災害対策基本法等の一部を改正する法律案
参議院 災害対策特別委員会
令和7年法律第51号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会
- R7.4.1趣旨説明・質疑本会議 1431
- R7.4.9趣旨説明東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会 4316
- R7.4.15参考人招致・参考人質疑東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会 5110
- R7.4.16質疑・修正案趣旨説明・討論・採決・附帯決議・修正案東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会 6227
- R7.4.17委員長報告・採決本会議 2130
参議院災害対策特別委員会
- R7.4.25趣旨説明・質疑本会議 1644
- R7.4.25趣旨説明災害対策特別委員会 48
- R7.5.9参考人招致・参考人質疑災害対策特別委員会 589
- R7.5.23質疑・修正案趣旨説明・採決・附帯決議・修正案災害対策特別委員会 6122
- R7.5.28委員長報告・採決本会議 2258
提案理由
坂井学 国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣(防災・海洋政策) 令和7年4月1日災害対策基本法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
本法律案は、令和六年能登半島地震から得られた教訓を今後に生かし、国による地方公共団体の応援体制の強化、被災者援護協力団体の登録制度の創設、広域一時滞在等における被災住民への情報提供の充実、地方公共団体における物資の備蓄状況の公表の義務化、救助の種類への福祉サービスの提供の追加、災害時における日本下水道事業団の業務の特例の創設、内閣府の防災監の新設等の措置を講じることで、災害対策の強化を図ることを目的としております。
このような趣旨から、この度、本法律案を提案することとした次第であります。
次に、本法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、国による災害対応の強化についてであります。
国は、高度かつ専門的な技術、知識又は経験を有する人材の確保等を推進することにより、地方公共団体を迅速かつ的確に応援するよう努めなければならないこととするとともに、災害応急対策について、緊急の必要がある場合、都道府県知事からの要求を待たずに応援をすることができること等としております。このほか、内閣府設置法において、内閣府に防災監を設置することとしております。
第二に、被災者に対する福祉的支援等の充実についてであります。
災害救助法における救助の種類に福祉サービスの提供を追加し、福祉的支援を強化するとともに、災害応急対策を行う責任を有する者は、相互に連携しつつ、情報通信技術等も活用しながら、避難所の運営状況及び被災者の状況の把握等に努めなければならないこととしております。
第三に、民間等と連携した支援体制の構築についてであります。
国及び地方公共団体に協力して、避難所の運営、炊き出し等の業務を行う団体は、内閣総理大臣の登録を受けることができることとし、協力の要求及び被災者の個人情報の提供を可能とすることとしております。
第四に、広域的に避難する被災住民に対する支援の充実についてであります。
広域で一時的に避難する被災住民の受入れを円滑に行い、滞在先においても適切な支援が受けられるよう、広域一時滞在の協議を行う市町村長の間で被災住民の情報を共有するとともに、被災住民に対して援護に関する情報を提供することとしております。また、市町村長が被災者台帳を作成するに当たり、他の都道府県に滞在する被災者の情報を把握できるよう、都道府県知事による必要な協力ができることとしております。
第五に、防災に必要な物資の確保についてであります。
地方公共団体は、毎年一回、物資の備蓄の状況を公表しなければならないこととしております。
第六に、インフラの復旧及び復興の迅速化についてであります。
水道法において、日本下水道事業団が災害により損傷した水道施設の工事を行うことができることとするとともに、水道事業者は、配水管の復旧に必要な作業を行うため、水の供給を受ける者の土地に立ち入ることができることとしております。また、災害の定義の例示に、地盤の液状化を追加するとともに、宅地の耐震化に関する事項の実施に努めることとしております。加えて、復興まちづくりを推進するため、大規模災害からの復興に関する法律において、一団地の復興拠点市街地形成施設に関する都市計画を定めることができる災害の範囲を拡大することとしております。
その他、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、本法律案の趣旨及びその内容の概要であります。(拍手)
――――◇―――――
災害対策基本法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
第217回国会衆議院会議録第14号1頁(令和7年4月1日)〔坂井学国家公安委員会委員長発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、令和六年能登半島地震の教訓を生かし、南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模地震や激甚化・頻発化する気象災害の発生に備え、本法の施行に当たり、次の事項の実現に努めるべきである。
一災害関連死を防ぐため、事例の検証を行うとともに、被災者に対する充実した福祉的支援及びスフィア基準に沿った避難所運営が担保されるよう、地方公共団体に対し、適切な助言及び支援を行うこと。
二避難所に避難できず、在宅や車中で避難生活を送っている避難者に対しても、避難所で提供される物資や情報等が同等に提供され、適切に行きわたるよう、地方公共団体に周知徹底するとともに、適宜その運用状況を把握し、必要な対応を図ること。
三災害時における福祉的支援の充実・円滑化を図るため、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児その他の特に配慮を要する者である被災者に対して、その配慮を要する事情に応じた応急の福祉的支援が行きわたるよう努めること。
四福祉サービスの提供に当たっては、必要とする者に適切なサービスが提供されるよう、ガイドライン等の整備を行うとともに、福祉施設や福祉サービスの機能が回復されるまでの間は、関係府省が連携し必要な支援を継続するよう努めること。また、施設やサービスの機能回復に向けた応援派遣や必要物資・機材の調達等について、災害発生前から適切な準備ができるよう適切に支援すること。
五福祉関係者に対する従事命令の発出及び罰則の適用については、福祉の範囲が広範にわたることに鑑み、緊急性や必要性等を十分に検討し、慎重な運用がなされるよう、都道府県等に適切な助言を行うこと。
六被災者援護協力団体の登録制度については、登録基準を明確化するとともに、評価方法の公平性及び透明性の確保を図ること。また、登録を受けた団体以外の協力団体や個人ボランティアの活動促進について検討し、必要な措置を講じること。
七被災者援護協力団体の登録に当たっては、当該団体の役職員が、被災者及び支援者に対して暴力、ハラスメントその他不適切な行為を行うことのないよう、教育・訓練を実施していることを考慮するとともに、登録被災者援護協力団体の業務状況を把握し、必要に応じて改善を求めること。また、役職員に不適切な行為があった場合には、当該団体に対し、改善命令・登録取消等の対応を行うこと。
八被災者援護協力団体が登録を受けることができない事由のうち「心身の障害により被災者援護協力業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの」については、東日本大震災等で障害者団体が被災障害者の支援活動に大きな役割を果たしてきたことに鑑み、障害者差別解消法との整合性を確保し、心身に障害があることをもって一律に排除することのないよう十分留意するとともに、内閣府令を定める過程において、障害者団体の意見を積極的に聴取すること。また、障害者団体を共生社会の構成員として、連携に努めること。
九障害者、高齢者等への実効性の高い避難支援に向けて、各市町村における避難行動要支援者に対する個別避難計画の策定が進むよう、防災や災害対応人材の確保、財政措置、先進・優良事例に関する情報の提供等、必要な支援の強化を図ること。
十インフラ及びライフラインの迅速な復旧に当たっては、民間事業者も含めた作業員の安全衛生確保の強化及び周囲の理解促進を図ること。
十一液状化による宅地被害を軽減するため、液状化対策の周知・啓発を更に推進するとともに、市町村の液状化ハザードマップ作成の加速化を促し、策定状況の改善に努めること。
十二埼玉県八潮市における道路陥没事故により、インフラの老朽化問題が改めて顕在化し、老朽化対策が喫緊の課題となっている。自然災害が激甚化する中、インフラ老朽化の進行により、被害規模が拡大することのないよう、抜本的対策を図るとともに、インフラを維持管理する地方公共団体を適切に支援すること。
十三地方公共団体における物資の備蓄状況の公表については、その結果を踏まえ、地域格差の是正を図ること。また、物資の備蓄に当たっては、女性や高齢者、アレルギー疾患を有する者など多様なニーズを踏まえた物資の確保に努めるとともに、地方公共団体においても、同様の取組がなされるよう促すこと。
十四防災、復旧・復興に関する意思決定の場及び防災・危機管理部局等の防災現場への女性参画の強化など、「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」に沿った取組を全ての地方公共団体に徹底するとともに、取組の進捗状況を把握・公表し、必要な改善に努めること。
十五気候変動に伴い激甚化・頻発化する大雨・大雪等の気象災害や、岩手県大船渡市を始めとする各地で相次ぐ林野火災に適切に対処するため、災害救助や消防活動、避難所環境などに関し、地方公共団体間の格差是正や連携・協力の在り方について、国として必要な検討を進めること。
政府は、令和六年能登半島地震の教訓を生かし、南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模地震や激甚化・頻発化する気象災害の発生に備え、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。
一災害関連死を防ぐため、災害関連死に係る実態の把握に努め、事例の検証を行うとともに、被災者に対する充実した福祉的支援及びスフィア基準に沿った避難所運営が実施されるよう、地方公共団体に対し、適切な助言及び支援を行うこと。また、災害関連死の適正な認定に資する体制整備のため、地方公共団体に対し、災害関連死の認定に係る審査会等の設置を促すこと。
二避難所に避難できず、自宅や車中で避難生活を送っている避難者に対しても、避難所で提供される物資や情報等が等しく提供され、適切に行きわたるよう、地方公共団体に周知徹底するとともに、適宜その運用状況を把握し、必要な対応を図ること。また、災害時に福祉避難所が速やかに開設できるよう、適切な施設の指定及び協定の締結を促進するとともに、福祉避難所を必要とする被災者の受入れに対応可能な物資の備蓄・機材の確保や施設の耐震化に向けた支援を行うこと。
三災害時における福祉的支援の充実・円滑化を図り、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児を始めとした特に配慮を要する被災者に対して、それぞれの事情に応じた応急の福祉的支援が行きわたるよう努めること。
四災害時における福祉サービスの提供に当たっては、必要とする者に適切なサービスが提供されるよう、ガイドライン等の整備を行うとともに、福祉施設や福祉サービスの機能が回復されるまでの間は、関係府省が連携し必要な支援を継続するよう努めること。また、施設やサービスの機能回復に向けた応援派遣や必要な物資・機材の調達等について、災害発生前から十分な準備ができるよう適切に支援すること。
五災害時に適切な福祉サービスが提供されるよう、DWAT(災害派遣福祉チーム)への情報提供及びDWAT間の情報連携のために必要な環境整備を図ること。
六福祉関係者に対する従事命令の発出及び罰則の適用については、福祉の範囲が広範にわたることに鑑み、緊急性や必要性等を十分に検討し、慎重な運用がなされるよう、都道府県知事等に適切な助言を行うこと。
七被災者援護協力団体の登録制度については、登録基準を明確化するとともに、評価方法の公平性及び透明性の確保を図ること。また、登録を受けた団体以外の協力団体や個人ボランティアの活動促進に向けた施策について検討し、必要な措置を講ずること。
八被災者援護協力団体の登録に当たっては、当該団体の役職員が、被災者及び支援者に対して暴力、ハラスメントその他不適切な行為を行うことのないよう、教育・訓練の実施状況を考慮するとともに、登録被災者援護協力団体の業務状況を把握し、必要に応じ改善を求めること。また、役職員に暴力、ハラスメントその他不適切な行為があったことを把握した場合や、役職員又はこれらの職にあった者が秘密保持義務に違反した場合には、当該団体に対し、速やかに改善命令・登録取消等の対応を行うこと。
九被災者援護協力団体が登録を受けることができない事由のうち、「心身の障害により被災者援護協力業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの」については、東日本大震災等で障害者団体が被災障害者の支援活動に大きな役割を果たしてきたことに鑑み、障害者差別解消法との整合性を確保し、心身に障害があることをもって一律に排除することのないよう十分留意するとともに、内閣府令を定める過程において、障害者団体の意見を積極的に聴取すること。また、障害者団体を共生社会の構成員として連携に努めること。
十災害の発生により施設又は設備に被害が生じ、かつ、市町村長又は都道府県知事による応急措置の実施が困難となる事態を想定し、平時から、地方公共団体等と連携するとともに、実際にこのような事態が生じた場合には、直ちに被災地の状況を把握し、躊躇せず応急措置を実施すること。
十一障害者、高齢者等への実効性の高い避難支援に向けて、各市町村における避難行動要支援者に対する個別避難計画の策定が進むよう、防災・災害対応に係る人材の確保、財政措置、先進・優良事例に関する情報提供等、必要な支援の強化を図ること。また、災害時に要配慮者利用施設の利用者が速やかに避難できるよう、各市町村に対し、避難先や福祉人材の確保を促すとともに、避難確保計画の作成及び避難訓練の実施等に係る優良事例の情報を提供するなど適切な支援を行うこと。
十二インフラ及びライフラインの復旧に当たっては、民間事業者を含めた作業員の安全衛生確保の強化及び周囲の理解促進を図ること。
十三液状化による宅地被害を軽減するため、液状化対策の周知・啓発を更に推進するとともに、市町村による液状化ハザードマップの作成の加速化や必要に応じた更新の実施に向け、助言及び支援を行うこと。
十四埼玉県八潮市における道路陥没事故により、インフラの老朽化問題が改めて顕在化し、老朽化対策が喫緊の課題となっている。自然災害が激甚化する中、インフラ老朽化の進行により、被害規模が拡大することのないよう、抜本的対策を講ずるとともに、インフラの維持管理を行う地方公共団体に対し、人的・財政的等の支援を強化すること。
十五地方公共団体における物資の備蓄状況については、その公表結果を踏まえ、地域間格差の是正を図ること。また、物資の備蓄に当たっては、女性や高齢者、アレルギー疾患を有する者などの多様なニーズに対応可能な物資の確保に努めるとともに、地方公共団体においても、同様の取組がなされるよう促すこと。
十六防災、復旧・復興に関する意思決定の場及び防災・危機管理部局等の防災現場への女性参画の強化など、「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」や「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」に沿った取組を全ての地方公共団体に徹底するとともに、取組の進捗状況を把握・公表し、必要な改善に努めること。
十七気候変動に伴い激甚化・頻発化する大雨・大雪等の気象災害や、岩手県大船渡市を始めとする各地で相次ぐ林野火災に適切に対処するため、災害救助や消防活動、避難所環境などに関し、地方公共団体間の格差是正や連携・協力の在り方について、国として必要な検討を進めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=121701017)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。