当たっては、職員の立場ではなく子どもの視点に立って子どもの最善の利益を考慮するため、子どもから意見を聴取し、可能な限りその意見を反映すること。
五里親支援センターの設備・運営基準の策定に当たっては、里親等の当事者から意見を聴取し、可能な限りその意見を反映して実効性のあるものとすること。
六自ら公的な支援にアクセスできない妊婦との接点を持つための具体的方策を検討するほか、妊産婦等生活援助事業の実施に当たっては、支援が必要な妊産婦に対し適切な支援を提供できるよう、新たな人材を確保するため職員の処遇改善を含む方策を検討し必要な措置を講ずるとともに、充実した研修を実施し、資質の向上を図ること。また、人材不足を理由とした人員配置の弾力運用を安易に行うことのないようにすること。
七意見表明等支援事業に関し、子どもの意見・意向表明や権利擁護に向けた環境整備について、都道府県によって差が生じることで子どもに不利益となることがないよう、一定の要件を提示すること。また、子どもへの意見聴取等が適切に実施されているかについて評価及び検証を行うこと。
八意見表明等支援事業が都道府県等の努力義務であるため、子どもの意見等が適切に反映されないおそれがあることから、導入した自治体と導入しなかった自治体を科学的に比較して効果測定を行い、適宜その仕組みを改良していくこと。また、次期児童福祉法改正時に都道府県等の体制が整備されるよう、義務化を含め必要な見直しを検討すること。
九意見表明等支援事業が児童相談所等による意見聴取等の補佐的な事業として位置付けられていることについて、当該事業が権利主体である子どもの自由な意見・意向の表明を支援する独自の機能を持つべきものであることに鑑み、必要に応じて見直しを検討すること。
十意見表明等支援員が児童相談所、都道府県その他の関係機関から独立した立場で子どもの自由な意見・意向の表明を支援することが可能となるよう、独立性及び守秘義務等の必要な措置を講ずること。
十一意見表明等支援員には専門的な知識や技術が求められることから、科学的な評価がなされているプログラムにより育成することとし、十分な資質を持つ者を活用すること。
十二意見表明等支援事業において、子どもの視点に基づいたKPI(重要業績評価指標)で表すこと。
十三子どもの最善の利益のため、一時保護時の子どもへの意見聴取等を適切に行い、子どもの意見・意向を考慮した対応の徹底を図ること。
十四一時保護時の司法審査の運用や実務の詳細を施行までに定める作業チームには、一時保護が子どもの権利や親権の行使等に対する制限であることを踏まえて、現に一時保護を経験した子ども又は親権者等及びその意見を正確に反映できる実務者も構成員に加えること。
十五一時保護時の司法審査に対応するための児童相談所の人材確保と処遇改善を検討すること。
十六国連児童の権利委員会の日本政府に対する総括所見が、親子分離は子及びその親の意見を聴取した後に行われるよう要請していることを踏まえて、裁判所が一時保護状を発するに当たっては、子ども及び親権者等の意見が裁判官に正確に伝わるよう適切な方策を講ずること。
十七裁判所が一時保護状を発した場合、行政不服審査や行政訴訟の提起が可能であること等を理由に子ども又は親権者等の不服申立て手続を設けなかったことに鑑み、児童の権利に関する条約第九条第二項の趣旨を踏まえ、行政不服審査や行政訴訟の活用実態を把握し、次期児童福祉法改正時に必要な見直しを検討すること。
十八新たな子ども家庭福祉分野の資格取得者の質の担保を図るほか、資格取得者の児童相談所、市町村、児童福祉施設等における配置が進み、地方自治体において実効性が上がるような方策を財政措置を含めて検討し、必要な措置を講ずること。
十九子どもをわいせつ行為から守る環境整備について、保育所等では保育士資格を持たない者が保育補助として勤務している実態があることから、保育士に限らず、子どもに接する業務に携わる者全体を対象に対策を講ずることについて検討すること。また、万が一冤罪等であった場合には、身分回復を行う等の必要な対応を講ずること。
二十アダルトビデオ出演被害の問題は重大な人権侵害であり、かつ、成年年齢引下げにより未成年者取消権行使ができないために高校生のアダルトビデオ出演が増えるような事態は、高校生や子どもへの性犯罪・性暴力を助長するなど児童福祉法の理念である「児童の健全育成」に反するものであることを踏まえ、アダルトビデオ出演被害の問題の解決に向けた取組を一層強化すること。
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点の再編や支援計画の作成については、地方自治体における負担増によって、それぞれの機能が停滞することのないよう、必要な人材確保のための支援を行うとともに、円滑な施行に向け、地方自治体と適切に連携すること。
二保育士の人材確保が困難な状況にある中、新たに身近な子育て支援の場として保育所等を活用し、地域子育て相談機関とするに当たっては、保育士等の一層の処遇改善と職員配置基準の改善を併せて検討すること。
三子育て世帯訪問支援事業、児童育成支援拠点事業及び親子関係形成支援事業の各事業の実施に当たっては、各市町村による担い手の確保が重要であることから、必要な人材確保のための支援を行うとともに、業務に見合った処遇について検討を行い、必要な措置を講ずること。
四一時保護所の設備・運営基準の策定に当たっては、子どもの視点に立って子どもの最善の利益を考慮するため、子どもから意見を聴取し、可能な限りその意見を反映すること。また、一時保護される子どもの個別事情に十分対応できるものとするよう、十分検討を深めること。
五里親支援センターの設備・運営基準の策定に当たっては、里親等の当事者から意見を聴取し、可能な限りその意見を反映して実効性のあるものとすること。
六自ら公的な支援にアクセスできない妊婦との接点を持つための具体的方策を検討するほか、妊産婦等生活援助事業の実施に当たっては、支援が必要な妊産婦に対し適切な支援を提供できるよう、新たな人材を確保するため職員の処遇改善を含む方策を検討し必要な措置を講ずるとともに、充実した研修を実施し、資質の向上を図ること。また、人材不足を理由とした人員配置の弾力運用を安易に行うことのないようにすること。
七児童養護施設等において年齢を理由として一律に措置を解除する運用がなされないよう、措置延長や児童自立生活援助の積極的活用に向けた取組を行うこと。
八社会的養護自立支援拠点事業においては、措置解除後のみならず、十八歳までに社会的養護につながれなかった子ども等も幅広く支援するとともに、安心して相談できる場となるよう、一定期間住まいを提供する支援や社会的養護経験者によるピアサポートを積極的に活用すること。また、通えない子どもたちも想定し、アウトリーチによる支援も実施すること。
九意見表明等支援事業に関し、子どもの意見・意向表明や権利擁護に向けた環境整備について、都道府県によって差が生じることで子どもに不利益となることがないよう、一定の要件を提示すること。また、子どもへの意見聴取等が適切に実施されているかについて評価及び検証を行うこと。
十意見表明等支援事業は、意見聴取とともに関係機関との調整を行うものであるから、子どもから聴取した意見について、これを代弁し、意見の実現に向けて関係機関との調整及び交渉を行うための運用方策について検討すること。
十一意見表明等支援事業の成果と問題点の双方について実施状況を調査し、次期児童福祉法改正時に、同事業を全ての都道府県の義務とすることを含め必要な見直しを検討すること。
十二意見表明等支援員が児童相談所、都道府県その他の関係機関から独立した立場で子どもの自由な意見・意向の表明を支援することが可能となるよう、独立性及び守秘義務等の必要な措置を講ずること。
十三意見表明等支援員には高度の専門性が必要であることから、弁護士や社会福祉士等、その担い手を確保し、専門的な知識や技術を身につけるにふさわしいプログラムにより必要にして十分な研修が行われるよう、ガイドラインを作成し都道府県に対して周知すること。
十四一時保護された子どもが自由に意見を表明する権利を確保するために、児童の権利に関する条約第十二条第二項に照らし、代理人との相談・面会を希望する子どもに対し弁護士を派遣することができる事例を都道府県に対して周知すること。
十五一時保護された子どもについて、意見表明を支援するとともに、意見の実現に向けて交渉し法的手続をとることを内容とする弁護士の活動について実態を把握し、その結果を踏まえ、子どもと伴走する弁護士と児童相談所の連携方策を検討すること。
十六子どもの最善の利益のため、一時保護時の子どもへの意見聴取等を適切に行い、子どもの意見・意向を考慮した対応の徹底を図ること。
十七一時保護時の司法審査の運用や実務の詳細を施行までに定める作業チームには、一時保護が子どもの権利や親権の行使等に対する制限であることを踏まえて、現に一時保護を経験した子ども又は親権者等及びその意見を正確に反映できる実務者も構成員に加えること。
十八一時保護時の司法審査に対応するための児童相談所の人材確保と処遇改善を検討すること。
十九児童相談所が裁判官に一時保護状の請求をするに当たっては、子ども及び親権者等の意見が裁判官に正確に伝わるよう適切な方策を講ずること。
二十裁判所が一時保護状を発した場合、行政不服審査や行政訴訟の提起が可能であること等を理由に子ども又は親権者等の不服申立て手続を設けなかったことに鑑み、児童の権利に関する条約第九条第二項の趣旨を踏まえ、行政不服審査や行政訴訟の活用実態を把握し、次期児童福祉法改正時に必要な見直しを検討すること。
二十一新たな子ども家庭福祉分野の資格取得者の質の担保を図るほか、資格取得者の児童相談所、市町村、児童福祉施設等における配置が進み、地方自治体において実効性が上がるような方策を財政措置を含めて検討し、必要な措置を講ずること。
二十二子どもをわいせつ行為から守る環境整備について、保育所等では保育士資格を持たない者が保育補助として勤務している実態があることから、保育士に限らず、子どもに接する業務に携わる者全体を対象とする、いわゆる「日本版DBS制度」の導入に向けた検討を加速すること。また、万が一冤罪等であった場合には、身分回復を行う等の必要な対応を講ずること。
二十三児童に対するわいせつ行為を行う可能性が高い者を保育所等で保育に従事させないことが重要であることから、こうした者が保育所等で保育士として採用されないための適切かつ実効性のある採用過程の在り方等について検討すること。
二十四児童が保育士による児童生徒性暴力等を受けたと思われる事案が発覚した際の地方自治体や保育所の設置者による事実確認に当たっては、被害児童の人権に配慮し、再発防止に資するものとなるよう、留意すること。また、被害児童及び保護者等への負担に十分に配慮した上で、実施すること。
二十五前項の地方自治体や保育所の設置者による事実確認は、必要に応じて、専門家の協力や関係機関間での連携を図りながら、事実関係を客観的に確認するため、公正かつ中立に行うこととし、通報者の保護なども含め、国において、具体的な確認方法や客観的な判断基準を定めること。
二十六保育所の設置者が、地方自治体の支援を受けながら、専門家の協力を得つつ、児童生徒性暴力等を受けた児童の保護及び支援並びにその保護者等に対する支援を継続的に行うことができるよう、必要な措置を講ずること。
二十七保育所が送迎バス等の付加的サービスを含めた児童の安全確保に関する計画を策定することを、都道府県等が従うべき国の運営基準として定めること。その際、計画内容の職員間の共有や体制確保、定期的な訓練や研修、保護者への説明の実施などにより、その実効性を確保させること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=120801049)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。